快賊日記「funnyface」

2006年08月29日(火) 敗北者

頑張れと背中を押してくれる人がいる。
目標があるうちが華だろう。
そう言って自由に泳ぐ場所をくれる。
そこは澄んで深く鮮やかな水の中。
息を深く吸い、溜め込んだそれを細く長く
未来へ繋がるように吐き出していく。
そして繰り返す、律動。
大きくかく手、たまに休めて。
それでも覚えた呼吸は溺れる事を知らない。
人生は一度きり。
やめて後悔するも、続けるからこそ後悔するも
分からない。ただ白い明日があるだけで。
だからこそ好きなようにすればいい。
そう言って小さく笑うその横顔に
涙を抑える私は、幸福の敗北者。



2006年08月26日(土) bet

わき目も振らず走る事というのは、
まぁそう難しい事でもなく。
外野の声が気にならなくもないと言えば
その通りだけど、とはいえ許容範囲のうちで。
だからちょっと疲れたり多少なりとも傷ついたり
なんて当たり前と思えたり。
年を重ねる毎にずうずうしくもなっている
のかもしれない。
何が何でもやり遂げようという思いは、
強い意思であって、我侭でもあると思うから。
それでも待ったがかかる時がある。
生きる為のバランスは必要で。
そして走る為には、走る体を作るのも大切で。
もう少しもう少し。騙し騙しの言葉が利かなくなってくる。
あがられない程の焦燥感と苛立ちを隠し持って、
走る為に強くあれと自分をまた蹴り飛ばす。
もういいだろう…尤もだ。
だけどより響く声で囁かれる。まだいけるだろう、と。
…願ってもない。
諦めの悪さは止まらない。



2006年08月15日(火) 受け継ぐ命

薄紫の花が咲いていた。
緑もおうおうしく茂り、
空は高く澄んで青く眩しい。
それでもどこか薄暗く、時々涙を落としてく。
そして涙が天と地を結び、地はあの日吸い込んだ
全ての想いを空へ空へと押し上げる。
拝啓、そちらはどうですか。
長く続く時間の刻みは、心を癒してくれますか。
たおやかに穏やかに、あの日から心を開放して
くれますか。あの日まで見ていた夢は何でしたか。
若く健康な若者には、たくさんの希望と
真っ白な未来が約束されていたはず。
奪った全てに怒りを覚え、
失った全てに枯れぬ涙を流した事でしょう。
どれ程の時が経とうとも、取り除けない痛みがある。
知りもしない事実に、私は今年もこうして一人
涙を流す。去っていってしまった人へ。
そして、残され痛みから開放される事なく
毎年同じ涙を流し続ける人へ。
だけど忘れないで欲しい。私たちはあなた達なのだと。
あなた達が生きていればしていただろう恋も夢も
私は必死で頑張ってる。あなた達が夢見たであろう
真っ白な未来を、私も今必死で探している。
決してあなた達の全てがなくなったわけじゃないのだと、
思いだけは続いているのだと知って欲しい。
人は必ず同じ夢を見る。それは永遠に受け継がれていくものだから。
だからどうか、今は穏やかな夢を見て欲しい。
安らかにゆっくりと眠って欲しい。
そう願わずにはいられない、名もない私の祈りを
どうか叶えて欲しい。
どうかどうか痛みを忘れ悲しみを忘れ、安らかに…。



2006年08月06日(日) 幸せな日。

私には小学校からの友達がいる。
本当にとても長い付き合いで、
今更何も隠す事もないほど気の知れた間柄。
家族以外でそこまで長い付き合いの人はいない。
いつだって甘ったれな私を許して諌めて
愛してくれる存在。
そんな人たちと久しぶりに会う約束をしていた。
もう二ヶ月くらい前から約束をしていた今日。
会えるのは一年に数える程度。
それでも会えば昨日の話の続きのように
会話は途切れる事を知らない。
私は今日、とっても幸せだった。
大好きな人に囲まれて、とても素晴らしい体験をして。
一緒に喜んで一緒に感動して、別れ難い気持ちで
手を振って。とても幸せな一日だった。
この日をこんな気持ちで迎えれた私は本当に
恵まれてると思った。
私たちには用意された今がある。
それは失われた時の上になりたつ今だ。
61年前の今日、全てを失った人たちの。
その上に、私は与えられた今日を迎えた。
とても幸せで幸せで。その過去に深く深く目を閉じた。


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