2011年10月31日(月) |
国による不自然で強引な物事の進め方 |
野田佳彦首相は31日、ベトナムのグエン・タン・ズン首相と官邸で初めて会談し、昨年10月に合意したベトナムでの日本の原子力発電所建設について、計画通り実施することで合意し、共同文書の「日ベトナム共同声明」に署名した、というニュース。
野田佳彦首相は、11月にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を表明する意向を示した、というニュース。
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夏が終わって、日本の政治は狂ってきた。
別に菅直人が特別によい首相だったと思っているわけではない。
しかし、こぞって菅直人を何が何でも首相の座から引き摺り下ろしたかったのは、 要するにこうしたことをやりたかったからだ。そう解釈している。
そもそもTPPについては、奇妙な記憶がある。
3月の震災直後、まだ被害の全体も見えていない、行方不明者の安否確認情報が行きかうような頃、 ラジオで「今こそTPPの流れを止めてはいけない」と力説するヘンな政治家がいた。
残念ながら、どこの党の誰だったか覚えていない。 でも、それが明らかに非常識な違和感を感じるものだったのは良く覚えている。 まるで通夜の席で株取引の話をもちあげられているような、切羽詰った言い様が気味悪かった。
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国による不自然で強引な物事の進め方に、もう私達は懲りたはずだ。
「輝く未来のエネルギー」という甘言のもとに、無思考に事をすすめ、 挙句、輝く未来は手に入らず、人生-未来そのもの-を失った。
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国家が不自然で強引な物事のすすめ方をするときに、私達は気をつけなければいけない。
このことについて、この際、どの政党がすすめているか、ということはあまり関係ない。考慮する必要はない。
言っていることがよくわからなくても、わざとそうしているのだから我々が悪いのではない。
「それはなんだか不自然で強引だから嫌だ」と言ってよいのだ。
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甘言に乗せられるのはもうやめなければいけない。
原発政策で騙され、郵政民営化で騙され、またTPPで騙されれば、 海外の良識ある市民から、騙される日本の市民の方が悪いと言われても、仕方がない。
2007年10月31日(水) 2006年10月31日(火) 色あせた看板に書かれた意志は 2005年10月31日(月) 2004年10月31日(日) 広大な国土の閉塞感
2011年10月29日(土) |
亡国に至るを知らざれば之れ即ち亡国の儀 |
Hは、足尾へ山の集まりに。
足尾、と言えば、足尾鉱毒事件である。 日本最初の公害問題だったっけ、とウィキペディアをのぞく。
この事件は、明治初期に古河鉱業が起こした。 そして、なんと現在もまだ収束していない。
事件の発生と経過をみると、とても100年前の事件とは思えない。
被害の過少評価、事実の隠蔽、欺瞞、言論封じ込め、 そして民衆の受けた肉体的、精神的、社会的苦痛は、
現在進行形である原発事故をめぐる実態と、恐ろしいほど同じだ。
国家は、過ちを認めない。 企業は利益の追求をやめない。 古河鉱業は存続し、東京電力もきっと存続する。
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我々の文明は、科学の未知を無視して、その恩恵だけ先取りしている。 そうだから、100年に一度ぐらいには、 明白な公衆への健康被害や環境破壊−公害問題−が起きる。
公害が起きることは、為政者にとって、わずらわしい。
普段はおとなしい羊の群れのような民衆をざわつかせ、補償という不名誉な経済的損失を生じさせ、政治的に不安定になる。
だから、国家は、公害という概念を封じ込めた。
公害基本法を環境基本法に発展させるという巧みな方法で、 公害は過去のものでもう起きない、と思わせることに成功した。
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でもこうして見てみれば、足尾鉱毒事件の時代と、何一つ変わっていない。 原因も、結果も、対策も。
国会に質問に打って出て、天皇に直訴した田中正造は有名であるが、 現代の田中正造がいるとすれば、さしずめ小出裕章助教あたりだろうか。
2010年10月29日(金) My Favorite Things 2007年10月29日(月) どんぐりと山ねこと私 2005年10月29日(土) 宗教的ドーピング 2004年10月29日(金) 陛下万歳
2011年10月28日(金) |
天気はすべて「よい天気」 |
ラジオで、気象予報士の渡辺博栄さん。
常日頃、毎日呪いのようなことしか言わない気象予報士という職業をひどいものだと思い、この日記でも散々意地悪く書いてきた。
そうだから、渡辺さんの気象予報に対する姿勢を聴くことができたのは、 私にはとても嬉しかった。 そうそう、こうでなければ!と、昼ごはんの茶碗を片手に一人、鼻息を荒くしたのである。
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渡辺さんが、私が普段悪く言う「データ型気象予報士」と違うのは、その経験である。 秋田県のご出身であり、実家の農業を手伝う中、厳しく美しい四季の自然の中に身を置き、寒さや暖かさを感じて育ってこられた。
「天気というのはどんな日でもすべて「良い天気」だと思ってください」、と渡辺さんは言う。
晴れの日だけではなく、雨の日も、寒い日も、すべて生き物が生きて育っていくために欠かすことができないものなのです、と仰る。
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天気予報はもちろん、人間の生活のために必要な情報であるから、 暑くなく寒くなく、晴れるに越したことはない。
でもそんなのは、貧しいと思うのである。
雨が降るありがたさ、霜が降りるありがたさ、暑さが厳しくなるありがたさ、 それを伝えられる気象予報士である渡辺さんは、素敵だなあと思う。
2010年10月28日(木) 男はオオカミと説く男 2005年10月28日(金) 2004年10月28日(木) 生死への共感
朝のNHKラジオに耳をとめる。
国と東京電力は、福島第一原子力発電所の事故収束に向けた工程表の今回の見直しで、原子炉の冷却が着実に進み、放射性物質の放出量も1か月前の半分に減ったとしたうえで、原子炉の「冷温停止状態」を目指す「ステップ2」の達成時期を、「年内」に前倒しする計画を明記することになりました。 これは国と東京電力が17日に発表する福島第一原発の事故の収束に向けた工程表の見直しで明らかにします。 今回の見直しでは、1号機から3号機の原子炉周辺の温度がいずれも100度を下回ったことに加え、外へ放出される放射性物質の量も、最新の調査で1時間当たりおよそ1億ベクレルと推定し、1か月前の半分程度に減ったと評価しています。
というニュースだ。
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昨日の新聞。
東京海洋大のチームは15日、福島県いわき市の沿岸で今年7月に採取したプランクトンから高濃度の放射性セシウムを検出したとする調査結果を発表した。東京電力福島第1原発事故の放射性物質が取り込まれたとみられ、プランクトンを餌とする魚類への影響が懸念される。石丸隆教授は「食物連鎖で魚にどのように濃縮されるか分からないので継続的な調査が必要だ」と話す。
チームは7月上旬、いわき市の沿岸から60キロ沖までを航海し、プランクトンや小型の底生生物を採取。検出したセシウムは、沿岸近くのプランクトンが最高で1キロ当たり669ベクレルと高く、沖合10キロでは同6ベクレルと低くなった。また底生生物のクモヒトデからは同137ベクレルを検出。底生生物は海底にたまった放射性物質を取り込むため、今後濃度が高くなる恐れがあるという。
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得意そうに工程表の進捗を報告しているが、ちょっと待てと思う。
一時間あたり一億ベクレル。 それほどの放射性物質が、未だに放出されている。 そして、それらは山に、里に、海に確実に蓄積されている。
文部科学省がノロノロと汚染地図を公表しているが、 ここ長野県も含めて、東日本は回復することのない汚れた国土になってしまっていることがわかる。
海底のプランクトンに確認されたセシウムは、生物濃縮され、 いずれヒトの体内に入るだろう。
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思えば、3月12日の事故直後の所感は、何も変わっていない。
私たちの環境はすっかり変わってしまった。 取り返しのつかない大異変が、生じたのだ。
この日常は、それでもただまだ我々が生きている、という、 弱々しくさえない現実があるだけのことなのだ。
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ガンの発症、知能の低下、生殖能力の低下、これらに伴う社会の劣化。
既に発症しているこれらの事象がさらに顕著になり、 私たちはそれが回復不能であることを納得し、 対処療法を重ね、これまでの文化や文明は過去の人間の成果とあきらめながら、 人間社会としての外郭だけを保っていくのだろう。
2010年10月17日(日) 救出劇と国家 2005年10月17日(月) 参拝される日 2004年10月17日(日)
昨晩遅くに帰宅。入れ替わりにHが仕事に出かける。
たまった洗濯物や家の埃や子ども達の不満を、片端からやっつけていく。 休みの日はほとんどこの作業に忙殺される。
8月末から我が家の日常生活はほとんど破綻しているのだ。
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そうだから、長年愛読させていただいているブログのJさんから、 有難いバースデーメールを頂戴するまでは、自分の誕生日など二の次三の次でほったらかしていた。
送っていただいた美しい星雲の画像を眺める。
思えば、自分がこの星に生を受けたことも、この宇宙の不思議な現象の ひとかけらなのだと、感慨深く思う。
お前はなぜ宇宙のここに存在しているのかと問われても、その答えを私は知らない。 そしてそれはとても素敵なことだ。
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肉親以外に、どこかで自分の誕生日を覚えていてくれる人がいる。 そのことの、何と嬉しくありがたいことか。
2010年10月01日(金) 2006年10月01日(日) 美しさに関する苦言 2005年10月01日(土) 狂気のオクトーバー・フェスタ
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