||〜*…clover…*〜||


There are all in one.


◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆


2011年12月30日(金) days

それは偽りだった。
弾け飛ぶ、なんて表現は戯言に過ぎない。
そんなものはただ

引き付けるだけの狂言に過ぎない。


木漏れ日は午後の陽射
柔らかな陽光
水色に揺れるカーテン
淡やかな風通

another

それは光を透さない
分厚い
分厚い
遮交カーテン

どれほど
嘘を吐いてすら
キリキリと
チリチリと
陽の充たる部屋
色の無い部屋
其処には
音があった
其処には
音しかなかった


―あたしは
―月の様で居たかった




総て偽りだった。
偽りであることを願った。
言の葉が折れてしまわぬ様

言の葉が折れてしまう様


















救けて、なんて声は都市伝説である。
なぜなら、世界には救いしかないのだから。



其の鍵を抉じ開けろ!
疵は抉る為にある!
魂すら弾きだせ!



2011年12月18日(日) r-p-g

攻撃は最大の防御である



という言が適されるのは
敵が外部にあるときだけだ



戦うべきが己なら
其の身を切り裂くは防御にあらず




世界は
こんなにも
うまくできている


私が気付かなかった事を
あいつらは識っていた
本能レベルで。

だからこそ

だからなのだ。




ムカつく程に
世界はうまくできている。

狂う隙もないほどに。





2011年12月17日(土) TASK

「またあなたですか」
「はろはろ」

扉ごしのため息。
あたしはそれを聞かなかったふりをする。

「郵便ですよ」
「受け取り拒否」
「ポストに入れますよ」
「そんなものココにはないよ」

あたしの前に世界は出来る
見えない場所に世界はない
従って、ないものはない。

しかし、郵便に関して云えば、郵便配達人は一枚上手なのであった。

「私は配達員ですから」
「届けるための」
「存在ですから」

そう。
郵便配達人。
その概念を持ち込んだ時点であたしは負けていた。

手元に
手紙
届くはずのない
永遠の白紙

「……」

あたしが望む
そのかたち

世界は

誰がために。


「この世界に」
「助けは来ない」



そう。

この世界には
救いしかない。


「…おーけー。確かに受け取った。帰れ」
「はいはい」


扉ごしの苦笑。



そうなのだった。
それだけなのだった。


「……また」








優しくて優しくて優しい夢。
どうして
それしかなかったのだろう。



2011年12月14日(水) バランス


まさに既知外という字面が相応しい隣人の話。

あいつは電化製品を何一つもってない。

以前に一度だけ部屋を覗いた事がある。
普段は遮光カーテンで完全にふさがれている其の窓の向こう。

小さなテーブルと
周りに散らばる数冊の本
それに数個のぬいぐるみ

午後の陽が舞う小さな部屋には、それだけ。


生活するには余りにも不向きなその空間。
斬新すぎて思わず感想が零れた。

「コンビニばっか行ってんじゃねー…」




とどのつまり、不要なのだ。
しかしあまりにも不要すぎている。
電化製品どころの話ではない。
衣食住の大半が機能していない。

こんな部屋で
こんな場所で

あいつは何を。
やって。



否。

必要なかったんだろう。
あいつには。

………



2011年12月11日(日) 明ける世界の中で



「くっそ……」


どうして俺が。
否。
どうして俺は。



否。


これは自明の理である。



「……っ……」













安心している自分に
腹が立つ以外他に無い。

痛い。
痛い。
痛い。


頭も
胸も
全てが。


刺のようだ。



2011年12月10日(土) 二度目のワインと乾杯と

夢を見た。
魚になって巨大な水槽を泅ぐ。
それだけだ。
なんとなく其れを話したら、「そいつは重畳だね」と笑われた。

ちょうじょう。
幾重にも重なること。
或いは、喜ばしいこと。

「…てめえは藺草か」
「アーモンドラーッシュ!」

そいつに言わせると、泡となって消える魚の魂は黄色いチーズに見えるらしい。
眼科行け眼科。

さあ硝子を打ち付ける時間だ。
びいどろの鐘が鳴るとも。
どす黒いコールタールの中を。
爽やかに突き放つ黄色い魂。


「あたしは嘘は言わない」


そう。
嘘吐きなのは俺だ。
溶けてしまいそうなほどに甘い指先三寸。



甘い。
甘い。
苦い。


「ありがと」
「……てめえはチョコレートか」「そうかも」

笑う。
笑う。
言葉の流れた回転コースター。
絶好すぎて反吐の山。


「大丈夫。」
「覚悟なんて出来てねえぜ」
「大丈夫。」
「信じるかんな」
「もちろん」


さあ
嘘吐きなのは
誰だ。



2011年12月03日(土) 人として構造がブレている

「……っあー…死ぬかと思った…」
「死んでたじゃん」
「死んでねえよっ!」

飛び交う言はいつもと同じ。
しかして似て非なる戯言。

「なんだーつまんないの」
「勝 手 に 人 を 殺 す な」

一応突っ込むと、彼女はクスクスと笑った。
それで俺は安心してしまう。
良かった。
元気だ。

「…余裕だな」
「まーね」

謝らないしお礼も言わないよ、と。
それでいい。

もしかしたら、俺は珍しく己の仕事を全うしたのかもしれない。

「つーか、だいじょーぶ?」
「……よゆー」
「嘘吐き」
「…まーな」


くすくす。
からから。

笑う。
笑う。
笑う。


嗚呼
この世界に神がいるなら
只、此れだけで護れるのなら

こいつが
何故
其の責を厭わないのか
わかったような気がした





わかったような気がしたんだ。






最高で最低な絡繰り。
壊れることのない絶対構造
ブラボー!ハラショー!エクセレント!










……




「だが、『俺』が役割を果たすと言うことは?」

「杞憂だ」

「それは確信か?
そう思いたいだけじゃないのか?」

「……「今は未だ杞憂でいい。そうだろう」





そうだといいな。
と、
口の端を上げた彼の笑みを

あたしは

みていた。
みていた。


それはまるで
シミターのような。


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葉月れい [MAIL] [HOMEPAGE]