野生の森
高瀬志穂



 拍手より。


「私アスランとの浮気なら許しますわ。」

 そういう彼女はいつものように笑っていた。それにつられてかその言葉からきたものかは分からないのだが笑い返した。

「君だって好きなんでしょ?」

 そう問い掛けると彼女は否定する素振りも見せず真っすぐな瞳をして言った。

「ええ。キラと同じくらい好きですわ。だから許せますのよ。」
「それと同じくらい嫉妬はしないの?」

 彼女の言葉は分かるようでどこか分からないおかしなものだった。だから問い掛けた。愛と同じくらいの嫉妬をもたないのかと。彼女はみんなに愛を与える存在。けれども嫉妬という裏返しのものはないのかと。

「それはどうでしょうかね。私はよくばりですから。キラ、あなたは?」

 問い掛けられて少しだけ考え込む。そして出た答えはこんなものだけ。

「ラクスは守らなくちゃいけない存在。アスランは……側にいたいなって思う存在かな。」

 大切なもの。比べることなど出来ない。違いはその思い。人の支えと自分の支え。支えられる人、支えてもらいたい人。

「やっぱりアスランの方が好きなのですわね。」
「…うん、ごめんね。」

 同じくらい大切な人。だけれども自分が求めているのはたった一人。

「けど何があっても護るのは君だけだから。」
「えぇ分かっていますわ。…本当はあなたのたった一人になりたかったのですがね。」

 少しだけ残念そうな声を出してそんな表情になる。いつでも気丈な彼女の淋しそうな顔が胸を痛ませる。

「…ごめん、ラクス。けど僕はアスランが好きだから。」

 愛してあげられない分、護ってあげるから。それが唯一出来ることだから。




**************

 アスキラでラクアスでラクキラです。
アスランのことが好きなラクスってのが大好きなのです。ラクキラよりラクアスなんですよ、あたしは。
けれどやっぱりアスキラで。それは大前提。


2007年04月29日(日)



 拍手より。


 一番好きな人は?と聞かれたら答えは簡単に出るだろう。
それは恥ずかしくもあり同時にうれしくもある。

 一番嫌いな人は?
そう聞かれてもすぐに分からない。人を好きでいられるのは幸せだけども嫌いでいるのは悲しいから。
 
 誰?
答えるならばもしかしたら一番好きな人の名前。好きでもある。けれど好きすぎて嫌いにもなる。それほど心揺らす人物だから。

 じゃあ嫌い?と聞き返されれば違うと答える。一番嫌いだけれどもそれ以上に好きだから。嫌いな部分まで好きになるほど好きだから。

「それは俺のことか?」

 にやにやと笑いながら唇を指で撫でられる。だから返すように頬に手を当てた。

「他の誰かがいいの?」

 そう問い返せば自信に満ちた顔で笑い返す。

「いや、俺以外ならそいつを殺すよ。キラの一番が俺になるように、何人でも。」
「そんなことしなくても僕はアスランのものだし、アスランも僕のものでしょ?」

 頬に当てた手をそのまま首の後ろへと移動させ、抱きつくと腰に手を回される。それは甘い刺激。

「あぁ。そうだったな。」

 目を開ければ虚実、耳をすませば真実、触れる感触は幻、鼻を刺激するは甘い香。舌を絡め瞳を合わせ誘惑の海へと二人で落ちる。ここは楽園か地獄か。

「誰にも渡さないし、誰のところにもいかないよ。何を犠牲にしてもキラ以上に手に入れたいものなんてない。」
「平和が欲しいんじゃないの?」

 唇が触れるか触れないかくらい近づけ、くすくすと笑いながら話をする。何が楽しいのか、何がおかしいのかなんて分からない。けれど笑いが止まらない。

「お前と暮らす平和ならな。お前がいないなら興味ない。」
「ふぅん。じゃあ僕は死ねないしアスランも死ねないね、世界のために。どちらか欠ければ簡単になくなるかも、こんな脆い世界。」

 興味なんてない。相手以外。それは今までの罪の証なのかというように。
 犯した罪が大きすぎて壊れてしまった心。ならいっそどこまでも壊れてしまえばいい。

「生きて。世界のためじゃなくて、僕の為だけに。」

**************

 これで漫画描くはずでした。暗いってか黒いネタですが…。
いつまでたっても描けなそうなので文章でまとめてみたり。まとまってないですけど。
黒アス黒キラも好きです。大好きです。


2007年04月28日(土)



 拍手より。 にょ

 好き、という言葉。それはとても曖昧で、けれど特別な言葉。

「好きです!」

 そう言われても、気持ちなんてちっとも傾きなんてしなかった。

「俺、他に好きな人がいるんだ。」
「けど、それでも…!!」

 まだ諦めきれないらしい。その気持ちはわからなくもない。

「好きなやつのことなんてすぐすぐ諦めることなんて出来ないよな。けど俺は好きな人がいるから、君の気持ちに答えることは出来ない。」

 簡単に諦められたら楽なのであろうか。それとも、そんな薄っぺらい感情なんて無くてもいいのだろうか。
 軍に入って一体何度そんなことを言われただろうか。ここは軍で戦って何かを守る場所であって、恋愛をする場所ではないというのに。
 けれどそんな思いなんてすぐに消えた。目の前に好きな人がいると何もかもがどうでもよくなるような気持ちがわかった気がする。
 大切な人を、自分の国を守るための戦い。そんな場所で心を奪われる存在に出会って、国も大切だけれども、自分の思いも大切で。
 多分簡単に言えばそういうことなのだろう。

「好き、愛してる。」
「………だから、そういうことをこういうところで簡単に口にしないでよ。」

 そういうことというのは先ほどの愛の言葉。こういうところというのは軍施設内の廊下。

「だって思った時に口にしないとだろ。」
「あのね、そういうことじゃなくて。モラルとか、人として大切なものとかさ。」
「キラがいれば俺はそれでいい。」
「///////。」

 きっぱりと言い張ると、キラはむぅっとしたままも頬を赤く染めた。そんなキラが可愛くて仕方ないと思った。
 今までずっと離ればなれで、けれど今はこうして自分の目の前にいて。

「キラは?キラから俺に言うことは?」
「……変態アスラン。もうちょっと周りのことを考えてよね!」
 そう怒りながらも、キラはぎゅっとアスランに抱きついてきた。さすがにそれはアスランも予想しておらず、びっくりした。
「………好きじゃなかったら、こんなところにいないよ。」

 さらに、小さく呟かれた言葉にアスランはびっくりし、心を躍らせた。
 今まで色々な人からその言葉を何度言われても心なんて動かなかったのに、こんなに小さい声で、はっきりとした言葉じゃないのにも関わらず、誰の言葉よりうれしく思う。
 多分それは、一番聞きたい人の口から聞いた言葉だから。

「俺もキラが好き。キラがいてくれるだけで幸せだよ。」
「こんな…身体だけど?」

 初めて出会ったころのキラは男の子だった。けれどそのずっと前は女の子で、つい最近また女の子になって。
 研究者の子供、さらには実験の末に生まれたキラ。性別が入れ替わってしまうのもこの研究が関わっているらしいのだが、もう研究者はおらず、真実を知るものはいなかった。

「俺はキラが好きでキラと一緒にいたいって思ってるんだよ。それだけじゃ駄目か?」
「…ううん。」

 好きという言葉を君の口から聞くと嬉しくて、好きという言葉を口にすれば君が嬉しそうに笑って。
  とても曖昧な言葉。けれど嬉しい言葉。それが“好き”という言葉。

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苺飴なアスキラです。まぁどの世界でもいいのではないかというネタですが。
簡単で曖昧な言葉。けれど大切な言葉。
キラに恥じらいながら好きとか言われたら…言われたら!!



2007年04月27日(金)
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