「硝子の月」
DiaryINDEXpastwill


2003年12月12日(金) <錯綜> 瀬生曲

 シオンは楽しんでいるのだ。自分とのこの遣り取りを。
(気に入らないわね)
 まるで試されているようだとルウファは思う。それは実際、事実の一側面を捕まえていた。
「答える気が無いなら別にいいわ」
 だから少女は早々に会話を切り上げることにする。
「え、いいの?」
「あんまり舐めてると痛い目見せるわよ」
 紅玉ルビーの瞳が物騒な光を帯びて青年を見据え、青年は気圧されたように頬を引きつらせる。
「……って、あの白い女に伝えておいて」
「わかったよ」
 どこまでが本気の表情なのか、シオンはへらっと笑ってそれを請け負った。


紗月 護 |MAILHomePage

My追加