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■ 偽善者
内線がなった。出てみると木野さんだった。 木野さんは結婚してからも定期的にわたしに電話をかけてくる。
細い路地を行くとひっそりとあるバー。 小さいけれど品がよくて落ち着く場所。 木野さんが結婚する前、よく二人で行った。 わたしよりすこし年上で、いろんなことを知っている。 お互い自然に引かれ合ったという感じで、 初めてふたりきりになったとき、すぐにセックスをした。
つきあいは長く続かなかった。 木野さんは前の彼女との間に子供を作って結婚した。 最悪な日々を送った。
いまこうして会っている。 いつから誘われて会うようになったんだろう。 初めは愚痴っぽく木野さんの家庭のことや赤ちゃんのことを話した。 いつも悪酔いした。酔っ払ってセックスした。 木野さんはしおのフェラチオが好きだった。
3回目に会ったのは今年の春。 木野さんはよわっていた。一回り小さくなっていた。 いつもひとりでごはんを食べていると言う。 しおと休みの日も映画を見たり普通のデートがしたいと言う。 わたしはなんだかさみしくなった。 おしゃれで遊び好きだった木野さんはちょっと違う人みたいで、 なんだかかわいそうで、なぐさめてあげたくなった。
木野さんにひざまくらする。 木野さんのあそこにキスする。あごがいたくなるまで。 髪をなでる。 わたしはホテルの部屋でも服をきたまま。
しおは優しいなって言われて、うれしい。
わたしは心の中でくすくす笑う。
今日も内線がなった。 今日はいかない。
2001年07月29日(日)
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