| 明日を明日とも焦らじと… |
昨日のらもさんが死んだニュースは流石にこたえた。 訃報を知った後にレポートを何とか終わらせ 寝ようとしたのだが、目を閉じると頭の中に らもさんの本で読んだ場面が浮かんでくるのだ。 印刷屋を辞めてコピーライターになった話の顛末や かまぼこ新聞に連載されていたかねてつてっちゃんの漫画 虚無僧は放送禁止用語かどうか……… 結局眠れないまま朝を迎え朝食をとった後に もう一度寝ようと試みたのだが、全く眠くならない。 むしろ症状は酷くなるばかりである。 これは流石に不味いと思い一計を案じた。 らもさんは生前にB級映画を好んで観ていた。 それならば、と思い映画を観に行くことにした。 しかし現在は小中高の夏休み。映画館に行くのは危険だ。 中高生は上映中にパカパカと携帯を開き暗闇を切り裂いて 鑑賞中の人間を一気に現実へと引き戻す。 集中力が無いのは目に見えているがメールを打つか 映画を観るかどちらかにして欲しい。 迷惑この上ない。 時計代わりに時間を見てるんだと擁護する人間もいるが、 そんな時間を気にするような忙しい奴は 映画館に映画を観に来るな。 なのでスパイダーマンなどの話題作は避けた方がいい。 ということはバカな中高生が観そうに無いミニシアターの芸術系を 観ようと思ったのだが、いかんせん朝からの上映が少ない。 な・ら・ば、である。ここは一つ旬を過ぎた映画を観ればよい。 旬を過ぎた映画であれば人の入りも少ないであろうし 流行に敏感なケータイ中毒者は来ないだろう。 ということで「デイ・アフター・トゥモロー」に決定。 暑い日が続いているので寒くなるこの映画はぴったりだ。 割引クーポンを用意して劇場へ。 20分前に劇場に着いたのだが、やはり夏休みは侮れない。 チケットカウンターにはお子様連れの大量の列が。 なるほどポケモンを観にきたのか。それにお子様とは縁遠い おば様連中も並んでいる。水曜日ということはレディースデイ狙いだな。 なるほど水曜日はなかなかに悪い日だったかもしれない。 これだから行き当たりばったりの行動はいただけない。 10分ほど並んでやっとこさカウンターに着くと この作品は混んでいるとのこと。前の方でも別にかまわないので 前の席にしてもらったが、混雑状況が○となっているのは どうかと思うぞ。せめて△と表示すべきだろう。 そんなことを思いつつ席へ。 鑑賞体制を整えて本を読んでいると、なにやら怪しげな動きをした人が 視界に現れた。その怪しげな動きの人はあろうことか隣の席に。 雰囲気的に老人らしくケータイの被害は無いと安心した時 私の鼻を強烈な刺激臭が襲った。臭い、とてつもなく臭い。 鼻にこびりつく様なとてつもない悪臭である。 隣に座った御仁はとてつもない体臭を放っていたのである。 目を合わせると危ないかもしれないので恐る恐るそっちの方向を見ると イボのようなブツブツが手にびっしりとあった。 何と言うか、その、問題のある人らしい。 まぁ、臭いはそのうち鼻が慣れるだろうから我慢しようと思っていたら。 相手はカバンの中から本を取り出した。そしてありえないくらいの それこそ顔を密着させるように読んでいた。どうやらド近眼らしい。 このことが後々周りに大きな被害を及ぼすとは思いもしなかった。 上映が始まった頃、鼻は何とか臭いに慣れていた。 しかしその瞬間、隣の御仁が体を前方へ傾けた。 どうやら字幕が見えないらしい。そして再び背もたれに戻るのだが、 その戻った瞬間に周りへ強烈な悪臭が放たれるのだ。 動かなければその場の空気が動かないので臭いは拡散しない。 なので嗅覚もしだいに麻痺していき臭さも慣れるだろう。 しかしその御仁は5分に一回の割合でその前後運動を繰り返すのだ。 おかげで周りに絶え間なく悪臭が放たれるという地獄のような展開。 折りしも劇中では 「ひどい臭いだ、かがせたいよ」 という台詞があったのだが、その台詞に思わずうなずいてしまった。 臭いに滅入っているのは自分だけかと周辺を見てみると 隣のご夫人はハンカチで鼻を押さえていた。 感動して鼻水が出たわけではあるまい。何しろ映画はまだ序盤なのだ。 どうやら悪臭の被害は隣のご夫人にまで及んでいるらしい。 そしてその悪臭を放つ御仁の一つ向こうの席の人は 上映が始まってからでも扇子で扇いでおられる。 上映開始後30分経ってもである。どうやら臭いの流れを変えているらしい。 詰まるところスクリーンの中は大災害、観客も大災害という訳である。 結局その御仁は字幕が終わるまで劇場に居座り、我々の鼻を汚染した。 御仁が帰られた後にたまりかねた私は隣のご夫人に 「あの、何だか臭くありませんでしたか?」 とお聞きした。やはり臭かったらしい。しかもご婦人はあまりの悪臭に 頭痛を催されたようだ。これは明らかな人的被害である。 ここまで読んで「席を移ればいいじゃないか」と思った人もおられよう。 しかし最近の映画館は指定席制となっており席を移ることはできない。 そのためこのような被害(悲劇)が起こるのだ。 このような状況になった場合、劇場側がどう対処するのか この点に興味が沸いた。今度電話で聞いてみよう。 しかしあの悪臭を放つ御仁は一体なんだったのだろう。 格好から察するにホームレスのように見えたのだが、 何にせよ、もう少し人の迷惑を考えて欲しいものである。 真相がわからないので何とも言えない(観に来るなと言った場合 もしその御仁が障害者だったりしたら人権団体に抗議という形で なぶり殺しに遭うし、ホームレスの場合でもやはり同じ目に合うだろう) けれどやはりマナーというものをわきまえて欲しいと切に願う。 その後レポートを提出するために学校へ。 今日はレポート提出の最終日なのでよほどの混雑があるに違いないと 少し身構えていたが、それほどの混乱は見られなかった。 聞くところによると提出期限時刻の17時前が一番混むらしい。 焦る人たちを横目で見ながらかなり遅めのお昼を食べるなどして 時間を潰した後に大学院の前期打ち上げに。 実はこの打ち上げがあった場所は学部時代に 嫌で嫌で仕方なかった「正装コンパ」の開催に使われていた店なのだ。 会場に入るとそれまで記憶に封印していた「靴番」なる言葉まで思い出した。 そもそも正装コンパというのは何かというと、 要するに前時代的な時代錯誤の儀式の一種であり、 5千円払って飲み食いが一切できないという悪夢のような儀式なのだ。 ハイ、そこでそんなことは無いと反論した学友会関係者の方、 あなた方は次の経験談を聞いて反省すること。 あれは確か2回の秋だったと思うが、荷物番をやらされた際に 出席予定のOBが遅れるという連絡が入った。正装コンパでは 立哨(歩哨のようなもの)、傘番、荷物番、靴番という役割があり、 〜番と付くものに関しては来客の傘や荷物を管理する役割を負っていた。 OBが遅れるために、通常コンパが始まってから少ししたところで 参加できるはずだった我々〜番の人間はOBを待たざるを得なくなった。 というのも非常なるコンパ運営者が遅刻したOBが来るまで待っていろ と通達したためである。所属していたクラブは文系の側面を持ちながら 中途半端な体育会系であるために上の命令は絶対だ。 (余談だが、中途半端な体育会系の上に陰湿だったのだ) 一時間経ってもOBは来ない。一時間半経ってもOBは来ない。 我々〜番はお腹を空かせながらも待っていた。 途中優しい先輩が「あんな奴待たんでいい」と言ってくれたが 運営側の命令は絶対だ。後でどんな嫌味な言葉を頂戴するか。 その優しい先輩は見るに見かねて「終わったらこれでラーメンでも」 と言って寸志をくれたのがせめてもの救いだった。 結局最終盤になってからそのOBは現れたのだが、申し訳無さそうな そんな態度は皆無だった。もちろん運営者側も同様で 終わった後にねぎらいの言葉も無かった。 結局5千円払って飲み食いはできず。 「働くな金は払え」という理不尽な要求をされた上で ひねり出した5千円だけに、この出費は痛かったのだ。 なのでこんな目に遭えば正装コンパを擁護する気にもならない。 だから会場に入ると一瞬憂鬱になってしまったのだ。 まぁ、憂鬱になっても仕方ないので打ち上げに専念したものの 結局知っている人としか話せなかった。 で、まだ時間が早いので二次会に参加すると勢い余って オールになってしまった。この時点で24時間以上一睡もしていない。 朝4時を迎える頃、恐ろしいことに36時間起きっぱなしという 驚愕の事実に気が付いたのだ。それまで徹夜は何度もあったが 仮眠を取ったり電車の中で寝たりしたので寝ていないと言えなかったが、 今回は完全に起きていたのだ。しかも恐ろしいことに眠くならない。 珍しいこともあったもんである。結局37時間ぶっ通しという記録を 打ちたて、始発に揺られながら久方ぶりの眠りに入るのであった。
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2004年07月28日(水)
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