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しもさんの「新聞・書籍掲載文」
しもさん
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1996年11月23日(土)
草の根で進む開発支援(38歳)

読売新聞 朝刊(LOOKにっぽん)

激動するアジア・・。
その中でも最近とくに注目を集めているベトナムを訪れる機会に恵まれた。
ベトナムは「ドイモイ(刷新)」政策で市場経済化を急いでおり、
昨年七月には東南アジア諸国連合(ASEAN)への加盟も果たした。
社会全体が豊かな国造りへの意欲に燃え、活気に満ちている。
「一人一人がレベルアップすることが社会を大きくする。
それが国を発展させる。現地の従業員にそう話しているんです」
ベトナムに進出した日系企業の幹部社員がそう語った。
ベトナム人を単なる低賃金の労働力として扱うのではなく、
「明日のベトナムを担う人材」として接する。
そういう考え方を念頭に雇用しているという。
ベトナム人たちも、そうした思いにこたえて働いているようだ。
とにかくベトナム人たちは勤勉で頑張り屋だ。
仕事が終わると日本語学校をはじめ、いろいろな学校に通っている。
英語・日本語をマスターし、将来、欧米系、日本企業で働きたい、
通訳になりたいという若者が多いのもうなずける。
その一人一人のパワーが国全体のエネルギーとなって、
ものすごい力を生み出してきている。
きっと終戦直後の日本もこんな雰囲気だったに違いない。
現在の日本の安定志向が悪いというわけではない。
が、彼らはそれぞれが何か目標を持ち、
それに向かって懸命に努力しながら生活している。
そういう向上心のある人々が集まることで活気ある町、
豊かさを実感できる国が実現するのだろう。
アジアの国々で日本の企業が、そのお手伝いができれば・・と思う。