エスムラネット・日記

2004年01月17日(土) タップダンス

 午後から、ネットで見つけた千駄ヶ谷のダンススタジオへ、タップダンスを習いに行った。
 「タップダンスをやろう」と思ったのは、NYで観た「42nd street」と、先日銀座で観たダンス・レビュー「shoes on」に触発されたためである。今日は、とりあえず「体験入学」で行ったのだが、丁寧に教えてくれそうな所だったので、結局入会してしまった。
 実は、タップダンスの「体験入学」は、今回が初めてではない。昨年の5月頃に一度、友人と共に、中野にあるダンススタジオに行ったのだが……。そのクラスには、ステージママたちに連れられた、希望と野心に燃える10代の少女たちしかいなかった上(そんな彼女たちがツッタカツッタカ達者に踊っているのを観ると、何だか息苦しいような腹立たしいような、複雑な気持ちになった)、レンタルシューズがあまり充実していなかったため、入会をためらってしまったのである。今日のクラスには、20代〜30代と思われる男性もかなりいて、その点も何だかホッとした(しかし彼らも、ツッタカツッタカ達者に踊っていた)。
 私はとにかく不器用で、要領も飲み込みも悪く、何をしても最初は確実に出遅れる。高校時代のスキー教室では、初日からみなについて行けず、「教頭先生の特別レッスン」で徹底的にボーゲンを叩き込まれたし、受験勉強(特に理数系)や大学での勉強も、理解するまでに本当に時間がかかった。そのため、早々にあきらめてしまったこともたくさんある。だが一方で、あきらめなかった……というか、やるしかなかったいくつかのものに関しては、「もうダメかな」と思いながら続けているうちに、「目からウロコが落ちる瞬間」が何となく訪れた。おかげで今では、たいていのコブは、ボーゲンで乗り越えられる(他のスキーヤーにとってはかなり迷惑)。シナリオにしてもタップダンスにしても、人並みに書いたり踊ったりできるようになるまで相当時間がかかると思うが、あせらず地道にやっていこうと思う。
 ちなみに、5月に行ったクラスには、何故か女優のS田A矢子も(恐らく)「体験コース」で来ていた(私は友人に指摘されるまで、S田A矢子とは気づかなかった)。しかし、やはりツッタカツッタカ踊る少女たちから取り残され、授業の中盤以降は私の友人と2人で「ついていけないわよねェ」などとボヤきつつサボっていた。

●その他
・帰宅途中に、近所の区民センターに立ち寄ったところ、「初心者マジック入門開講」(月曜昼間開催)の文字を発見。さっそく申し込む。急に習い事の数が増えてしまった。しかもマジックやらタップダンスやら、金にもならなければ、仮に再就職を志したとしても、何のキャリアアップにもならない(むしろダウンか)ものばかりである。そんな自分がちょっと愛しいと思う、今日この頃である。
・夜、友人と仕事の打ち合わせ。一昨年から昨年にかけて、この友人と2人で、ある音楽関係の会社のサイトにストーリーものを書いたのだが、その流れできた仕事である。書く仕事をいただくのは、やはり嬉しい。
・その後、10月に沖縄に行ったメンバーと、近所の沖縄料理店で飲み会。いずれ旅行記録を書きたい、と思っているのだが、彼らとの旅行は本当に楽しかった。今日の飲み会も終始、良い雰囲気だった。



2004年01月16日(金) 「森は生きている」

 イープラスでハーフプライスチケットを入手したので(B席2000円。一番後ろの席だった……)、無名塾のミュージカル「森は生きている」を観に行った。
 前にも、少しだけ書いたことがあるのだが、私はこの、「森は生きている」という戯曲が大好きである。
 最初にこの作品と出会ったのは、小学3年の時であった。当時住んでいた家の近くに市民会館があって、そこでアニメ「森は生きている」を上映していたのだ(「東映アニメ祭り」とか、そんな類のイベントで、同時上映は「サイボーグ009」だったと思う)。主人公の声をやっていたのは大竹しのぶであった。確かこの同じ年の正月に、ドラマ「和宮様御留」を観て、すっかりしのぶファンになってしまった私は(おかげでそれから長い間、両親はおろか親戚からも「あっちゃんは、大竹しのぶが好きなのよねェ」と言われ続けた。彼らは明らかに「好き」の意味を取り違えていた)、「しのぶが声をやっているから観るのだ」という、かなり明確な目的意識をもって、市民会館へ赴いたような気がする。
 しかし、「しのぶ目当て」で観たこの映画は、幼い私にすさまじいインパクトを与えた。あまりにもインパクトが強すぎて、その年の学芸会では、「みなしごの王子」(町の片隅で、兄と肩を寄せ合って暮らしていた少年が王の家来に誘拐され、病死した王子の代役にされてしまう話)などという、「和宮様御留」と「森は生きている」を足して2で割ったような劇までやってしまったほどである。
 「森は生きている」は、「いつも継母と姉にいじめられている気立ての良い娘が、その国のわがままな女王に無理難題を吹っかけられたりしながらも、森で出会った1月〜12月の精たちのおかげで、最後には幸せになる」という話である。「いじめ」「わがままな女王」「サクセス」という、オカマ心(と一括りにしてしまうのは乱暴だが)を刺激しまくる3大要素に加え、主人公の声が大竹しのぶ。「ハマるな」という方が無理であろう。だが、私の心を本当に鷲づかみにしたのは、クライマックスシーンであった。主人公は、「4月の精」から「何か危険なことが起こったら、これを湖の上に投げて、呪文を唱えろ」と指輪を渡されるのだが、その指輪が強欲な姉に盗まれ、さらに女王の手に渡ってしまう。クライマックスで女王は、主人公に無茶な命令を下し、その命令を聞けば指輪を返してやる、と言う。頑として従わない主人公に怒った女王は、主人公を苦しめようとして指輪を湖の上に放り投げるのだが、その瞬間に主人公が機転をきかせて呪文を唱える。――それぞれの思惑が交錯して、予想外の方向へ向かっていくこの展開が見事で、幼い私は気が狂わんばかりに興奮したものだ。
 で、今日の舞台はどうだったか、というと……。物語自体はやはり素晴らしいし(新たな発見もあり、味わい深かった)、セットなどもなかなか良く出来ていたと思うのだが、やはり曲が……イマイチであった。
 これに限らず、日本製のミュージカルを観るといつも思ってしまうのだが(そして、あまりこういう言い方をしたくはないのだが)、ミュージカルに関しては、日本は本当に未熟である。大人(というか、若者以上)の文化に全くなりえていない。(ひょっとしたら、私が今までに観たものが良くないのかもしれないが)曲はどれも文部省唱歌的で、ユニゾンか、せいぜい2重唱。耳に残るメロディもなければ立体的な構造もない。また、観客や役者の感情の盛り上がりとは関係なく歌を突っ込んでいる(としか思えない)ので、タダの「歌入り芝居」になってしまっている。11月にも、ある和製ミュージカルを観たのだが、曲を杏里等が書いている、というだけで根本的には他のものと何ら変わらず、がっかりであった。演出家は「笑っていいとも」で「これを観たらタモリさんのミュージカル嫌いも治りますよ」と豪語していたのだが……。あれを観たらますます嫌いになるであろう。
 恥をしのんで書くが、現時点での私の最大の夢は「日本を舞台にした、若者〜大人向けのミュージカルを作ること」である。もう少し力がついたら、必ずそのための台本を書く。

 ので、誰か、作曲の作業を一緒にやって下さい。

 それから、成人して以来、アニメ「森は生きている」を探し回っているのだが、ビデオ化されていないらしく、いまだに入手できていない。

 ので、もし持っている方がいらっしゃいましたら、ご一報下さい。

●その他
・数日前から「ホワイトアウト」を読んでいたのだが、昨夜、どうにも止められなくなり、結局朝の5時まで読みつづけてしまった(プーの特権)。
・今日からエッセイ「ナースの味な生き方」を読み始める。


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森村明生 [MAIL] [HOMEPAGE]

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