月と散歩   )   
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2003年11月29日(土) オヤ ゴコロ

転職の意志を親に伝えたのは、今年の夏のこと。

遅すぎるくらい、遅かった。


―――


僕の悪い癖で、
自分の中である程度カタチになるまで 外にその意志を出せないところがある。

…わかってるんだけど、やめられない。

だって、もったいないんだもん(笑)。


いや…。
そう言うと語弊があるかな。
すべては、何事にも「ひとを驚かせたがる」僕の性格に原因があるんだ。

驚かせる、ってことは相手になるべく情報を与えないでおいて
溜めに ためたモノを一気に放出することで最大限に効果を発揮する。
そう、思っている。

…イヤラシイ…?(苦笑)

タイミングも重要だ。
いままでにも、その機を逸したばかりに闇に葬られた『驚き』がたくさんある。じつは。
機会を逃した『驚き』は、驚きでもなんでもない。
ただの間の悪い冗談だ。
それだけは勘弁だ。

外した『驚き』は、振り返らない。
どうしようもないし、空しいだけだ。

…そうしているつもりでも、やっぱり眠れない夜なんかに思い起こしてしまう。

ああ…。
あの時、あれが出来ていれば…。
伝えることができてたなら…。
僕や周りは 変わっていたかもしれない…。
なんて。

そしてまた、眠れない。。。


―――


閑話休題。


―――


話が思いっきり逸れました(苦笑)。

で、今回の転職云々の話も、
長い年月をかけて僕なりに伏線を張ってきました。
でも、いざ…!ってときに いつも予想外のイレギュラーが発生して
結局 今年の夏に最悪のタイミングで発表することになったわけで…。

それでも、伝えられただけ ましさ。

…そう思ってるのは、きっと僕だけだ。


―――


親の反応は、おおよそ予想通りのもので。

「そんな、先のあてのないことを」
「いままでの積み上げてきたことを無駄にするのか」
「おまえの言ってることは理想ばかりだ」
「なにを言ってるのか、わからない」
「失敗したらどうするんだ」
「おまえひとりじゃ ないんだ」


『反対』。


つまりはそういうこと。

…ってか、なんだ?
僕は高校生か?!(苦笑)


なにより残念だったのは、説得の材料がすべて『金銭』『安定』に結び付いていることで。
たしかにそれは大切なことだろう。

けど僕ももう子供じゃない(つもりだ)。

そんなことは、このことを思い立った4年前からずーっと自分に問い続けてきたことだ。

その結果たどり着いた自分なりの『答え』が、ひとつも伝わらなかったこと。
それが、情けない。やるせない。


―――


先週、もうひとりの『親』ともいうべき、原籍の作業長が応援先に面会に来た。

『対話票』なる書類を携えて。

この対話票、
「言ってみなけりゃ始まらない/聞いてみなけりゃわからない」
と もっともな標語のもと
日頃の不平不満をぶっちゃけてみなさいな、という上司の粋な計らいなのだけど…。

無記名ならともかく、所属はおろか社員番号まで記入して ぶっちゃけろ、なんて。
そんなものに書けることは、不平不満とは言わない。

「書いたところで 変わらない」と標語に付け足して。


さて…。
こっちの『親』には、どのタイミングで ぶっちゃけるか…。


―――


 憧れや名誉はいらない

 華やかな夢も欲しくない

 生き続けることの事の意味

 それだけを待ち望んでいたい


―――


誰もやったことがないから。
…なんて、くだらない恐怖心は僕には効かない。


『金銭』やら『安定』やら…。

それからひとつ、突き抜けた存在に 僕は なりたい。



2003年11月28日(金) コのココロ


そういや、しばらく仕事の話をしてなかったや。

―――

いつか書いたように、いまはロケットの仕事を離れて 戦闘機の整備をしている。

ロケットも、仕事がないわけじゃないんだけど
ひとをたくさん置いておくことができなくて、他所の職場に『応援』しているわけです。
ウチの会社ではよくある話で。

―――

なかでも僕は『応援』に出されることが多い。


他所の職場が長いと、ロケットの仕事を覚える機会が少なくなる。
他所へ行っている間は、自分の課の評判を下げないように と一生懸命になる。
自然と、応援先で僕個人の評価が上がる。へへん。
でもそうすると、自分の職場であまりいい顔をされなくなる。ぬう。
応援から戻っても、後輩に仕事を教えてもらう始末。

「あいつは『使えない』」

そう言われないように、がんばって遅れた分 取り戻す。
…その暇もなく、仕事の谷間がくる。
…と、他所からお声が掛かる。

「あいつは『使える』から」

…悪循環…。


すんません。愚痴ですね。贅沢な。

評価されたいところで認めてもらえず、
思いがけないところで評価される。


いくら、ヨソのお宅で
「あの子はいい子ねー」
と言われても、
自分の家で
「おまえはダメな子だ」
と言われてしまっては、悲しくなる。空しくなる。
…やるせない。

他人から見れば、きっと贅沢な悩みだ。
でも、結局は当人の価値観。

となりの芝は青いのです。いつだって。


…愚痴ですね。ウツですね。こりゃ。

―――

そんなわけで(?)、僕はいまだに戦闘機の整備をやっている。

当初の予定では9月いっぱいで、ロケットのほうに戻れる話だった。

…そして予想通り、応援期間は延ばされた。
理由はいろいろある。
9月に打ち上げが予定されていたロケットが、様々なトラブルで11月末に延長になった。
あらゆる面で 不安定な職場だ。

でも、どうやら僕の応援延長は初めから予定されたモノだったらしい。

少なくとも今年度いっぱい(3月末まで)、ロケットには戻れない。

驚きはなかったけど、落胆は大きかった。

―――

応援に出て、早 半年が過ぎようとしている。

作業もだいぶ覚えた。
僕が来てからエンジンを積んだ機体ももう10機を越える。

いまはエンジンを積んだ後の、スロットルの調整が主な僕の担当だ。
もちろん、すべてを任されている訳じゃないけど。

スロットルというのは、車で言うところの『アクセル』にあたる。
これでエンジンの出力を調整する。
飛行機は車と違って三次元の動きをする。
つまり『高さ』があるわけで。
車は、もしエンストしてもその場で停まるだけだけど
飛行機は エンスト=墜落 だ。

そうならないように、試験と調整をするんだけど
責任は重大。

やりがいもある。
…応援者の僕がやってていいのか?って疑問もあるけど(苦笑)。



けど。

なにか、満たされない。

―――

『子供』は、ほかでなにを言われても
ちょっとでいいから『親』が頭を撫でてくれれば
それでいいのです。


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