エスムラネット・日記

2004年03月18日(木) 忘れもの

広島・山口旅行の最終日。

 めったに会えない人と別れる時は、いつも必ず、何か忘れものをしたような気になる。自分の発した一言一言に妙にセンシティブになり、「あれで良かったんだろうか」と後でくよくよしてしまう。今回は、非常に楽しい旅行だったのだが、短期間にいろんな人と話をしたため、特にその感覚が強い。昨日別れた祖母に対しても、今日の昼に別れた叔父一家に対しても、今日の夕方に別れた広島の学生さんに対しても、そんな思いが心にからみつき、東京についてからも離れない。
 少しでも楽になろうと思って、今、この日記を書いている。

●その他の行動
・午前中は、ホテルに迎えに来てくれた叔父といとこと共に、錦帯橋や岩国城を見て回った。このいとこは同い年なのだが、やはり最近退職したばかりで、今日は午後からハローワークへ行っていた。「お互いに、いいタイミングで(?)会えて良かったなァ」と思った。錦帯橋は架け替え工事中だったのだが、その技術に驚いた。また久々に訪れた岩国城はやたら小さく感じられ、こちらも驚いた。
・錦帯橋の近くの白蛇博物館に立ち寄ったところ、白蛇が(餌の)ねずみを飲み込む瞬間を目撃。「うわァ」と思いつつ、目が離せなかった。「怖いものみたさ」とは、このことであろう。はじめのうち蛇は、ねずみを半分くわえたまま、しばらくじっとしていたのだが、突然すごい勢いで首を振り回し、あっという間に全体を飲み込んでしまった。身体を半分飲まれながらも、穏やかな表情をこちらに向けていたねずみの顔と、飲み込まれた後、蛇の皮膚ごしに見えた暴れるねずみの脚が忘れられない。
・羽田からリムジンで帰ると、新宿駅に着いてからどっと疲れが押し寄せる。そこで今日は、京急とJRで帰ったのだが、山手線に乗ってから激しく後悔した。とにかく人が多い……。しかも山手線は、事もあろうに新型車両であった。この車両は、天気予報やら「英語で答えよう! シャベリオーネ!」やらを映し出す液晶モニタが各ドアの両脇に設置されているせいで、網棚が長さ50〜60cm、奥行20〜30cmほどしかなく、とても荷物を置けたものではない。一体何をとち狂ってあんな設計にしたのか。やや理解に苦しむ。



2004年03月05日(金) ダウンタウン・フォーリーズ

 夜、青山円形劇場へミュージカル・レビュー「ダウンタウン・フォーリーズ」(第2弾)を見に行った。
 これは、島田歌穂(敬称略)ら4人の出演者が、ポップスからミュージカルのナンバーまで、いろんな曲を歌いつつ、タップダンスをやったりコントをしたりする、というものである。約2年ほど前に観に行った第1弾が非常に面白かったので、かなり期待していたのだが、今回も次から次へと繰り出される技に圧倒されたし、いろいろと勉強にもなった。たとえば、「レストラン殺人事件」(死体をめぐるコント)。最近、テレビで若手芸人が同じようなことをやっていたので、ついつい「どっちがどっちをパクったんだろう」などと考えてしまったのだが、これは「古くからある名作コント」なのだそうである(パンフレットに書いてあった)。「名作コント」というものが存在するなんて……知らなかった……。
 ちなみに、このレビューの中には「マリリン・モンローに扮した島田歌穂と北村岳子が、その月生まれの観客(開演前に申請する必要あり)を祝う」というコーナーもあったのだが、いつもどおり、開演ギリギリに到着した(時間を無駄にしない主義)3月生まれの私の替わりに、友人が申請しておいてくれた。「エスムラルダ」の名前で……。そのため島田歌穂は「次は……ミス・エス……エスム……ごめんなさい、(紙に目を近づけ)エスムラルダさん」と、まず名前で戸惑い、立ち上がった人間が男であることに驚き、全ての人の紹介が終わった後、「今日は全員女の方で……」と言いかけて動揺し、次の手順を間違えて「エスムラルダさんが頭から離れなくて……」とコメントしていた。申し訳ないことこの上もない感じである。が、私は15年くらい前から島田歌穂ファンだし、何と言っても彼女は、エリザベス女王の前で「on my own」を歌ったという、華々しい経歴の持ち主である。その同じ口から、何度も「エスムラルダ」という単語が飛び出したのは、とても嬉しかった。
 しかし、そのままではタダの「ちょっと目立ちたがり屋な、イタイ人」になってしまいかねないので、終演後、劇場の駐車場からご主人の運転する車に乗って出てきた彼女(ものすごく気さくないい方で、きちんと車を停めて、ファンに応対していた)に駆け寄り、「エスムラルダ」が女装名であることを伝え、女装写真入りの名刺を無理矢理押しつけてしまった。「イタイ人」を解消するつもりが、恥の上塗りである。

 というわけで、島田歌穂さん、いろいろとご迷惑をおかけして申し訳ありません……。名刺は、邪魔になるようでしたらお捨てください……。

●今日の行動
・「ダウンタウン・フォーリーズ」の後、新宿2丁目で行われていたイベント「glitter」に遊びに行った。このイベントは毎回、懐かしい曲がたくさんかかるので、ついつい帰りそびれてしまう。今日も結局、朝まで遊んでしまった。年寄りの冷や水とは、このことであろう。
 しかし前半は、海外からいらした方々(と、彼らをひたすら崇め奉り、甘やかす日本人)が多く、閉口した。いや、単にいるだけならもちろん構わないのだが、クラブ等で見かける彼らの多くはとにかくガサツで、自分たちのことしか眼中にない。ドラァグクイーンのショウが始まっても、演者や観客を全く無視して、うんじゃらかんじゃらと、英語で大声でまくしたてている(英語が理解できる人に聞いたところ、言っている内容も腹立たしいものだったようだ)。
 もちろん「海外からいらした方々」などとひとくくりにしてしまうのはあまりにも乱暴な話だし、私自身、知的で奥ゆかしい(海外からいらした)方を何人も知っている。それでもいざ、一部のデリカシーのない人たちを目にすると、ついつい「これだから欧米の中華思想(帝国主義思想?)は嫌だッ」などと思ってしまうのが、「偏見」の恐ろしさであろう。ただでさえ、海外に行く度に(って、そう何度も行っているわけではないが)「日本って、なんて親切で丁寧な国なんだろッ」だの「『謙虚さ』は日本の美徳ッ。何でもかんでもグローバル化されるのは絶対反対ッ」だのと考えてしまう、今日この頃である。「国粋主義」(?)や「偏見」とは無縁なつもりでいたのに……。まだまだ未熟な私である。


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森村明生 [MAIL] [HOMEPAGE]

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