よるの読書日記
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2003年03月28日(金) 登録商標 ハリー・ポッター優勝

『ハリー・ポッターの魔法ガイドブック』<七会静/主婦と生活社>
ハリー・ポッターで検索すると、図書館では30件以上ヒットする。
すごいことになってますね〜。とりあえずハリー・ポッターって
つけとけ、みたいな便乗ものもきっとあるんでしょうね。
タイトルは著作権が派生しないんでしょうか?

確かにあの分厚い本の中には著名な魔法使いか珍獣、妖怪の類まで
うようよ出てくるので、やっぱり物語世界をより面白く
楽しむためには一,二冊こういう本も必要よね。
でもま、読まなくても原作は十分楽しめるし、この手の本を
何十冊も読むくらいなら原作を何回も読み直したほうがいいでしょう。


2003年03月27日(木) 別れても、……な人

『何だかんだと』<ナンシー関/世界文化社>
何を隠そう、私は渡部篤郎が大好きだっ    た。
今でも過去形を使っているのが悲しいくらい、好きだっ   た。
何と言えばいいのでしょう、彼の演技力を高く買っていた筈なのに、
いつからか普通の青年役を見てても
「この人、“普通”を演じてないか?」
と感じるようになってしまったのですね……。
今もいい俳優さんだとは思っているのですが。

そんなもんで、まぁ本当に大好きだった頃、
この本を読んでいたら他の項はともかく渡部氏についての
文章については「ひどいわ!ひどいわ!」
とか思っていただろう。思わない自分が、やっぱり悲しい。
今好きな芸能人をけなされても、きっとここまで悲しくない。


2003年03月26日(水) spirited away

『神隠し譚』<小松和彦 編/桜桃出版>
天狗の仕業から、民俗学からの考察に『お勢登場』<江戸川乱歩>まで、
さまざまな角度から神隠しを照らした一冊。
昔は神隠し、という位置付けが悲劇の緩衝材になっていた
という考察が興味深かったです。実際には人身売買だとか、
自殺だとか悲惨な事件や事実もあっただろうけれど、
衝撃的な事実を目の当たりにするよりは、それを神が隠したのだ、
天狗がさらったのだと思うことで残された者達を納得させる。
そうして諦めること、諦めさせることはそれはそれで責められない。

近年においての新潟の監禁事件や北朝鮮による拉致被害も
現代の神隠しである、という指摘はごもっとも。
諦めずに私が生まれる前から闘い続けた拉致被害者の家族の方達の
ご苦労は筆舌に尽くしがたいものだったろうと思う。
そしてきっと日本全国に、20年以上前に行方不明になった子や弟や、
友人がもしかして……と疑い悩んでいる人たちがもっとたくさんいる。
この問題はまだ解決の入り口に立ったばかりなのだ。


2003年03月25日(火) 舞台は東京

『ノルウェイの森』上<村上春樹/講談社>
恥ずかしながら、この人の本は薄い短編集一冊しか
読んだことがない。この人自身についてもほとんど知らない。
どれくらい知らないかというと、村上龍氏(読んだことない)と
区別がつかないくらいに知らない。恥ずかしい。

私の世代からするとちょっと前の人なのが原因だと思う。
ブームになって書店で単行本が平積みで、
数年後には文庫が平積み、という時期にはまだ子供だったので、
かつてのベストセラーと知っていたにしろ、
手に取るタイミングがなかったというわけ。
それとまあ読んでもないのに偏見ですが、何故か
バブルっぽい印象があったので敬遠してたのかも。

さて、読み始めるといきなり国際線飛行機の場面。
しかもスチュワーデスと英語で会話。うーん、いきなりヤンエグ。
でも物語の舞台は回想シーンはかなり昔、秋吉久美子とか
関根恵子の青春映画みたいな情景。
そして、立ち込める死の気配。さてどう続くのやら。


2003年03月22日(土) 求めよ、さらば開かれん

神谷悠 『宝迷宮 3番目の扉』

語学力のある人ってかっこいいですよねー。京ちゃん英語伊語仏語
中国語ハングルにアイヌ語まで……。
テレビニュースで方言バリバリのじーちゃんばーちゃんの取材テープ、
字幕なしでわかりそうだな。いーなそれ。しゃべりはしないだろうけど。
耳がいいんでしょうね。

山田君が結婚して、どうなることかと思ってましたが
むしろたまにしか会わない分いちゃいちゃ度増してないか?
やっぱり尽くす男、山田(笑)。
結城には恋敵出現?!ですが嫌えないタイプの彼女だよねー。
かなわないかもしれない夢でも努力を惜しまないいい子だし。
アキラが好きになるのはもっともだし。どうなることやら。

新作の読みきりも収録。いいじゃないか実らない恋でも
好きになれる相手がいるだけっ!こちとら枯れ枯れさー。
やっぱり自分で3番目の扉を開けて、新しい世界で
新しい相手を探しに行かなきゃ駄目なんでしょうか。
別に今どうしても欲しいとか思わないのだが。
……それが最大の原因か?


2003年03月21日(金) 脈々と、私へ

『転生』<田口ランディ/サンマーク出版>
装丁がミステリアスで素敵な感じだったので読んでみました。
繰り返す命を淡々と、でも熱く語る不思議なお話。
声のいい人に朗読してもらいたいな、と思いました。

自分についてはもし前世があったとしたら、
アジアのどこかで農民やってたんだろうな、位のことは
考えたりしますが、基本的に興味ないですねぇ。
来世なんか、次があると思って生きてたらつまんない。
それよりご先祖様がどう生きていたかの方が、
ずっとそそられます。DNAのリレーとして考えれば、
間違いなく転生な訳ですし。


2003年03月20日(木) 不信心者への影響率

山田美保子って肩書きが私にはよくわからない人なのですが、
ワイドショー好きでその方面の出演や著作も多いからには
やはりワイドショー評論家と言うべきなのでしょうか。
女性セブンの最後のほうにカラーで連載ページを持ってます。
お笑い番組が好きな人は、明石家さんまの「恋の空騒ぎ」の
キャストを見てください。「小姑」としてテロップが出ます。
『日本一のダマされ上手 山田美保子の全お買い物』<小学館>
私はブランド物にはほとんど関心がないもので、
つまりこの本を読んでもほとんどちんぷんかんぷん。
バーキンもケリーも別世界の代物だもの。

でも、お買い物のときめきは嫌いじゃないので、
つい何かを買いたい気分に。
で、クナイプの入浴剤を購入。コンビニで1パック150円。
ドイツ製のちっちゃな幸せが今の私にはちょうどいい。


2003年03月19日(水) 頭で旅する

『イギリスの小さな旅』<出口 保夫/世界文化社>
どうせなら、人の旅行記読むより自分で旅行するほうが楽しい。
それでも私は旅行記を読むし、自分もどこかに行けば日記に書きます。
読むほうについては遠い海外なんて今の生活ではまず無理だから
気分だけでも味わいたいのと、いつか行く時、
やっぱり参考になるんじゃないかと思っています。
書くほうはま、ちょっと面白いと思ってもらえればそれでいいし、
もし自分の書いたものを見てそこに行きたいとか言われちゃったら
とても嬉しい。

しかし書いてる人と読み手の価値観の一致って思ったより大切ね。
例えば「荷造りは最小限に。英国は確かに天候が変わりやすいが
そんなに物価は高くないから、着替えが必要なら現地で購入。」
とあればふむふむと頷いてから思うわけです。
帰りはどうすればいいのかと。


2003年03月18日(火) 催眠術は魔法じゃない

『眠り姫』<ダニエル・キイス/早川書房 >
睡眠障害を題材に取った長編ミステリ。
入り組んでる設定ですが二転三転する展開に
飽きずに読み進められます。
結末は衝撃的かつ病気について誤解を招きそうな感じ。
それにこういうトリックは私は好きではないです。
殺人を教唆されて実行犯が凶行に及んだとしても、
そこにはやっぱり被害者の存在によって
自分の人生に与えた悪影響による無意識下での憎しみ、
があったとか説明がないと、納得いかないのです。


2003年03月15日(土) これで結構大変なんですけどね

『私は女になりたい』<林望/集英社>
リンボウ先生の恋愛にまつわる軽妙洒脱なエッセイ。
女性のファッションと男性の視線についちゃ、
結構私も同意見かなー。同性の目からでも、
「それって下着?水着?」
って感じで見ちゃうもん。見せつけておいて見たら
セクハラってのはひどいよね。露出が高い格好だったら
襲われて当然、なんてどっかの官房長官みたいなことは
申しませんけどね、ふ。

ちなみにタイトルは「女になって男に愛されたい」
という意味ではなく、「女体ってのはなんて魅惑的で
美しいのであろう、いっそ女の身体になってみたい」
という意味らしいのでお間違えなく。


2003年03月13日(木) 男の嫉妬


征夷大将軍の娘として生まれ 天皇に嫁ぎ、そして自分の娘が
帝となった和子(まさこ)姫。当時の女性としては
最高の富と名誉に恵まれた彼女ですが、幸せとばかりも
言い切れなかったようです。
魑魅魍魎の跋扈する宮中で、所詮武門の出と軽んじられ、
嫉まれ妬まれ、夫と実家の関係がこじれれば
夫の心も遠ざかり…… 。

『東福門院和子の涙』<宮尾 登美子/講談社>は、生い立ちから
彼女を見つめ、彼女が決して政治の道具ではなく、一人の
人間だったことを侍女の目から描いています。
徳川三代と言えば大河ドラマでも毎回のように出てきますが、
有名な人間関係が、この和子姫の性格に関わっているのが
生き生きと伝わって面白いです。
二代将軍夫人が自分の育てた次男を可愛がり、春日局が育てた
長男を愛さなかった、というのはもう有名すぎるエピソードだけれど、
生まれたばかりの妹姫の小さな握りこぶしに、長男が
噛み付いて――初めて赤ん坊を見るような男の子なら
やりかねないことですが、女児をたくさんを育てたおごうの方には
しつけの足らない乱暴な所作として映った、というのは本当に
ありそうに思えます。

またほとんど側室を持たず妻を大切にした父を見て育てば、
一夫多妻が当然の宮中生活は辛いものだったでしょう。
しかしこれをサポートする父ちゃん兄ちゃんのすることがすごい。
帝のお手がついて身ごもった女性を、……コワーイ。
愛を争う女達より、権力が絡んでいる時の男のほうが、残酷で
非情です。くわばらくわばら。


2003年03月11日(火) 翻訳は大変そう

『アルジャーノンに花束を』<ダニエル・キイス/早川書房>
少し前に和製ドラマになってたみたいですね。
見てないけれど。やっぱり感動!涙!が売りだったようですが
正直原作からそれを感じなかった自分にげんなり。
鈍いのかしら?
と言うよりもこの本の主題は知能や教養、そこから起こる差別に
対する警鐘のように私には思えたのですが。
ま、それはともかく手術による知能の変化を本人の日記の体裁で
読ませる筆力はさすがに世界のベストセラー。
誤字だらけ、文法も間違いだらけの文章が
ありのまま心のうちを書くことにためらいを示すようになり、
どんどん専門用語を交えた難解なものになっていき、そして……。
感服いたしました。


2003年03月10日(月) また、読み返す日がきっと来る

『マークスの山』下<高村薫/講談社文庫>
帯に「泣ける!」みたいなことを書かれると、
何かますますいたたまれなくなる自分がおります。
泣けないとダメ?みたいな。
私は今、この本を丸くなぞって表面だけを
読んじゃったのかも。それでも十分面白かったですが。
太平洋側の人は冬にスニーカー洗うんだな、
乾くんだ、乾燥してるんだなーとか。
……ちょっと自己嫌悪。


2003年03月09日(日) 読書日記泣かせ

『マークスの山』上<高村薫/講談社文庫>
高村薫という作家は、一番最初に作品を読んだ時に
「おおっ、すごいぞこれ!」
と思ったわりにあまり手が出ない作家です。
考えてみたんですけれど、やっぱり女性とは思えないほど
濃密に男の世界を書く作家さんだから、なのでしょうか。
変な例えをすれば、四角い紙に四角く世界を写し取るのが
男性作家、丸いけど筆圧高く抉るように描くのが女性作家。
しかし高村薫という人のは四角くて、深い。ような気がする……。
面白くてページをどんどんめくるんだけれど、めくればめくるほど
何かを見落としていっているような、自分がその密度に
ついていけないような気になるのです。
だからとても、感想の書きにくい作家さんだ。うん。


2003年03月08日(土) 美味しいイギリス

ハリポタ好きの友人が英国に行くかも、と言うので
何故か参考文献を読み漁る我。実際行ってみたいぞ大英帝国。

『英国=湖水地方四季物語』<辻丸 純一/東京書籍>は
写真が綺麗です。ロンドンを闊歩するのもいいけど、
湖水地方も素敵ねぇ。古城のほとりの湖で
例の学校を思い浮かべるのよ。湖水地方といえば
私は知りませんでしたが何と言ってもピーターラビット。
おかげで日本人観光客も多いようです。
例のあの本の影響でこれからもっと増えるのかな?
でももうちょっと年配になっても楽しめそうかな、ここは。

ふむふむ。
『ふだん歩きのイギリスノート』<佐々木ひとみ/大和書房>は
いかにも等身大の旅行記でお役立ちです。
湖水地方も含めてかなりローカルなところもあちこち
出かけているみたい。
お名前のメモなくしちゃったけど筆者の相棒のイラストも可愛い。

お役立ち情報を元に旅を想像。
イギリスでは各地のI(観光案内所)が強力サポート。
地図をくれたりBB(ベッド&ブレックファースト。
一泊朝食つき)の手配もしてくれるそうですぞ。

さて、お宿に着いたらまず一息入れましょう。
備え付けのお茶がティーバッグでも驚いちゃぁいけません。
毎日飲むからこそ、簡易化できるところは
簡易化してるのです。ちゃんと蒸らすのを忘れずにね。

旅と言えば美食。エゲレスはなんと言っても朝食が素晴らしい。
たっぷりのミルクティーにシリアル、薄切りパンのトーストに
ジャムやマーマレード、卵料理にカリカリのベーコン……ごくっ。
朝からお腹いっぱい食べましょう。

名所を巡って、ぺこぺこのお昼はロンドンっ子に紛れて
フィッシュ&チップスはいかが。ちなみに食品衛生のため、
今は新聞紙では包まないらしい……。

午後。英国と言えばアフタヌーンティー。優雅に
過ごしたいなら一流ホテルのティールームへ。
もっとお気軽に楽しみたいアナタには、ティーハウスで
クリームティーを。これはウインナコーヒーの紅茶版ではなく、
紅茶とスコーンのセットらしい。食べてみたいぞ本場のスコーン。

霧深い夜はパブへ。そうそう、パブでランチとか食事をできる
ところも多いようです。地方では、お宿も兼ねてたり。
強くないけどソフトドリンクじゃ物足りないのなら、
サイダーをオーダーしましょう。これ、日本でいう
林檎酒、シードルざんす。

翌朝。さあお土産を買いましょう。王室御用達の缶入り紅茶も
いいけれど、今日向かうのはスーパーマーケットの
紅茶売り場。さすがお茶を愛する国、ものすごい面積を
占めている筈。そこでオススメなのがPGチップス。
英国で一番ポピュラーな紅茶なのよ、と言って
お友達に渡せばとっても喜ばれる上安上がり。何より軽い。
自分用にもグー。本場に来たんだもの、リーフティーが
欲しいっという本格志向の方は、一緒にジップタイプの
ビニール袋を買って、その中に入れておくといいかもね。
長旅で包装が破れることもあるらしいから。

んー、イギリス旅行って楽しそうっ。
さあシュミレーションはばっちりよ。後は機会を待つだけ!
え?食べ物のことしか出てこなかった?
あったりまえよ食欲もない人間が旅してどーすんの!



2003年03月06日(木) 花も嵐も踏み倒し

『お天気の巫女』<柳原望/白泉社>
よくはにかむ人がはにかみ屋さんなら、
彼女はさしずめお天気屋さん。(どっかで見た
書き出しだというあなた、……通っすね。)
卑弥呼の末裔とも言われ、文字通り感情によって
天候を左右してしまう天地の巫女が平成の世に顕現!
筆をちょいと滑らせればどんな派手な展開もオッケーな
この設定、学園ラブコメものでまとめてしまう
柳原氏、欲なさ過ぎっす。

でも教員免許持ってない職員を巫女さんが
感情昂ぶらせて災害起こないように学校に
教師として派遣したり、超法規的措置はお手の物、
入国管理局も一般企業も裏からいくらでも手を回せちゃう
謎多き宮内庁が、田舎でのほほんと暮らしている
秘された名家と一応年賀状だけはやりとりしてた
――この辺がいかにも柳原氏の味で好き。
宮内庁からの年賀状。やっぱり総務省発行の
お年玉年賀ハガキなのか。それとも菊の御紋章入り
私製ハガキなんだろうか。想像するとちょっと楽しい。

最近、この人の描くものはどうも主役より脇役が
濃い傾向があるんですが、今回の猛者は
宮内庁の神宮司さん。ロン毛で若そうに見えるけど
かなりポストは高そう。そして口がうまい。
1話で巫女は国家機密だから国外持ち出し禁止、
と母親との別居を強いといて3話では巫女の存在が
認められれば国際貢献だってできちゃうかも、
とか言ってる。詐欺師かあんたは。
どうなってるんだ宮内庁。

しかし周りに気を使いまくりーの遠慮しーの女の子が
よりによって感情を天気にしちゃうなんてまぁ
はた迷惑なお話ですよね。頑張って早く成長してくれい。
確かに気持ちを閉じ込めちゃぁ人間しんどいですからね。
巫女さんになったのはある意味幸せな子だと思うぞ。
おかげで好きな人とも逢えたしねっ。


2003年03月05日(水) 目指せ柳腰

十年前、私の将来の夢は
「着物が似合い五か国語を操るバイリンばあさんになること」
でした。今の私は
「着物を着ると民謡歌手に見え5か国語で挨拶ができる女」。
――本当に叶える気あるんでしょうか?
でも大丈夫、まだ年金貰う年になるまで四十年ある!!
それまでには絶対自己紹介までは進歩できていると思います。
着付けのほうもいつか習うつもり。同好の士がいるから
条件さえ合えばすぐにでも。

さて、勉強になるかなーと
『きものがたり』<宮尾登美子/世界文化社>を読みました。
宮尾さんと着物といえば文芸映画。
美しいヒロイン達が着たり脱いだりする着物、うっとり。
で、なくてここではご本人様の和箪笥から
想い出の品々を写真とともにご紹介。
皇后陛下に誉められた宝ずくしから質草の大島まで、
やっぱり動乱の歴史を生きてきたお方のお召し物は
そのエピソードも波乱万丈ですぅ。
勝気な女性のイメージがあった筆者ですが、
優雅に微笑むお写真は意外と柔和。
でも着物はやっぱりはっきりした色のがお好きみたい。


2003年03月04日(火) S(すごく)F(古い)

『黄泉がえり』<梶尾真治/新潮文庫>
映画観て本も買う。いいお客さんですよね私、本当に。
原作を読んでいて、あれ、結構前の話なのかな?と感じる。
奥付を見れば文庫の出版は平成十四年、刊行も十二年で
ごく最近。考えてみれば冒頭から携帯の着メロの話だって
出てくるのに何だこの古……懐かしさは。
うまく説明できないんですが女子社員が
「急にお客が来たから休む」
と聞いて「そんなにひどいのか?」と上司が言うあたりとか。
悪気はなくても今時そんな発言したら笑われるくらいじゃ
すみませんよネ……。

あと人気絶頂のアーティストが「マーチン」ってのも。
名前が弥生であだ名がマーチ→マーチンという女の子は
日本中捜せばたぶんいるでしょうが、
あたしがその子の友達だったらメールの表記は
「まーちん」か「まぁちん」かなぁ……。
カタカナの有名人と言うとユースケ・サンタマリアとか
ダンディ坂野とか、何か三枚目の匂いがしちゃう。
映画だと「RUI」(原形ないぞ)だったように英語っぽい
表記にするのが今風。ああこの違和感って
歌番組のテレビ欄に近い。出演者が
グレイ グローブ トキオ ラルクアンシエル他、みたいな。

つらつら考えて、著者略歴を見て納得。梶尾氏は
昭和二十二年生まれ。古いのは作者だったのか(←失礼)。
映画では恋愛の要素が強いファンタジーだったのですが、
原作はもっとSFっぽいな。現象の原因とか。
熊本弁がバシバシ出てくるのとか、厚生省のお役人は来ないけど
地方行政が混乱したり対応に苦慮するあたりの描写は
リアルでいいなぁ。いかにも地元で県会議員だの市会議員だのと
じっこんでないとやってけない老獪な地方実業家らしいぞ。
映画は正直熊本である必然性、
あまりなかったもんな。映像としては風光明媚で良かったし、
五十年振りにかえってきた我が子を
「母ちゃんたいっ!」と言って抱きしめる所位か。
リアルと言えば週刊誌の「祝黄泉がえり美女ヌード」
もうおっさんくさくて◎。


2003年03月02日(日) 娘には向かない職業

『将軍の娘』<ネルソン・デミル/文芸春秋社>
これも映画をビデオで先に見てます。
それもラストを観る前にあらすじを母から強制的に聞かされたんですが。
あの癖何とかならないですかねー。

自衛隊すら遠い存在なもんで(入りませんか?というハガキなら
何回か貰ったが……お門違いも甚だしいぞっ。)
いまいちピンと来ない所も多いのですが、軍隊って日本でいう
警察のイメージに近いのかな?という感じで読むといいのかもしれません。
元々は完全なる男社会だったのが、女性も入るようになったけど、
まだまだ「女子供に何ができるんだよ」という見方が強く、
力関係がはっきりしていて上下の規律が厳しい――というような。
ドンパチやる軍隊の方がもっと露骨かもね、その辺り。
アメリカでも士官学校の共学化は最近みたいですね。

映画では勧善懲悪というのか原因―結果の関係がすごくはっきり
描かれていて、ついでに悲劇もかーなり強調してあったことが
読書のおかげで判明。映画で一番ショッキングな部分があるのですが、
小説ではちゃんと予防措置を取ったことになっていてそれだけで
ちょっとほっとしました。映画の中で「ゲス野郎」と呼ばれる人も
そこまでひどい人じゃなかった――と思う。
ただ、はっきり「この人が悪い」っていうのじゃないと、
かえって深いような……。
いや、悪いやつらはわかってるんだ、卑劣なゲス野郎どもめ。


2003年03月01日(土) 父と娘、そしてことばについて

処女作『409ラドクリフ』も収録の
『江国香織とっておき作品集』<江国香織/マガジンハウス>。
ラドクリフって言ったら今や世界一有名な中学生のことですが、
この本に用いられているのは地名としてです。ここで起こる恋愛模様を
いかにも江国香織らしく書いていて、唸らせられます。
やっぱり抜群だと思うのは彼女の言語感覚。
タイトルからいつもうーーむ、一本取られたと思ってしまう。
今回もこの「とっておき」、この特別な感じ。
子供の頃、大事に大事にしまっていて、何度も何度も
取り出しては眺めた宝物を思い出させます。
あと、お父様自らが書かれた成長の記録も興味深い。
ていうか羨ましいです。まーうちの父の悪口は大概ネタに
しちゃってるのであまり書きませんが。いいところもあるんですよ。
例えばですね、えーーー、暴力をふるわないとか。(←当たり前だろう!)

『十五歳の残像』<江国香織/新潮社>
作者唯一になるだろうインタビュー集です。
各界の著名な男性に十五歳の頃の自分、今の自分について語ってもらう
というもの。インタビュアーが能弁でなく人見知りな分
かえって答える側の誠意を感じさせて面白いものになってると思う。
私の十五歳のときは語るまでもありませんが今とほとんど変わりません。
三十五歳になっても基本的には変わってないのではなかろうか。
ちなみにうちの父は十五歳の時にはとっくに喫煙家だったみたいです。


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