Distortion


--冬の蛹--


音の無い旋律 蛹は羽化した

羽根は大きくはばたき

季節を忘れ 冷たい空へと


身を焦がしても命を繋いで

ほんの一瞬輝けるときを探して




2003年01月10日(金)



--朝と夜--


静寂が辛うじて包むこの夜を壊すのは

聞きたくも無い声 

私の眠った記憶は少しずつ目を覚ます

光が差し込む美しいその朝を壊したのは

紛れも無い私の声


私と夢と現実の境目

細い紐で結わきつけてあるだけの物

でもそれも確実に現実


2003年01月09日(木)



--光--


私に光を期待しないで

星が落ちるのを望むぐらい

綺麗な虹が滲んだ空は

下にいる私に常に圧力を与え

心が持つ言葉を容赦なく壊す


解き放つために持っていた鍵すら

粉々になって手から零れ落ち

徐々に心が重くなるのを感じる


2003年01月08日(水)



--果て--


ゆっくりと想った 心の中は形にならず

伝える術がなくなってしまった

考えても過ぎてしまい

やがて内へ内へと入ってくる


流れる先には何も無くて

其の果ては望まなくてもやってくる

行き急がないで

ただ流れに身を任せて

来るものは拒めないから


2003年01月07日(火)



--澱み--


静かな青を塗った空を最近見た気がしない

泣き崩れた夜 冷たい朝

たくさんの時間が流れていったのに

何も変わらない空は流れない

いつまでの昔の思いが留まり続ける


錆付いた歯車が回る音

悲鳴にも似たおとが耳を突いて

私をここから追いやる


逃げ出そう

つまらない世界から


Where are you?

I ain't here.


2003年01月06日(月)



--ココロ--


うわべだけの優しさで包むのなら何もしなくていい

それがあなたの精一杯の行為なら考えてもいい

不器用なことは前から知っていた

全てが燃え尽きても出来ることが何かも知っていた

それでも何故か受け入れられない

濁りのない水のように綺麗だから


私が酷く苦しむ姿をどこから眺めていた?

あなたの感触はたしかにそこに残っていたのに

何処に行ってしまったの?

一回だけ光の矢を私に打ち込めば

全てが終りへ進むことが出来たと知っていたはずなのに


2003年01月05日(日)



--意思疎通--


心のつながりはとても強いもの

人の全てが見透かされてしまう


一人の裏切りは全てに見捨てられるきっかけ

そこから生まれる淋しさは ただ一つ空回って

今を嫌っても生きることに変わりは無い

人同士の繋がりを断ち切ることも出来ない


助けるものが無くてその場に座り込み

それを皆は遠くから見つめる

滅び行くことに変わりはなく

今に縋り付いても時は進む


砂時計を割れば

なにもかもを破壊する

残酷な道を作り上げるだけ




2003年01月04日(土)



--無し--


言葉が無い

いくら探しても見つからない

これが望んでいた現実だと思うと

悲しくて声も出ない

言いたいことは秘めていても

伝えるための言葉はばらばらと落としていって

気付けば残り僅かになっている


今からでも遅くない

そういつも思うのに

一向に言葉の数は増えようとしない


2003年01月03日(金)



--電子の海--


目をあけて

夢を見ている時間など無い

今 顔を見ることは出来ない

出来ることといえば お互いの探りあいだけ

何を考えてるか 何を思っているか

文字一つで理解することなど出来ない

声を聞かせて 顔を見させて

私を側に置いて


又夜がふける

そこへの扉も開ける

遠いはずなのにとても近い空間へ

知らなければ いけなければ

私があなたを知ることなんて無かったのに


出会いはここ 電子の海


2003年01月02日(木)



--遠い叫び--


独りの空はとても遠い

泣き叫んでも誰にも気付かれない

とても可哀相で

言葉などもたずに消えていく


一番大きな空は一番小さかった

ゆっくり太陽が融けていく


独りきりの叫びは

とても遠い叫び

誰も振り向かないほど

とても遠い叫び


2003年01月01日(水)


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