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2005年11月04日(金) オトナだから


朝の珈琲を飲んでいたら
湯気の向こうで家族の声がした。
「いってきまーす」
朝の風景をこんなにゆっくりと
見送ることをしたのはいつだっただろうか。

昨夜ふと口にしたことと言えば、
「明日の昼だいじょうぶ?」
「大丈夫よ、大人だから心配ないって。
 子供じゃあるまいし」
安静状態の私を気遣っての言葉を
返したのだったが、

 大人でも
 大丈夫じゃないこともあるんだよな

とふと光が沢山注ぐ南の窓際で
癒されながらそう思ったのだ。

私だけではなく家族も大人。
自分の事をやることも大事だけど
気にかけることもそれより重要だということ。

どうしても頑張りすぎちゃったり、
我慢しすぎてもがいたり、
自分が見えなくてやりすぎてしまうことも多い。

たまには意地を張ることもいいけれど
大人だから無理ばかりしてばかりでは良くないよ。
カーテン越しに
週末の夕闇の刻を待っている。


2005年11月03日(木) きみに逢いたかった夜


少し落ち着いた寒い秋の朝の日のこと、
病院へ向かうことになった。
少々不安であったものの、
家族がついてきてくれたので
なんとか前へ足を運ぶことが出来たのだった。

医師に言われて驚かなかったのは
私や家族が覚悟していたとおりだった。
診察の日に私は手術を受けた。
麻酔からさめて
行き場のない病室のベットの上の夜は
なかなか今日の終わりに辿りつけない。

ガラスの向こうの遠くには街のネオンが
とても綺麗で輝いていた。
何も考えなくって都合がいい
景色が目の前にあった。

今年の夏が終わったとたん、
私の中にもうひとり家族がいることがわかり
喜びも今にしたら束の間の出来事だった。
ほんとに短くてあっというまに
散ってしまうような季節。

きみにとても逢いたかった夜、
たった一度きりでも
この世できみを抱きしめたかったよ、
そう伝えられたら
どんなに私は幸せなんだろうか。


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