天上天下唯我独尊

2021年06月03日(木) 煽り運転とは

山を越えて都市部に行って来た。
国道ではなく高速を使うべきだったかーと思いながら、私は3台前のちんたらトラックに苛々していた。
上り坂で60km/h出せないんなら路肩に退きなさいよ!と思いながらジリジリ走っていると、やっとトラックが道路脇の休憩スペースに入って行った。
よーしこれで飛ばせると思ったら、すぐ前の車もハザードランプを点けて脇に避けた。
なので追い越したところ、その車は私の後ろを再び走り出した。
何事かと思ってバックミラーで確認すると、運転手はスマホを取り出してこっちを撮影しているではないか。
うわっ何こいつキモッと思ったが、もしかすると私が煽り運転していたと思われた……?
3台前のトラックがあまりに遅くて苛々したものだから、車間距離を詰め過ぎていたのだ。
それを、自分が煽られたと勘違いしちゃったのか、このオッサン……。
とは言え、双方運転中のこの状態で誤解を解くのも難しいし、動画を取られるのは正直気持ち悪い。ネットにでも拡散されたら厄介だ。
なので迷わず110番した。
前の車に譲られたので追い越したが、煽っていたと誤解されたらしく運転しながらこちらの動画を撮っているようで困っていると。
ナビ画面を見ながら現在地と目的地方面、バックミラーを見ながら相手の車種とナンバーを伝えたのだが、こちらのナンバーも訊かれてしまった。
1年以上前に買った車だが、ナンバー覚えていない……。
家の車だが車から降りないとわからない、同乗者がいないのでダッシュボード下のグローブボックスも開けられない、と正直に伝えた。
オペレーターからは、じゃあ相手の車が見付かったら事情を聴いてみますね、後で顛末をお伝えした方がいいですか? と訊かれたのだが、そこまでは結構です、注意だけして頂ければと言っておいた。
運転中のスマホ操作で逮捕されてしまえとも思ったが、向こうにしてみれば私が悪いのだろうし、動画さえ消して貰えればいいかなと。
市街地に入ったところで、パトカーがやって来て、件の車を誘導して行ってくれた。
遠くからそっと見守りたかったが、私には時間が無かったのでその場を後にした。
なのでその後どうなったのかは知らない。

主人は主人で、最近似たような目に遭ったらしい。
片側1車線の国道で、前の軽トラがちんたら走っている。
邪魔だから抜かしたいけど、対向車が途切れないので、じりじりとその後ろを走っていた。主人の事なので勿論ちゃんと車間は取っている。
偶然同じ所で曲がったので、暫くそのまま連なって走った。
ガソリンが残り少なかったので、主人がウィンカーを出してガセルフ方式のスタンドに入ろうとしたら、またしても偶然その車が先に入って行った。
狭い田舎だし珍しくも無い事なので主人は気にも留めなかったが、主人が給油している間中ずっと、軽トラのジジイは給油もせずに、給油機の陰からじぃ〜っとこちらを監視していたという……。
ストーカーだと勘違いしたのかな、そんな趣味は無いんだけどなあと主人は笑っていた。

煽り運転に対しての法律が出来て厳しくなったのはいいけれど、過剰反応する人が増えた気がする。
煽り運転を取り締まるのなら同時に、大幅に法定速度を下回る運転も妨害行為として取り締まるべきだし、どちらが悪いかはケースbyケースではないかと思うのだ。



2021年05月31日(月) 苦難からの解放

去年の黄金週間はどこにも行けず、近隣をドライブして終了だった訳だが、今年は少し足を伸ばして隣県の観光スポットまで行って来た。
県を跨ぐ移動は慎むようにと言われていたのだが、当県の県庁所在地に行くより近いし、知る人ぞ知る的なニッチな所なので観光客でごった返すような事も無い。
実際、我々夫婦以外には数組しかいなかった。
そんな所で土産物を購入し、幼馴染に送ろうと思って早幾日、もう5月も終わろうとしている。
賞味期限はまだまだ余裕だが、ゴールデン・ウィークの土産なのに5月中に送らないってどんだけぐうたら……と自分に呆れつつ、幼馴染に電話してみた。
東京暮らしで万一武漢肺炎に罹って入院とか隔離中とかだと困るので、送る前に一応確認しとこうと思ったのだが、思った以上に元気だった。
一先ず、彼女も家族も息災なようで安心した。
だが緊急事態宣言発令下の東京は、色々と面倒らしい。
先日は高校生の子供の外部試験の送迎で新宿に行ったが、腹が減ったのに疫病が蔓延してそうな居酒屋ぐらいしか開いておらず、仕方無くバスタ新宿のベンチでコンビニのパンを食べたと聞いて、こちらとの温度差に驚愕した。
東京は凄い事になってんのな……。
ご主人はずっと在宅勤務だそうで、毎日料理しなきゃならないのが面倒だと彼女は言い、おすすめ料理は無いかと私に訊いて来た。
「いやそれ私に訊くか? 私もあなたと同じで料理嫌いなんだけど!」
「だからだよ! 料理嫌いなシオンちゃんならわかってくれると思って」
「あーそうね……鯖キャベツとかどうよ。前にテレビで見たんだけど、鯖缶とキャベツを炒めるの。簡単で美味しいよ」
「何それ知らない。水煮? それとも味噌煮?」
「どっちでもいいと思うよ。味が足りなかったら、後で何か足しちゃえ。あと、梅しそ味もいけるよ」
「えっ何それ……梅しそ味の鯖缶なんて聞いた事無い」
という事で、土産の他にも梅しそ味の鯖缶を送る事にした。
「そういや術後の経過はどうなの?」
幼馴染は去年、筋腫のために子宮摘出手術を受けたのだ。
ホルモンバランスの変化とか大丈夫なのかな……と心配していたのだが、意外や意外、彼女の声はとても晴れやかだった。
「それがねえ、物凄く快適! 子宮取って良かった!!」
何でも生理痛が酷く、出血も半端じゃなく多く、兎に角月経が辛くて辛くて大変だったのだそうだ。
そこまで大変なら、そりゃ取っちゃった方が楽だよな……。
「生理の無い生活ってほんと素晴らしい! 人生変わったよ! これならもっと早くに決断しとけば良かったー!!」
「う、うん。でも声のトーンが、ヤバい宗教に嵌まった人みたいになってるから気を付けて……」
電話越しにでも、声がキラキラと輝いているのがわかった。
取り敢えず、彼女が幸せで良かった。


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