わたしの父は、昔から、ハンバーグが嫌いだった。
それだけでなく、餃子も、麻婆豆腐も、肉団子も、食卓に上ると嫌な顔をした。
理由は、

「何が入ってるかわからんもん食えるか」

今、ミートホープの偽装事件をテレビで観て、その言葉の意味が解った。
あの社長も、「昔の小さな肉屋のつもりでやってたのが悪かったのだろう」とかほざいていたが、昔はそんなものだったのだろう。
なるほど、と思うが、こないだ電話したときに、中国産の野菜や小麦粉、歯磨きなんかの話をしたときには、

「見た目はそんなに悪いように見えないがなぁ……悪いのか……普通に食ってるが」

父は、その矛盾さえ自覚してないように思える。