米国発 金融危機関連情報

2009年04月29日(水)  米国の景気後退が続く

報道
1、米1−3月期GDP、6.1%減 3期連続マイナス成長
                  2009年4月29日  日経
2、米企業倒産1.5倍に、1―3月米社調べ 資金調達難しく
                  2009年4月29日  日経
3、米住宅価格、2月は18%下落 主要10都市
                    2009年4月29日 日経
 米国の景気後退が続いている。企業倒産は、2009年1―3月は合計で2万251件と前年同期に比べ約52%増えたという。景気低迷はなお続いており、企業倒産は今後も高水準で推移しそうだ。これに加えて、新型インフルエンザの拡大が景気後退に拍車をかける危険が出てきた。
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1、米1−3月期GDP、6.1%減 3期連続マイナス成長
                  2009年4月29日  日経
 【ワシントン=大隅隆】米商務省が29日発表した1―3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期の08年10―12月と比べ年率換算(季節調整済み)で6.1%減少した。3期連続のマイナス成長で市場予測の平均(4.7%減)も下回ったが、縮小幅は前期(6.3%)より小さかった。
 3四半期連続のマイナス成長はオイルショック後の1974年7月―75年3月以来。
 GDPの約7割を占める個人消費は2.2%増で08年4―6月期以来3四半期ぶりにプラスに転じた。昨秋の金融危機で消費に急ブレーキをかけた反動が出た格好で、GDPを1.5%押し上げた。自動車などの耐久消費財、日用品、サービスがそろって減少が止まっている。(21:41)
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2、米企業倒産1.5倍に、1―3月米社調べ 資金調達難しく
                 2009年4月29日  日経
 米国で企業倒産が急増している。米調査会社によると、2009年1―3月は合計で2万251件と前年同期に比べ約52%増えた。長引く信用収縮で運転資金の調達や借り入れ返済原資の手当てが難しくなっており、IT(情報技術)や素材、病院など幅広い業種で経営破綻が起きている。景気低迷はなお続いており、企業倒産は今後も高水準で推移しそうだ。
 米調査会社のAACERによると、企業が米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)などの適用を裁判所に申請した倒産件数は3月は前年同月比65%増の7843件。破産法は05年10月中旬の法改正で活用の要件が厳しくなった。改正直前の駆け込みによる特殊要因の影響を除くと、法改正以降では最高水準となったもようだ。(シカゴ=毛利靖子)(16:37)
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3、米住宅価格、2月は18%下落 主要10都市
                    2009年4月29日 日経
 【ニューヨーク=米州総局】米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が28日発表した2月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」によると、主要10都市平均で前年同月比18.8%下落した。下落率は引き続き高水準なものの、過去最大を記録した1月(19.4%下落)よりは縮まった。
 主要20都市平均でも18.6%下落と、前月の19.0%下落より縮小している。これまで住宅価格が大幅に下げてきたラスベガス、フェニックス、サンフランシスコなど16都市で、2月の前月比の下落率が1月よりは改善傾向を示した。指数算出の責任者であるデビッド・ブリッツアー氏は「住宅価格が反転したかどうかを判定するには、もう数カ月のデータをみていく必要があるだろう」としている。
 ケース・シラー指数は米国の一戸建て住宅の売買価格を毎月集計し、2000年1月を100として指数化している。(00:16)



2009年04月25日(土) 巨額損失発表直前の3200億円のボーナス

報道

1、メリルリンチ救済、FRB議長らがバンカメに「圧力」
                 2009年2月13日 読売新聞
2、メリル幹部に3200億円
                 2009年2月13日 読売新米金融大

 メリル幹部の3200億円のボーナスがスキャンダルに発展するのだろうか。
メリルリンチが巨額損失を発表する直前の昨年12月、幹部社員696人に1人あたり100万ドル(約9000万円)を超すボーナスを支給していた。支給総額は36億ドル(約3200億円)にのぼり、上位の幹部4人には計1億2100万ドル(約109億円)が支払われたという。

 巨額損失で独立した経営が困難になった時、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)メリルリンチの救済買収するよう、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長とポールソン米財務長官(当時)2人が、買収を成立させるよう圧力をかけていたという。報道の通り圧力を超えた脅しに近い内容である。これらもスキャンダルに発展しないのだろうか。

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1、メリルリンチ救済、FRB議長らがバンカメに「圧力」
2009年2月13日 読売新聞
 【ニューヨーク=山本正実】米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が昨年、米証券大手メリルリンチの救済買収を決めた際、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長とポールソン米財務長官(当時)から、買収を成立させるよう圧力を受けていたことが、明らかになった。
 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ司法長官が23日、バンカメのケネス・ルイス最高経営責任者(CEO)への事情聴取で得た証言を公表した。
 資料によると、バンカメは昨年9月、メリル買収で合意し、12月に株主総会で承認された。その後、メリルに巨額の損失が生じたことが判明し、ルイスCEOが買収手続きを中断しようと示唆したところ、ポールソン長官から「買収を実現しなければ、経営陣を交代させる」と告げられたという。長官は、バーナンキ議長の要請で圧力をかけたと証言したという。
 バンカメは、買収したメリルの損失を今年1月まで公表しなかったため、株価が急落し、年金基金などの株主から訴訟を起こされている。

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2、メリル幹部に3200億円
2009年2月13日 読売新聞
損失発表の直前 696人にボーナス
 【ニューヨーク=山本正実】米金融大手メリルリンチが巨額損失を発表する直前の昨年12月、幹部社員696人に1人あたり100万ドル(約9000万円)を超すボーナスを支給していたことが11日、ニューヨーク州の司法当局の調査で明らかになった。支給総額は36億ドル(約3200億円)にのぼり、上位の幹部4人には計1億2100万ドル(約109億円)が支払われた。通常なら1月に支給される時期を「ひそかに繰り上げて」(同州のクオモ司法長官)支払ったとみられる。州当局は、損失公表前にボーナス支給を強行した疑いがあるとみて調査を進める。



2009年04月24日(金) 米財務省、クライスラーに破産法準備を指示? 

報道
1、米財務省、クライスラーに破産法準備を指示 米メディア報道
                      2009年4月24日  日経
2、クライスラー、来週にも破産法申請か 米2紙報道
                  2009年4月24日  日経

 ドラマがクライマックスに近づいていることは確かだ。米財務省の「クライスラーに破産法準備を指示」の報道は、債権者・組合への圧力かもしてない。どのような形でこのドラマは終わるのか。 
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1、米財務省、クライスラーに破産法準備を指示 米メディア報道
                      2009年4月24日  日経
【NQNニューヨーク=川勝充郎】米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は23日、関係者の話として、米財務省が米自動車大手クライスラーに連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請を準備するよう指示していると伝えた。申請は早ければ来週にも実施される可能性があるという。米政府は3月30日、クライスラーとゼネラル・モーターズ(GM)の経営再建計画について不十分だと判断。クライスラーについては30日以内にイタリア・フィアットとの提携合意などを求めていた。 (09:35)

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2、クライスラー、来週にも破産法申請か 米2紙報道
                     2009年4月24日  日経
 【デトロイト=小高航】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)とウォールストリート・ジャーナル(同)は23日、米クライスラーが早ければ来週にも米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請する可能性があるとそれぞれ報じた。破産法申請後、イタリア・フィアットとの提携を実現するとの見方が出ているという。ただ政府や債権者らとの交渉は継続しており、実際に破産法申請に踏み込むかはなお不透明だ。
 NYタイムズは関係者の話として、米財務省がクライスラーに対し、来週にも破産法11条を申請する準備をするよう指示していると伝えた。 (11:42)



2009年04月23日(木) GMグループの解体がはじめる

報 道

1、GM、独オペルの経営権を実質無償で譲渡 英紙報道
                   2009年4月20日  日経
2、社説 経済危機が促す自動車産業の進化(4/20)
                   2009年4月20日  日経
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は20日、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が、欧州子会社の独オペルと英ボクソールの経営権を実質的に無償で譲渡する見通しであるという。
GMが無償で経営権を譲渡する先
・独 オペル
・英 ボクソール
・スウェーデン サーブ
米国内で14工場の閉鎖も検討されている。GMは再建できたとしても、最盛期の1/3余りの規模になるのではないか。繰り返すが正常な再建は難しいと思う。社説に「過剰生産能力を解消し、需要水準にマッチした生産体制に移行する」とあるが、GMの動きの加速とともに需要水準にマッチした生産体制になると思う。それにしても激烈な競争である。

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1、GM、独オペルの経営権を実質無償で譲渡 英紙報道
                    2009年4月20日  日経
 【ロンドン=清水泰雅】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は20日、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が、欧州子会社の独オペルと英ボクソールの経営権を実質的に無償で譲渡する見通しであると報じた。GMは売却先候補に対して最低でも5億ユーロ(約640億円)での株式取得を求めているが、その資金は直接オペルなどへの投資となる見込み。実質的には、GMは無償で手放すことになるとしている。
 GMのヘンダーソン最高経営責任者(CEO)はオペルの売却先候補として6以上のグループと売却交渉を進めていることを明らかにしている。GMはオペルの経営権は手放すものの、一部株式は継続保有する可能性はあるという。
 またFT紙によれば、GMは2月に経営破綻したサーブ(スウェーデン)も、同様に無償で譲渡する見通しであるとしている。GMの欧州事業は、赤字決算が続いており、GMにとって大きな負担となっている。そのため、無償でも早期に売却して、負担を減らす考えだ。 (23:02)

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2、社説 経済危機が促す自動車産業の進化(4/20)
                      2009年4月20日  日経
 自動車産業の苦境が長期化している。昨秋の米リーマン・ショックを機に、日米欧の主要市場で新車販売が急減し、半年たった今も本格的な立ち直りの気配は見えない。

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長によると、2009年3月期は6200万台だった新車需要が、10年3月期には5400万台まで減少するという。クルマ1台の平均単価を150万円とすれば、12兆円の需要が消えてなくなる計算だ。

成長から生き残りへ

 未曽有の危機に直面して、自動車各社は「成長」から「生き残り」に経営の軸足を移した。日産自動車は毎年5%の売り上げ増をめざす中期経営計画を凍結し、現金収支の黒字化を経営目標に掲げた。

 小型車に強いスズキは鈴木修会長兼社長の号令で、消しゴム1つ買うにも会長決裁がいるケチケチ作戦を展開中だ。「業績が好調だった時代にコスト構造が緩み、『乾いたぞうきん』どころか『ずぶぬれのぞうきん』になっていた。これをたたき直す」と鈴木会長はいう。

 各国政府も基幹産業の危機を座視できない。米政府は米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーに公的融資を供与している。

 米世論は2社の救済に否定的な意見が多いが、雇用などへの影響を考えると、何の備えもなく両社を倒産させる選択肢は取れなかった。フランスやロシアでも政府が自国メーカーへの低利融資に踏み切った。

 需要喚起のための助成措置も世界に広がっている。ドイツでは車齢9年以上の古いクルマを新車に買い替えると2500ユーロ(32万円)の補助金が支給される。日本でもドイツに倣った補助金の支給が追加経済対策に盛り込まれた。

 こうした施策は1つ1つを見れば妥当な措置といえるが、全体として浮かび上がるのは政府依存を深める自動車産業の姿だ。「政府支援が民間企業の生き残りの決め手」という事態は、正常なものではない。この状態からどうすれば脱却できるか、自動車業界は痛みを覚悟の上で一歩を踏み出す必要がある。

 まず取り組むべきは、過剰生産能力を解消し、需要水準にマッチした生産体制に移行することだ。

 GMは2012年までに米国にある47工場のうち、14工場を閉鎖する計画だが、スピード感に欠ける。より素早く計画を実行に移す手段をGM労使や米政府が一体になって考えるときだ。米クライスラーは伊フィアットと提携交渉中だが、世界規模の再編集約も生産能力の過剰や競合プレーヤー数の過剰を整理するための1つの道筋だろう。

 危機を経て自動車市場の姿が大きく変わるのは必至だ。日本メーカーのドル箱だった米国市場は需要が戻ったとしても、以前の水準に届かず、8割程度にとどまりそうだ。車種構成も廉価な小型車の比重が高まり、高収益の復活は望み薄である。

 一方で成長が期待できるのは中国やインドなどの新興国市場だ。人々のクルマへのあこがれは想像以上に強く、政府が需要喚起策を導入したとたんに新車販売が急回復した。

 こうした市場では、売れ筋のクルマも日米欧とはひと味違う。インドのタタ自動車が約20万円の超低価格車「ナノ」を発売して注目されたように、低価格の追求がカギを握る。日本企業にとっては、コスト競争力が試される局面だ。

 もう1つ忘れてならないのは環境対応だ。地球環境問題に関心が高まるなかで、化石資源を燃やして走る自動車の基本構造が変革を迫られている。足元の経済危機に対応しつつ、長期の課題である環境技術の開発を同時並行で進めることが自動車産業に課せられた使命である。

新たなライバルの登場

 エコカー(環境対応車)は、トヨタ自動車やホンダなど日本勢がリードしてきた分野だ。「危機の効用」ではないが、各国の新車購入助成がエコカーの普及を後押しすれば、日本企業の商機も広がるだろう。

 ただ、長期でみれば環境技術をめぐる競争の激化は必至だ。ライバルは既存の自動車会社だけではない。新型電池を研究する米シリコンバレーのベンチャー企業や、各国政府傘下の研究機関、さらには電機メーカーも潜在的な競争相手である。

 技術が変われば、産業の秩序も変わる。現時点の日本勢のリードは序盤戦のリードにすぎず、研究開発の一段の強化が求められる。

 自動車産業に深い危機を刻んだ2008年は世界初の量産車「T型フォード」が誕生して100年の節目だった。トヨタの豊田章男次期社長は「次の100年も社会が自動車を必要とするのか、今が瀬戸際だ」という。

 日本経済をけん引した自動車産業がV字型の復活は無理としても再生の手がかりをつかみ、将来の成長に向けて布石を打てるかどうか。私たちも注目したい。




2009年04月22日(水) 金融機関の損失400兆円に迫る 

報 道
1、金融機関の損失400兆円に迫る IMF07―10年推計
                     2009年4月22日 日経
2、IMF:金融機関損失4兆ドル 3分の2、銀行部門−−来年末まで
毎日新聞 2009年4月22日
3、FRB:バーナンキ議長が金融革新規制に異論
                     2009年4月18日 毎日

 以前記述したが、報道の通り、世界の金融機関の損失400兆円に迫るという。低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連の証券化商品や複雑な金融派生商品(デリバティブ)が金融ききを引き起こしたという金融システムを根本から変えようという動きが少ない。FRB:バーナンキ議長は、前段の金融システム批判に対し「実は、金融技術の革新は金融システムの効率化に多大な貢献をしてきた」とプラス面を強調。「技術革新を過剰に規制すべきではない」といっている。すなわち、金融機関に400兆円も損失を発生させる現行のシステム容認する姿勢なのである。金融機関の損失400兆円もの損失を与えてた責任意識が、ほとんど無いといわねばならない。

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1、金融機関の損失400兆円に迫る IMF07―10年推計
                     2009年4月22日 日経

 【ワシントン=米山雄介】国際通貨基金(IMF)は21日、ローンや保有証券の劣化に伴う世界の金融機関の損失が2007年から10年までの合計で約4兆540億ドル(約397兆円)に上るとの推計を発表した。金融システムの安定に向け、米欧の銀行はさらに合計で8750億ドル(約85兆円)―1兆7000億ドル(約166兆円)の資本増強が必要になるとの試算も示した。
 「世界金融安定性報告」で明らかにした。金融機関が保有する貸出債権や証券化商品から生じる損失を推計。米国、欧州、日本の組成地域別に集計した。IMFが日米欧3市場全体の損失を推計するのは初めて。

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2、IMF:金融機関損失4兆ドル 3分の2、銀行部門−−来年末まで
毎日新聞 2009年4月22日
 【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は21日、国際金融安定性報告書(GFSR)を公表し、その中で、今回の金融危機の発端となった07年夏の最初の危機以降、10年末までに金融機関の被る損失が、世界全体で4兆ドル(約392兆円)に達するとの推計をまとめた。これまでは米国内での貸し出しに伴う損失をまとめてきたが、欧州や日本などへの危機の拡大を考慮し、改めて先進国全体での損失額を推計した。損失のうち3分の2が銀行部門という。
 米国内での貸し出しに伴う損失は2兆7000億ドルに達し、1月時点の予想(2兆2000億ドル)より約23%拡大すると見込んだ。
 IMFは、危機から脱するためには、将来の損失見通しも加味した上で、金融機関の健全性を厳しく評価し、資本を増強することが不可欠との認識を強調。金融機関の健全性を金融危機以前の水準に戻すために、先進国全体で8750億ドル規模の増資が必要になるとの試算を示した。
 IMFは「銀行間取引の金利が低下するなど、金融市場の一部には改善の兆しも見られるが、多くの一般企業が銀行からの資金調達に苦しんでいる状況に変化はない」と金融システムの正常化には程遠い状況にあるとの認識を示した。
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3、FRB:バーナンキ議長が金融革新規制に異論
               2009年4月18日 毎日

 【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は17日、ワシントン市内で金融分野の技術革新について講演し、「低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連の証券化商品や複雑な金融派生商品(デリバティブ)が金融危機を引き起こしたとして批判の対象になっているが、実は、金融技術の革新は金融システムの効率化に多大な貢献をしてきた」とプラス面を強調。「技術革新を過剰に規制すべきではない」と、規制の行き過ぎに異を唱えた。



2009年04月21日(火) ロシア、10年ぶりに外債発行 

報道と資料
1、ロシア、10年ぶりに外債発行か 一転して借金財政に
2009.4.17 23:02  産経新聞
2、国家破産ロシアの例 (参考)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=31106796&comm_id=3315100


石油価格の急騰により高成長を続けてきたロシア、今年は金融危機による石油価額の下落で一転財政赤字とマイナス成長となるようだ。ロシヤの大衆が如何にひどい目にあったか、引用した国家破産ロシアの例で明らかである。

ロシアは10年ぶりに、国債を海外で発行するという。その規模は50億ドル
(5000億円)と少ない。ポイントはなぜ国内で発行しないのか。報道1の結びにも「国内での国債発行をまずは検討すべきだ」としている。しかし、国内で発行しないで国債を海外で発行するのはいかにも不自然である。誰も国を信用しないで、国債の買い手がないのではないか。
メモ
政府の対外債務   290億ドル(2兆9000億円)
民間の対外債務   4000億ドル(40兆円)

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1、ロシア、10年ぶりに外債発行か 一転して借金財政に
2009.4.17 23:02  産経新聞

 【モスクワ=遠藤良介】ロシア政府が2010年にも、国債を海外で発行する方向で検討を始めた。同国財務省によると規模は50億ドル(約4980億円)程度で、3〜5年物のユーロ債を検討。ロシアにとって10年ぶりの外債発行となる。1998年の金融危機以降、石油価格の急騰により高成長を続けてきたものの、今年は一転、財政赤字と巨額の民間対外債務を抱えてマイナス成長となる見込みだ。中国やブラジルなど新興市場国「BRICs」の一角に数えられてきたロシアの急落ぶりを象徴する動きとみられている。
 クドリン副首相兼財務相は先の財務省会合で「今後の10、20、50年間、ロシアにとって2000〜04年のような好都合な条件はないだろう」と危機感を示した。今年は外国投資家に投資をよびかける「巡業」を行うほか、来年は外債発行を検討すると述べた。
 今年、ロシアは1999年以来の財政赤字に転落し、赤字幅は国内総生産(GDP)の7.4%に上るとみられている。政府の対外債務は290億ドルだが、民間債務は4000億ドル以上にも膨らんでおり、民間企業や金融機関は外国金融機関との厳しい債務整理交渉を迫られている。政府としては、外債の発行で財政補填(ほてん)や民間企業の救済にあてる資金の調達に道筋をつけたい考えだ。
98年のデフォルト(債務不履行)で底を打って以降のロシアは、GDP伸び率で年平均6%超の成長を遂げた。しかし、今年はマイナス4.5%とBRICsの中でも際だって落ち込む見通しだ。証券市場研究所のダニロフ所長は「石油・天然ガス収入に過度に依存する経済構造と、経済危機への政権の対応が後手後手にまわったことが最大の理由だ」と話す。
 むろん、ロシアはルーブル通貨の防衛に2000億ドルを使った今も総額3840億ドルの準備金を有し、借金財政に回帰しても98年のような破綻(はたん)は考えにくい。しかし、原油価格の上昇局面で積み立てた「予備基金」(推定1210億ドル)は今年中に財政補填に消えるとみられるなど、国庫の受ける打撃は決して小さくない。
 ダニロフ所長は「財政赤字が単年度で終わることはなく、予備基金を1年で使い果たして、外債を募る手法は外国の投資家に否定的な印象を与える。民間企業が債務整理を進めている中で、国が外国市場から資金を集めることになれば民間の交渉にも悪影響が出る」と警鐘を鳴らす。その上で「予備基金の段階的活用や国内での国債発行をまずは検討すべきだ」と指摘する。



 



2009年04月20日(月) 主要企業の国内工場閉鎖下期110カ所超

報道 
主要企業の国内工場、閉鎖100カ所超 08年度下期、上期の4倍
                    2009年4月18日 日経

金融危機に伴う需要の急減を受け、製造業が設備過剰の解消を急いでいる。08年度に国内工場の閉鎖は以下であるという。

上期(2008年4月〜2008年9月) 28ヵ所
下期(2008年10月〜2009年3月 110ヵ所

工場閉鎖はこれで収まるのだろうか。収まるという基本情報はない。

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主要企業の国内工場、閉鎖100カ所超 08年度下期、上期の4倍
                 2009年4月18日 日経
 世界同時不況に伴う需要の急減を受け、製造業が設備過剰の解消を急いでいる。主要企業が2008年度下期(10月―09年3月)に閉鎖を決めた国内工場は100カ所を超え、上期(08年4―9月)に比べ4倍に急増した。電機や機械、食品など幅広い業種が不採算事業を縮小。中国など新興国を中心とする成長市場の開拓に軸足を移し、事業構造を転換する。
 08年度に国内工場の閉鎖を公表した大手企業を日本経済新聞が独自集計したところ、下期は計110カ所で上期の28カ所に比べ大幅に増えた。このうち09年1―3月は94カ所と全体の7割を占め、閉鎖の勢いは増している。 (07:01)
関連記事
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コマツ、国内2工場を閉鎖 創業地・小松など(4/14)




2009年04月19日(日) GM 近く50億ドル(5000億円)必要

報道

1、追加政府支援、GM「50億ドル必要」 4ブランドに資源集中
                      2009年4月18日 日経
2、米政府、GMに債務株式化を指示 メディア報道、4兆8000億円
                      2009年4月18日 日経

 GMは既に134億ドル(1兆3400億円)の政府融資を受けている。4〜6月期で50億ドルが必要だという。これで1兆8400億ドルとなる。米政府がGMに指示したといわれる債務の株式化もスムースの進展する様子もない。破産法申請に追い込まれるのは必死といわねばならない。この場合国の1兆8400億ドルの
債権として残らないと思う。国が何もしなければ昨年12月で破産法申請となったのだ。申請の時期を半年余り延ばしたコストが1兆8400億円である。これほどの税金の無駄遣いはない。

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1、追加政府支援、GM「50億ドル必要」 4ブランドに資源集中
                    2009年4月18日  日経
 【ニューヨーク=小高航】経営再建中の米ゼネラル・モーターズ(GM)のヘンダーソン最高経営責任者(CEO)は17日の電話会見で、近く約50億ドル(約5000億円)の追加政府支援が必要になることを明らかにした。GMは既に134億ドルの政府融資を受けているが、販売低迷やリストラ費用の増加で資金不足が深刻化しているとみられる。米市場では「シボレー」など4ブランドに集中する姿勢を強調した。
 GMは6月1日の再建策提出期限へ向け、債権者などとの協議を急いでいる。ヘンダーソン氏は「破産法を活用しないで再建を目指すが、(債権者らと合意できなければ)破産法申請もあり得る」と改めて述べた。
 ブランドの統廃合では、シボレーと「キャデラック」「ビュイック」「GMC」の4ブランドに集中。GMCを売却するとの米報道については否定した。傘下の独オペルの売却交渉では6社が関心を示していることを明らかにした。 (01:26)
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2、米政府、GMに債務株式化を指示 メディア報道、4兆8000億円
                      2009年4月18日 日経
 【ニューヨーク=小高航】ロイター通信は17日、米政府がゼネラル・モーターズ(GM)に、債権者や全米自動車労組(UAW)に対して抱える債務のうち、480億ドル(約4兆8000億円)を株式で支払うよう指示したと報じた。GMは2週間以内に債権者やUAWにこうした債務削減策を提示する見通しという。
 米政府は昨年12月、約275億ドルの無担保債務の3分の2と、UAW向けの医療保険関連の債務約200億ドルの半分を株式で支払うよう指示していた。今回、株式化の額として提示する480億ドルの内訳は不明だが、GMの財務内容の健全化へ向け、政府が債務の圧縮幅を拡大するよう求めた格好だ。
 一方、米紙デトロイト・ニュースは17日、米政府が週明けにもGMとクライスラーに対し、追加の短期融資を発表する見通しだと伝えた。GMは50億ドル(約5000億円)、クライスラーは5億ドル(約500億円)程度の融資を受けられる見通しとしている。GMのヘンダーソン最高経営責任者(CEO)は17日の電話会見で「4―6月期に約50億ドルの追加的な政府融資が必要」と述べていた。 (21:20)




2009年04月18日(土) どこかが可笑しい米国の金融システム

  報道

1、米不動産ゼネラル・グロース、破産法申請 負債最大の2.7兆円
                     2009年4月16日 日経

米商業用不動産2位ゼネラル・グロース・プロパティーズは16日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請して破産した。負債総額は272億ドル(約2兆7000億円)で、米企業の倒産としては今年最大規模であるという。2ヵ月前は家電量販店全米第2位の企業が倒産した。今度は不動産業全米第2位の米商業用不動産企業の倒産である。
米国の金融システムが可笑しいといわねばならない。

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1、米不動産ゼネラル・グロース、破産法申請 負債最大の2.7兆円
                        2009年4月16日 日経

 【ニューヨーク=杉本晶子】経営難に陥っていた米商業用不動産2位ゼネラル・グロース・プロパティーズは16日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。負債総額は272億ドル(約2兆7000億円)で、米企業の倒産としては今年最大規模。同社は約200のショッピングモールを保有し、信用収縮による資金繰り悪化に加え、不動産市場の低迷と個人消費の冷え込みが追い打ちをかけた。
 ゼネラル・グロースは大型モールの開発から運営までを手掛け、多額の不動産担保証券を発行して積極的な投資を続けてきた。今年だけで返済期限を迎える負債は約2500億ドルにのぼっていた。債権者にシティグループやドイツ銀行など大手金融機関が名を連ね、昨年から繰り返し、負債返済の先延ばしに応じていた。
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2009年04月17日(金) 米政府、GM再建「破産法前提に準備」

報道

1、米政府、GM再建「破産法前提に準備を」 NYタイムズ
                    2009年4月13日  日経
2、GM・クライスラー支援、加が打ち切りも 労務費削減不十分なら
                    2009年4月17日 日経

 クライスラーに続きGMも緊迫した場面になっている。カナダのクレメント産業相は16日、トロントで会見し、経営再建中の米クライスラーや米ゼネラル・モーターズ(GM)の労務費削減が不十分な場合、金融支援を打ち切る考えを示唆している。

米政府がゼネラル・モーターズ(GM)に対し、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請を前提に経営再建策を準備するよう指示していると報じられている。破産法11条の処理で債務の切捨て、労働賃金の切り下げがなければ、再スタートできないのだろう。米国は法律の基づく訴訟社会なので簡単に新体制ができない気配だ。

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1、米政府、GM再建「破産法前提に準備を」 NYタイムズ
                    2009年4月13日  日経
 【ニューヨーク=小高航】米紙ニューヨーク・タイムズは13日、米政府がゼネラル・モーターズ(GM)に対し、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請を前提に経営再建策を準備するよう指示していると報じた。同社は6月1日までに再建策を詰める必要がある。
 自動車大手の再建策を検討する政府の作業部会は先週以降、再建手法を巡りGM幹部らと大詰めの協議を進めている。GMが破産法を申請した上で、優良ブランドなどを「新生GM」として切り出す案が浮上している。
 同紙はこの手法を使えば、わずか2週間で「新生GM」は再建の手続きが完了、政府の投入資金も50億―70億ドル(約5000億―7000億円)で済むとの関係者の見方を伝えた。一方、不採算部門などが残された「旧GM」の法的処理には700億ドルの政府資金が必要で、一部事業の清算も想定されるとしている。 (13日 23:25)
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2、GM・クライスラー支援、加が打ち切りも 労務費削減不十分なら
                    2009年4月17日 日経
【シカゴ=毛利靖子】カナダのクレメント産業相は16日、トロントで会見し、経営再建中の米クライスラーや米ゼネラル・モーターズ(GM)の労務費削減が不十分な場合、金融支援を打ち切る考えを示唆した。加政府はクライスラーに対し4月末までに再建策を提出するよう求めているが、カナダ自動車労組(CAW)との賃下げ交渉が難航している。
 産業相は賃下げが「難しいことは理解できる」と述べたうえで「(賃下げを)実行しなければ政府は2社につなぎ融資の返済を求める権利がある」と指摘。破産法の申請を含め「あらゆる選択肢を検討する」と語った。
 クライスラーについては「労務費の削減が不十分で、事業の提携相手を失った場合、公的支援を続ける意義はなくなる」と強調。CAWと時給を2割以上減らす交渉を早期にまとめたうえで、イタリアの自動車大手、フィアットとの提携協議を急ぐよう求めた。



2009年04月16日(木) クライスラー会社清算の可能性あり


報道
1、クライスラー、カナダ労組と交渉再開へ 
                    2009年4月16日  日経
2、フィアット:クライスラーとの提携交渉 撤回の可能性示唆
                    2009年4月15日 毎日
3、フィフィアット:クライスラーと提携交渉「立ち去る用意ある」
毎日新聞 2009年4月15日

経営危機の米自動車大手クライスラーと資本提携交渉を進めているイタリアの自動車大手フィアットは、今月末までにクライスラーの労働組合が大幅な労務費削減に応じない場合「立ち去る用意がある」と明言し、交渉を打ち切る可能性を明らかにている。
 
フィアットとの交渉が不調に終われば、米政府はクライスラー支援から手を引く方向である。よって、クライスラーは会社清算となる可能性も出てきたといえる。 フィアットのマルキオンネ最高経営責任者(CEO)が「会社清算となる同7条の申請も排除しなかった」というから注目だ。
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1、クライスラー、カナダ労組と交渉再開へ 
2009年4月16日  日経
 【ニューヨーク=小高航】経営再建中の米クライスラーとカナダ自動車労組(CAW)が20日にも、労務コストの削減を巡る交渉を再開する見通しとなった。クライスラーと提携協議を進めている伊フィアットのマルキオーネ最高経営責任者(CEO)は、労組との交渉がまとまらなければ提携協議を打ち切ると発言していた。
 米メディアなどによると、CAWのルウェンザ委員長が15日に会見し、今月上旬から中断していたクライスラーとの交渉を再開する意向を示した。同委員長はマルキオーネCEOの発言について「労務費を(交渉材料として)狙い撃ちしており不平等」と批判した。
 
米政府は先月末、クライスラーに対し4月末までにフィアットとの提携交渉や労務費の削減策をまとめるよう指示した。しかし米国やカナダで労組との交渉が難航。同CEOはカナダ紙とのインタビューで、クライスラーとの交渉打ち切りを示唆し、労組をけん制していた。(19:03)

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2、フィアット:クライスラーとの提携交渉 撤回の可能性示唆
                     2009年4月15日 毎日

 【ワシントン斉藤信宏】イタリア自動車大手フィアットのマルキオンネ最高経営責任者(CEO)は15日、カナダ紙グローブ・アンド・メール(電子版)とのインタビューで、米自動車大手クライスラーとの提携交渉について「労働組合がコスト削減を受け入れなければ、交渉のテーブルを離れる用意はできている」と語った。交渉を白紙撤回する可能性を示唆したもので、クライスラーの命運をかけた提携交渉は、クライスラーの人件費が大きな焦点として浮上している。
 マルキオンネCEOは「特にカナダの労組との交渉の遅れが目立っている」と述べた。フィアット側はクライスラーに対し「日本やドイツの自動車会社と同等程度に人件費を引き下げる必要がある」と主張していた。
 フィアットはクライスラーに35%出資し、米国内の販売店網を確保する代わりに、小型車技術を提供する方向で提携交渉を続けている。
【関連記事】

毎日新聞 2009年4月15日 21時56分
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3、フィフィアット:クライスラーと提携交渉「立ち去る用意ある」
毎日新聞 2009年4月15日
 経営危機の米自動車大手クライスラーと資本提携交渉を進めているイタリアの自動車大手フィアットのマルキオンネ最高経営責任者(CEO)は、今月末までにクライスラーの労働組合が大幅な労務費削減に応じない場合「立ち去る用意がある」と明言、交渉を打ち切る可能性を明らかにした。15日付のカナダ紙グローブ・アンド・メール(電子版)が同氏との単独インタビューを報じた。
 フィアットとの交渉が不調に終われば、米政府はクライスラー支援から手を引く。同氏は、クライスラーによる米連邦破産法11条の適用申請を「一つの選択肢」と指摘。会社清算となる同7条の申請も排除しなかった。(共同)










2009年04月15日(水) GM・クライスラー債権者の激震


報 道
ビッグ3追加支援策でウォール街に損失の激震
ニューズウィーク日本版4月 8日(水)

報道によると
・GMには巨額の長期債務は290億ドル(2兆9000億円)
・クライスラーの負債は約240億ドル(2兆4000億円)
であるという。

 面白い情報を知った。
「また同社(GM)の信用格付けがジャンク債(投資不適格)」に下がったということは、債権者の大半がヘッジファンドなど投資会社になることを意味する(投資信託会社や年金基金、保険会社など機関投資家はジャンク債を避けるものだ)。GMの社債は「回収困難」と呼ばれる水準で取引されている。2年以内に満期を迎える社債は現在、額面の20%の価値しかない」(報道から)」

 オバマは、「破産法適用」も視野に入れていることを表明した。不良資産の政府の保証を期待したヘッジファンドが大損する趨勢なのだ。

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ビッグ3追加支援策でウォール街に損失の激震
ニューズウィーク日本版4月 8日(水)
米政府の支援をあてこんでGMの社債やクライスラー株を買い込んだ「PE(未公開株)ファンド=ヘッジファンド複合体」に、オバマ大統領が冷たく「ノー」を突きつけた

ダニエル・グロス(ビジネス担当)

 オバマ米政権が3月23日に発表した金融機関の不良資産買い取り計画に、「プライベートエクイティ(未上場企業への投資や企業買収で収益を上げる投資会社)=ヘッジファンド複合体」は大喜びした。だが3月30日にバラク・オバマ大統領が発表した自動車産業への追加支援策で、それがぬか喜びだったことを思い知らされた。

 ゼネラル・モーターズ(GM)のリック・ワゴナー会長兼CEO(最高経営責任者)の更迭に加え、明らかになった追加支援策の詳細はGMとクライスラー両社の利害関係者にとってまさに凶報だった。

 GMについては、株式よりも債務に焦点が当てられた。GMには巨額の債務があり、08年第4四半期の決算発表によれば、長期債務は290億ドルを上回る。

 また同社の信用格付けが「ジャンク債(投資不適格)」に下がったということは、債権者の大半がヘッジファンドやプライベートエクイティなど投資会社になることを意味する(投資信託会社や年金基金、保険会社など機関投資家はジャンク債を避けるものだ)。GMの社債は「回収困難」と呼ばれる水準で取引されている。2年以内に満期を迎える社債は現在、額面の20%の価値しかない。

■ GMには債務保証せず

 多くの投資家がGMの社債を買ったのは、GMが破産法の適用を申請した際には社債が所有権に転換されること、あるいは政府の介入によって正式にGMの企業債務が保証され、社債の価値が上昇することを期待したからだ。

 オバマは30日、今後GMにそうした保証を提供するつもりがないことを明らかにし、その再建努力が十分ではないとしてこう語った。「抜本的な再編の取り組みを実施すれば、GMは必ず立ち直れると確信している。彼らは事業再編をしたのか。それとも、いまだに巨額の債務を抱え込んで将来のための投資ができずにいるのか」(1つ目の問いへの答えはノー、2つ目の問いへの答えはイエス)

 GMの債権者は今後、ディーラーや自動車労働組合などと同じように、GMと取引をすることになるが、予想していたより少ない保証を受け入れるしかない。政府に不良債権を買い取ってもらえた保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の債権者とは大違いだ。

 クライスラーに対するオバマのメッセージはもっと厳しい。クライスラーの株式の80%は投資ファンドのサーベラスが保有しているが、同社はリスクを減らすため、取得したクライスラー株のかなりの部分を他の投資家に売却した。政府に提出された再建計画によると、クライスラーの負債総額は約240億ドルに上る。

 オバマはクライスラーに対して、政府が新たな資本注入をするにしても小規模なものにとどまるだろうと告げ、同社が単独で生き残るのは難しいという見通しを示した。その上で、イタリア自動車大手フィアットと進めている提携交渉をまとめる努力をするよう強く勧めた。フィアットが製品や技術の提供と引き換えにクライスラー株の35%を取得するという、フィアット側に有利な交渉だ。

■公的資金投入への条件

 オバマはサーベラスに30日間の猶予を与え、フィアットとの交渉をまとめるよう求めた。提携交渉がまとまれば(サーベラスが保有するクライスラー株がさらに下落することになるが)「最大60億ドルを追加支援する」。だが、まとまらなければ「これ以上の公的資金の投入は正当化できなくなる」と、オバマは語った。つまりクライスラーが生き残っても、所有者や株主、債権者などあらゆる方面に大きな損失が生じることになる。

 オバマは、サーベラスに大打撃をもたらす「破産法適用」も視野に入れていることを表明した。不良資産買い取り計画を称賛した多くのウォール街の投資家たちだが、どう頑張っても彼らがGMとクライスラーの支援策で得をすることはないだろう。

(C) 2009 Newsweek, Inc. 2009 Hankyu Communications Co., Ltd.



2009年04月13日(月) アイルランドが欧州初「バッドバンク」


報 道
アイルランドが欧州初「バッドバンク」 不良資産12兆円買い取り
                      2009年4月7日  日経

アイルランド政府は国内銀行全体を対象に不良資産の受け皿機関(バッドバンク)を設けるのは、欧州主要国では初めてである。不良資産の受け皿として「資産管理公社」を新設し、800億―900億ユーロ(12兆円)の不良資産を銀行から買い取る。

 財政赤字の拡大に歯止めをかけるため、所得税、キャピタルゲイン課税の増税や、児童扶養手当引き下げなどの歳出削減措置も導入するという。それでも財政赤字の実質国内総生産(GDP)比率はなお11%になるというから財政の破産状態である。日本で言えば55兆円の財政赤字である。

 日本の政府は財政知識の乏しい国民を常に騙していると思う。今回の補正で財政赤字は40兆円を超えるのである。現在の税収見通すでは、税収より国債を発行する財政赤字が多くなる。米国は毎月の財政赤字が公表されるが、日本の政府・財務省はこの財政赤字という項目での情報は公開していない。国家の厳しい現状を大半の国民は知らないのである。国民を騙す欺瞞といわざるを得ない。
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アイルランドが欧州初「バッドバンク」 不良資産12兆円買い取り
                      2009年4月7日  日経
 【ロンドン=吉田ありさ】アイルランド政府は7日、不動産バブル崩壊に伴う経済危機への緊急対策を発表した。公的資金で民間銀行の不動産融資債権を最大900億ユーロ(約12兆円)買い取り、不良資産の処理を進めるのが柱。今回の金融危機で政府が個別行に限定せず国内銀行全体を対象に不良資産の受け皿機関(バッドバンク)を設けるのは、欧州主要国では初めて。財政赤字を縮小するため、増税や歳出削減措置も導入する。

 不良資産の受け皿として「資産管理公社」を新設し、800億―900億ユーロの不良資産を銀行から買い取る。住宅価格などの急落で不動産融資の返済が滞り、銀行が新たな融資を手掛けられなくなっているため、不良資産を分離して信用収縮を解消する。

 財政赤字の拡大に歯止めをかけるため、所得税、キャピタルゲイン課税の増税や、児童扶養手当引き下げなどの歳出削減措置も導入するという。ただ、一連の対策を実施しても、2009年度の財政赤字の実質国内総生産(GDP)比率はなお11%程度になる。









2009年04月12日(日) 米財務省、生保も公的資金注入対象

報道
米財務省検討、生保も公的資金注入の対象に   2009年4月8日  日経

米財務省は、生命保険会社を金融安定化法に基づく資本注入の対象に加える検討に入った。AIG以外にも経営が悪化している保険会社があるのは当然だ。金融危機は総ての金融機関に公的資金が入るという異常事態を生んでいる。

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米財務省検討、生保も公的資金注入の対象に
                  2009年4月8日  日経

 【ワシントン=大隅隆】米財務省は、生命保険会社を金融安定化法に基づく資本注入の対象に加える検討に入った。保有資産の劣化で財務内容が悪化している保険会社の資本基盤を底上げする狙い。緊急措置として公的支援を実施したアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)以外にも経営が悪化している保険会社があるためとみられる。

 安定化法の公的資金枠は7000億ドル。財務省によるとすでに540以上の金融機関が資本注入制度を活用しているほか、自動車大手もこの公的資金枠から融資を受けている。

「広がる金融危機」記事一覧
(4/12)日銀、自己資本を増強 財務悪化に備え準備金積み増し
(4/10)オバマ大統領「米経済、希望の光も」 数週間内に追加策
(4/10)東アジア首脳会議など10日開幕 金融安定化へ協力推進
(4/9)英中銀、政策金利据え置き 量的緩和を継続
(4/8)EU加盟27カ国の金融対策、総額400兆円 欧州委報告書
(4/8)景気底割れ懸念、長期国債購入決断の引き金に 3月FOMC議事要旨
(4/8)米財務省検討、生保も公的資金注入の対象に
(4/7)アイルランドが欧州初「バッドバンク」不良資産12兆円買い取り
(4/7)英銀RBS、2年間で最大9000人削減へ 全世界で
(4/7)政投銀など、金融危機対応の融資拡大 3月末1兆1303億円
(4/6)米金融市場に円・ユーロ供給 最大29兆円 日米欧5中銀が合意
(4/6)銀行の最低自己資本比率、金融庁長官「変更せず」
(4/5)米財務省など、19金融機関の資産査定 分析法、週初に協議
(4/4)米住宅公社2社、210億円の賞与支給へ 批判必至
(4/3)中国主席「景気刺激、既に効果」 IMFに400億ドル拠出
(4/3)金融規制強化へ「安定化理事会」設置 金融サミット
(4/3)オバマ米大統領、金融サミット「景気回復への転換点」
(4/3)日興アセット、米シティが売却手続き 三菱UFJ信託など、入札打診受ける
(4/2)2010年「世界2%成長」へ協調 金融サミット閉幕
(4/2)米、時価会計緩和を決定 金融機関に裁量



2009年04月11日(土) 警戒を要する米国の巨大な財政赤字

 報 道
米財政赤字:過去最悪96兆円…09会計年度上半期
                    毎日新聞 2009年4月11日 
米財政赤字2年間で309兆円
                 2009年3月22日金融危機関連情報から

 2009年3月22日米財政赤字2年間で309兆円になることを書いた。しかし、
09年会計年度上半期の財政赤字が96兆円になり、下期は更に赤字幅が広がるというから、2年間の財政赤字は309兆円に収まりそうもない。一体の財政赤字を補填するために国債をどこが買うのだろう。

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米財政赤字:過去最悪96兆円…09会計年度上半期
毎日新聞 2009年4月11日 11時34分
【ワシントン斉藤信宏】米財務省は10日、09会計年度(08年10月〜09年9月)上半期6カ月間の財政赤字の合計が9567億9900万ドル(約96兆円)にのぼり、過去最悪を記録したと発表した。赤字幅は昨年度上半期比で約3倍となった。景気対策で大幅に支出が膨らむ一方で、景気悪化に伴う税収の落ち込みが続き、財政の悪化に歯止めがかからなくなっていることを裏付けた。
 財務省によると、3月の財政赤字は1922億7300万ドルで、前年同月比約4倍に膨らんだ。
 3月の歳出は同41.5%増の3212億3000万ドル、歳入は同27.9%減の1289億5700万ドルだった。
 オバマ米大統領は、2月に議会に提出した10会計年度の予算教書の中で、09年度の財政赤字について、米国の国内総生産(GDP)比で12.3%にあたる1兆7520億ドル規模に達するとの見通しを示している。しかし、今後、総額7872億ドルの大型景気対策の実施を控えており、赤字幅は米政府の予想を上回る可能性も出てきた。
【関連記事】
米国:2月の財政赤字、18兆7500億円 過去最大
G20:不況克服へ 財政出動か金融規制か 米欧、不協和音
米財政赤字:177兆円に 予算教書より悪化−−09年度予想
米国:2月の財政赤字、18兆円
毎日新聞 2009年4月11日 11時34分

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2009年03月22日(日) 米財政赤字2年間で309兆円

1、米財政赤字:177兆円に 予算教書より悪化−−09年度予想
                   2009年3月21日  毎日
2、米財政赤字、史上最悪GDP比13.1% 09年度見通し
                   2009年3月21日 東京新聞

 米議会予算局は20日、1月以降の景気動向や景気対策法の成立などを加味し、09会計年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字が1兆8450億ドル(約177兆円)に達するとの予想を発表した。実質国内総生産(GDP)比も131%まで膨らむのだ。これを分かり安く示そう。

・09年度の財政赤字  1兆8450億ドル (約177兆円)
・米国のGDP     14兆0840億ドル(約1350兆円)
・財政赤字%        13.1%  (1兆8450億ドル÷14兆0840億ドル)
・10年度の財政赤字   1兆3790億ドル (約132兆円の赤字を予想)
・2年間の財政赤字    約309兆円 (177兆円+132兆円)

 米議会予算局は、オバマ政権の掲げた一連の社会保障・教育改革などを実施することで、今後10年間、毎年1兆ドル近い財政赤字が続くと発表している。10年間での赤字総額が9.3兆ドル(890兆円)に達するとの見通しも明らかにしているのだ。超借金大国の行方に深刻な関心を持たなければならない。
http://www.enpitu.ne.jp/usr3/bin/day?id=30290&pg=20090322
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2009年04月10日(金) 米政府、ビッグスリーから低燃費車1万7600台購入へ


報 道

1、米政府、ビッグスリーから低燃費車1万7600台購入へ
                   4月10日9時59分配信 ロイター
2、<GM>破産法「真剣に準備」 不採算部門を分割 米報道
                   4月8日10時19分配信 毎日新聞

 米政府、ビッグスリーから低燃費車1万7600台購入は関してオバマ大統領のコメントを引用したい。
「米自動車業界へのわれわれの関与の一環として、景気対策法で認められた資金を用いて低燃費公用車を購入するよう命じた。米自動車業界の需要を押し上げ、景気を刺激することが目的だ」
と述べた。反面次のメッセージのある
「これは第一歩に過ぎない。困難な再編期を迎えている米自動車業界を支える取り組みを継続する」とした。
報道2によれとオバマ大統領は「破産法が抜本的なリストラの助けになる」と言及するなど、経営破綻が徐々に現実味を増している。GMは、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用申請について「真剣に準備を進めている」とも報じられている。
今まで230回を超す金融危機関連情報を記述してきた、全体的な印象としての私見を記述すれば「GMは連邦破産法11条の適用申請に追い込まれる」と思っている。


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1、米政府、ビッグスリーから低燃費車1万7600台購入へ
4月10日9時59分配信 ロイター
  [ワシントン 9日 ロイター] オバマ米大統領は9日、政府が6月1日までに米自動車大手3社(ビッグスリー)から低燃費車1万7600台を購入すると発表した。
 大統領によると、政府は公用車として使用するこれらの自動車をゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラー、フォードから調達する。3社はいずれも米政府調達局(GSA)と契約を結んでいる。
 今年成立した景気対策法で使用が認められた7870億ドルから、約2億8500万ドルを低燃費車の購入に支出するという。
 大統領は声明で「米自動車業界へのわれわれの関与の一環として、景気対策法で認められた資金を用いて低燃費公用車を購入するよう命じた。米自動車業界の需要を押し上げ、景気を刺激することが目的だ」と述べた。
 その上で「これは第一歩に過ぎない。困難な再編期を迎えている米自動車業界を支える取り組みを継続する」とした。
 大統領は3月30日、公用車の調達計画を速めるよう政府に指示していた。
 ホワイトハウスによると、政府が4月15日までに発注するハイブリッド車2500台も今回の発表に含まれる。これは1回のハイブリッド車の調達規模としては過去最大となる。

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2、<GM>破産法「真剣に準備」 不採算部門を分割 米報道
4月8日10時19分配信 毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】複数の米メディアは7日、関係者の話として、経営危機に直面している米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用申請について「真剣に準備を進めている」と報じた。報道によると、GMは、採算の取れる事業を新会社に、それ以外の不採算部門を旧会社に分割。担保付きの債務を新会社が引き継ぐ方向で検討を進めているという。

 報道を受けて、GMの株主や社債保有者が大きな損失を被ることになるとの観測が広がり、GM株は前日終値比12%安の2ドルちょうどまで下落した。

 また、カナダ政府は同日、GMとクライスラーの新車購入者に対して、修理費用を保証する制度を設けると発表した。カナダ国内の自動車部品メーカーへの支援策拡充の方針も示しており、両社の経営破綻(はたん)に備えた措置と見られる。

 GMは米政府から経営再建計画の見直しを迫られており、5月末までに計画を提出しなければ破産法申請の可能性が強まる。オバマ大統領も「破産法が抜本的なリストラの助けになる」と言及するなど、経営破綻が徐々に現実味を増している。



2009年04月09日(木)  米金融危機:抜本対策はいまだできず

報 道

1、FRB:景気見通しを下方修正 FOMC議事録
                毎日新聞 2009年4月9日
3、FRB国債買い取り:次の手打てぬ米政府 AIG余波で
                毎日新聞 2009年3月19日 

 米国は金融危機対策として、金融機関などに資本注入と、FRBによるドル札の大量発行のよって、3000億ドルの長期国債買い取りなどを行っている。しかし、肝心の金融機関の不良資産の解決策未だに最終決定していないのである。

 米政府にとって大きな誤算は、報道2の通りAIG問題で公的資金への批判が一気に強まったことだ。バッドバンク構想には「最大4兆ドル(400兆円)前後の公的資金が新たに必要になる」(市場関係者)との指摘があり、米政府も「少なくとも1兆ドルは(100兆円)かかる」(ガイトナー長官)と公的資金の追加投入に理解を求めてきたからだ。

 大きなポイントは、米国の金融機関に抱える不良債権は100兆円〜最大400兆円もあるとの予測なのである。具体的にはバッドバンク構想で、経営が悪化した金融機関から不良資産を買い取り、管理、処分する機関を発足できないでいる。
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1、FRB:景気見通しを下方修正 FOMC議事録
                毎日新聞 2009年4月9日
 【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、3月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨を公表し、その中で米景気見通しを事実上、下方修正したことが明らかになった。1月の時点では09年後半には一定の回復基調が表れると予想していたが、議事録では実質国内総生産(GDP)が09年後半に「徐々にマイナスから横ばい」となり、10年には「極めて緩やかな回復にとどまる」と表現を下方修正した。
 1月にまとめた見通しでは、09年後半にはオバマ政権の打ち出した大型景気対策の効果で一定の回復基調が表れると予想。10年の成長率見通しについては、2.5〜3.3%と高めのプラス成長を予想していた。
 議事録によると、FOMCでは、大半の委員が「短期的には依然として景気の下振れリスクが強い」と指摘し、最大3000億ドルの長期国債買い取りを決断したという。一部の委員からはデフレを警戒する意見も出るなど、米国経済の先行きに対し厳しい見方が相次いだ。
 委員の多くが、特に輸出の落ち込みを警戒しており、「世界的な景気の急激な落ち込みで、需要が大幅に減少している」と厳しい認識を示した。また、雇用情勢の悪化は10年まで続き、失業率も上昇を続けると予想した。
 ただ、金利の低下や信用不安の緩和など市場環境が改善しつつあることなどから「緩慢なペースではあるが、景気は回復に向かう」との見方も示した。
【関連記事】
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欧州中銀:金利年1.25%に 過去最低を更新
FRB国債買い取り:次の手打てぬ米政府 AIG余波で
与謝野財務相:日米中央銀行の金融緩和策を歓迎
東京外為:ドル急落95円台
毎日新聞 2009年4月9日 10時39分
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3、FRB国債買い取り:次の手打てぬ米政府 AIG余波で
毎日新聞 2009年3月19日 
 【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、長期国債の買い取り方針を決め、一層の量的金融緩和に踏み込んだ。だが、不良資産を金融機関から切り離すための官民合同の「バッドバンク」構想の具体化など、金融安定化のための抜本策を米政府は依然、打ち出せていない。さらに米保険大手AIGの巨額ボーナス問題で、ガイトナー財務長官が批判されるなど、オバマ政権への信任も揺らいでおり、金融危機脱却への道は険しさを増している。
 オバマ大統領は演説で「ガイトナー長官が近く金融安定化策の詳細を明らかにする。米国経済復活への道が開かれる」と繰り返してきた。そのたびに観測報道が相次ぎ、市場でもバッドバンクの詳細発表への期待感が高まった。ところが今週に入り、政府管理下で経営再建中の米保険大手AIGの巨額ボーナス問題が表面化し、米議会を巻き込む大騒動に発展。共和党のシェルビー上院議員が「またしても彼(ガイトナー長官)は蚊帳の外にいる」と無策ぶりを責め立てるなど、非難の矛先を向けられた米財務省は、身動きの取れない状況に陥った。
 米政府にとって大きな誤算だったのは、AIG問題で公的資金への批判が一気に強まったことだ。バッドバンク構想には「最大4兆ドル前後の公的資金が新たに必要になる」(市場関係者)との指摘があり、米政府も「少なくとも1兆ドルはかかる」(ガイトナー長官)と公的資金の追加投入に理解を求めてきたからだ。だが、AIG問題の影響で、新たな公的資金が必要な対策への国民の理解を得るのは極めて難しくなった。
 FRBがいくら大規模な量的緩和策をとっても、バッドバンク構想など抜本的な不良資産処理策が動かない限り金融危機の沈静化は期待できない。金融安定化策を巡る迷走が続く中、米国では国民生活の不安だけが増幅し続けている。
 
【ことば】◇バッドバンク(Bad Bank)
 経営が悪化した金融機関から不良資産を買い取り、管理、処分する機関。金融機関が含み損を抱える証券化商品などを保有したままだと、一層の価格下落で損失が膨らむ恐れがある。完全に切り離せば、損失拡大は食い止められ、財務の健全性確保の第一歩を踏み出せることになる。米国では、80年代後半、貯蓄貸付組合(S&L)の破綻(はたん)急増に伴い設立された整理信託公社(RTC)が代表例。日本では、銀行の不良債権を買い取る整理回収機構が相当する。

【関連記事】
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オバマ大統領:強く非難、阻止を指示…AIG高額賞与支給
毎日新聞 2009年3月19日 21時56分(最終更新 3月19日 23時55分)



2009年04月08日(水) 外国人投資家、日本株の売越額(8兆円)過去最大に 

報 道

1、外国人投資家、日本株の売越額最大に 08年度
                       2009年4月8日 日経
2、日本株:1.8兆円の売り越し 05年以降で最大
                      毎日新聞 2009年4月8日
昨年秋からの金融危機の影響で、外国人投資家が資金を確保するための日本株の換金売りが続いている。8兆1775億円の売り越しであったことを書き留めておきたい。
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1、外国人投資家、日本株の売越額最大に 08年度
                       2009年4月8日 日経
 財務省が8日発表した2008年度の対内・対外証券投資動向によると、外国人投資家による日本への株式投資は8兆1775億円の売り越しとなった。売越額は現行の統計が始まった2005年以来、最大となった。昨年秋からの金融危機の影響で、当面の資金を確保するための換金売りが膨らんだ。
 中長期債も含めた外国人による08年度の投資は11兆7453億円の売り越しだった。中長期債は9月から、売りが優勢の展開が続いている。
 日本人による08年度の海外の証券売買動向は、株式が7兆1822億円の買い越しだった。

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2、日本株:1.8兆円の売り越し 05年以降で最大
                      毎日新聞 2009年4月8日
 財務省が8日発表した3月の対外・対内証券売買契約状況によると、外国人投資家による日本株の取引は、「売り」が「買い」を1兆8835億円上回る売り越しだった。売り越しは9カ月連続で、現行の統計が開始された05年1月以降で最大になった。
 金融危機の影響で昨年秋以降、毎月1兆円規模の外国人投資家による売り越しが続いており、08年度の売り越し額は8兆1775億円に上った。09年3月は株式の買い総額が12兆2037億円で、売り総額が14兆872億円。市場外取引でも6000億円程度の売りがあったため、売り越し額が膨らんだという。【平地修】
【関連記事】
対内対外投資:外国人の売り越し続く 2月
毎日新聞 2009年4月8日 18時46分(最終更新 4月8日 20時36分)



2009年04月07日(火) G20サミットの記録

報 道
1、社説:G20合意―これは出発点に過ぎぬ      4月4日 朝日
2、社説:G20サミット 地球規模の解決へ前進    4月4日 毎日
3、社説:金融サミット 保護主義排除を最優先に   新潟日報4月4日
4、社説:G20サミット―結束し暴風に立ち向かえ   4月2日 朝日

 G7からG20へ金融危機は世界の意思決定の舞台が大きく変化するようだ。 
 事前には、さまざまな不協和音が伝えられていた。大きな食い違いは次の2点であったようだ。
1、財政では、各国が国内総生産(GDP)の2%規模の出動を行うべきだとした米国に対し、ドイツなど欧州は追加的な措置に慎重だった。
2、金融規制では、ヘッジファンドやタックスヘイブン(租税回避地)に対する厳格な監視と規制を求めたフランスやドイツに対し、米英は緩やかな措置にとどめようとした。

 この会議で「前例のない財政出動を実施し、長期的な財政の持続性を確保する」と宣言した。2010年末までに全体で5兆ドル(約500兆円)規模の財政出動を行い、世界の経済を4%分底上げすることなどを宣言した。まずは、小異を捨てて、大同につこうとした意思が結実したようだ。

 ここでメモを残して置きたい。
2010年末までに全体で5兆ドル(約500兆円)規模の財政出動を行い、世界の経済を4%分底上げすることなどを宣言した
世界のGDPは
 X×0.04=500兆円
 X=500兆円÷0.04
 X=12500兆円
このデーターが正しいとすると米国のGDPは10%少である。



2009年04月06日(月) 米新車販売底を打ったか?

1、3月米新車販売34%減 マイナス幅3カ月ぶり縮小
                    2009年4月2日 朝日新聞
2、3月の米新車販売台数、販売奨励策が奏功し予想上回る
                      2009年4月4日  日経

1〜2月の販売台数が前年比で50%余りであったので、3月の35%余りの減は意外と少ない印象を与えている。
3月の米新車販売台数
G M       156000 −42.5
トヨタ     132000 −36.6
フォード    131000 −38.5
クライスラー  101000 −36.9
ホンダ      88000 −33.7
日産 66000 −35.2

 果たして底を打ったのだろうか。GMの新車販売は、前年同月比51%減だった2月に比べ3月は43%減に。フォード・モーターも同47%減から39%減になるなど、上位5社は前月よりも改善している。
 コメントを引用しておきたい
クライスラーのジム・プレス社長
「事前予想より良く、驚いた。(米市場は)底を打ったのかもしれない」
GMの販売担当幹部
「前向きな兆候。底にたどりつきつつある」
日系メーカー
「改善と言ってもわずか。底打ちを実感するには時間が必要」


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1、3月米新車販売34%減 マイナス幅3カ月ぶり縮小
2009年4月2日9時28分  朝日新聞

3月の米新車販売台数
GM       156000 −42.5
トヨタ     132000 −36.6
フォード    131000 −38.5
クライスラー  101000 −36.9
ホンダ      88000 −33.7
日産 66000 −35.2

 【ニューヨーク=山川一基】米調査会社オートデータが1日発表した3月の米国での新車販売は計約85万8千台で、1営業日当たりの販売台数が前年同月より34%減った。年換算では986万台。3カ月ぶりにマイナス幅が縮小したが、依然として歴史的な低水準が続く。
 1営業日当たりの月間販売台数が前年同月を割るのは07年6月以来22カ月連続。年換算では、26年半ぶりに1千万台を割った1月から3カ月連続で1千万台を下回った。ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの再建計画は年1千万台超が前提だ。
 ただGMの新車販売は、前年同月比51%減だった2月に比べ3月は43%減に。フォード・モーターも同47%減から39%減になるなど、上位5社は前月よりも改善した。
 クライスラーのジム・プレス社長は「事前予想より良く、驚いた。(米市場は)底を打ったのかもしれない」と電話会見で述べた。GMの販売担当幹部も「前向きな兆候。底にたどりつきつつある」。一方で「改善と言ってもわずか。底打ちを実感するには時間が必要」(日系メーカー)との見方も根強い。
 堅調なのが韓国系メーカー。現代自動車は前年同月比1%減にとどまり、起亜自動車は3%増だった。現代は失業者向けの支払い保証プログラムが人気だ。ローンで新車を購入した客が1年以内に失業した場合、追加支払いなしに車を返却できる。
 
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2、3月の米新車販売台数、販売奨励策が奏功し予想上回る
                      2009年4月4日  日経
 シカゴ(ダウ・ジョーンズ)米国の新車販売台数は3月も前年同月比で大幅に減少した。しかしメーカー各社が新たな販売奨励策を打ち出したことが奏功し、販売台数を最後の週に押し上げたため、事前の市場予想は上回った。もっとも、長期にわたって低迷している自動車市場が底を打ったかどうかについて、メーカー幹部の見方は分かれている。
 米調査会社オートデータが1日発表した統計によると、業界全体の新車販売台数は季節調整済み・年率換算(SAAR)で986万台となり、アナリスト予想および2月の912万台を上回った。また、上位5社の乗用車および軽トラックの3月の販売台数は、いずれも前年同月比の減少率が2月と比べ、縮小した。
 業界幹部の中では、ゼネラル・モーターズ(NYSE:GM)の幹部らが先行きについて最も楽観的だった。GMの3月の新車販売台数は前年同月比45%減少したものの、前月比ベースでは改善が見られた。
 GMの販売アナリスト、マイク・ディジョバンニ氏は電話会見で「全体のSAARの数字にやや安定が見られる」と指摘。「明るくなる最初の兆しだ」と述べた。
 トヨタ自動車(NYSE:TM)の幹部からも同様な発言が聞かれた。トヨタの3月の新車販売台数は前年同月比39%の減少となったが、グループ副社長のボブ・カーター氏は電話会見で「市場にやや楽観ムードが戻りつつあるのを目にしている」と述べた。
 一方、フォード・モーター(NYSE:F)の幹部らは、底入れと呼ぶには時期尚早とし、より慎重な姿勢を見せた。その一方で、需要改善が向こう3カ月程度で見られる可能性を経済指標が示唆しているとも指摘した。フォードの3月の新車販売台数は41%減少した。
 自動車メーカー各社によると、新たな販売奨励策を導入したことで3月最終週に販売が活気づいた。これがなければ、3月の数字ははるかに弱かったという。自動車購入サイト、エドマンズ・ドットコムによると、3月は1台当たりの販売奨励金の平均が30.1%増加し、過去最高の3169ドルとなった。
 GMの北米販売担当トップ、マーク・ラネーブ氏は、従来の割引きと販売奨励金の効果は通常よりも小さく、企業を革新へと駆り立てていると強調した。ラネーブ氏は、業界の新車販売台数は通常、2月から3月の間に21%増加すると述べ、実際、今年に入ってから23%の増加になっていると指摘した。何らかの逸脱があれば、それは「従来の季節パターンが途切れ、消費者が完全におびえ上がっていることを意味していただろう」と述べた。
 GMは60日の猶予期間に新たな事業再編計画を策定し労働組合および債権者からの譲歩を確保するか、オバマ政権によって破たんに追いやられるかの選択に直面している。ラネーブ氏は、3月の新車販売台数の数字は、同社が期限までに条件を満たす能力とは何ら関係ないと述べた。



2009年04月05日(日) 3月の米失業率8.5%に悪化、15カ月で510万人失業

報道
1、3月の米失業率8.5%に悪化 雇用、15カ月で510万人減
                      2009年4月3日 毎日
2、3月米雇用者数は‐66.3万人、失業率は8.5%
                    2009年 04月 4日 01:00 JST
3、3、バーナンキ議長、将来のインフレ抑制に配慮 当面は金融安定に全力
                      2009年4月4日 日経

 米国は凄まじい失業者である。2ヵ月を振り返ってみると
1月の米失業率、7.6%に悪化 34年ぶり減少幅  失業者1253万人
2月の米失業率、8.1%に悪化雇用は65万人減   失業者 1335万人
3月の失業率  8.5%に悪化          失業者 1401万人
今後の予想  10.3%             失業者 1698万人

 北朝鮮の人口は推定2500万人であるといわれている。米国で食料品購入券を政府から支給される国民は昨日引用したように3200万人に達している。米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長の講演は注意深く読んでいる。3日、ノースカロライナ州で「FRBのバランスシート(貸借対照表)」との演題で講演した。おびただしい量のドル札をばら撒いてFRBのバランスシートが肥大化している。

 ベン・バーナンキ議長は、10年ほど前「デフレを克服するには、ヘリコプターから現金をばら撒けば良い」と発言して、「ヘリコプター・ベン」と揶揄されたことがある。今回FRBの議長となって、ヘリコプターから現金をばら撒くような金融緩和を行ったが、失業率増加防止には何の役にも立っていない。金融システムが崩壊した国が、金融政策で立ち直ることは考えられない。

 昨日引用した一部を再度引用したい。
「ここまでアメリカ経済がおかしくなってしまった背景にはアメリカ産業の空洞化という問題が深くかかわっている。アウトソーシングという美名の下、アメリカ企業は物を作るという生産現場を次々と海外に移転させてしまった。その結果、アメリカ国内において、働く場所が消滅してしまうという取り返しのつかない状況に陥ってしまったのである 」

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1、3月の米失業率8.5%に悪化 雇用、15カ月で510万人減
                      2009年4月3日 毎日
【ワシントン=米山雄介】米労働省が3日発表した3月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率(軍人を除く)は前月より0.4ポイント高い8.5%となり、1983年11月以来、25年4カ月ぶりの水準に悪化した。景気動向を反映する非農業部門の雇用者数は前月から66万3000人減少。昨年1月からの合計で約510万人に達した。予測の範囲内と市場は冷静に受け止めたが、戦後最悪ペースでの雇用悪化は消費の下押し要因になる。
 雇用者数の減少は15カ月連続。今年1月も65万5000人減から74万1000人減へ大幅に下方修正され、1949年10月(83万4000人減)以来、約59年ぶりの大幅な落ち込みとなった。
 2007年12月以降の今回の景気後退局面での雇用者数の減少は、約3分の2が信用収縮が深刻化した昨年11月以降の5カ月間に集中。毎月60万―70万人規模という戦後最悪のペースで雇用が失われる状況が続いている。(02:08)
関連記事
2月の米失業率、8.1%に悪化 25年ぶり水準、雇用は65万人減(3/6)
1月の米失業率、7.6%に悪化 34年ぶり減少幅
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2、3月米雇用者数は‐66.3万人、失業率は8.5%
2009年 04月 4日 01:00 JST
 [ワシントン 3日 ロイター] 米労働省が発表した3月の雇用統計は、失業率が8.5%に上昇し1983年以来の高水準を記録した。
 非農業部門の雇用者数は66万3000人減少したほか、平均週間労働時間は過去最低となった。
 ロイターが集計したアナリスト予想は、雇用者数が65万人減、失業率が8.5%だった。 
 また、1月の雇用者数は74万1000人減に修正され、1949年10月以来の大幅な減少となった。2月は変わらず。
 ディシジョン・エコノミクスのシニアエコノミスト、ピエール・エリス氏は「米経済が底を打ちつつあるという見方と矛盾していない。雇用が急に盛り返すことはなく、明らかに力強さを示す兆候もない。ただ、少なくとも悪化が加速している状況ではない」と述べた。
 同省によると、リセッション(景気後退)が始まった2007年12月以降、米失業者数は510万人に達し、このうち約3分の2が過去5カ月に集中している。
 3月の雇用者数はほぼ全業種で減少した。製造業は16万1000人減、建設は12万6000人減、サービスは35万8000人減。一方、教育と医療関連は増加した。
 労働統計局のキース・ホール局長は声明で「3月には長期失業者数が26万5000人増の320万人に達した。失業者の約4人に1人が少なくとも27週間失業している。これは83年半ば以来の高水準だ」と述べた。
 失業中のパートタイム勤務者と求職をあきらめた人の割合は15.6%と、2月の14.8%から上昇し過去最高に達した。
 3月の平均週間労働時間は33.2時間と過去最低水準を記録した。  
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3、バーナンキ議長、将来のインフレ抑制に配慮 当面は金融安定に全力
                      2009年4月4日 日経
 【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は3日、ノースカロライナ州で「FRBのバランスシート(貸借対照表)」との演題で講演した。議長は大量の資金供給で膨らんだFRBのバランスシートについて「注意深く監視しなければならない」と指摘。当面は金融安定に全力を挙げるが、将来のインフレ抑制にも配慮する考えを強調した。
 FRBは金融緩和策として市場から住宅ローン担保証券(MBS)など証券化商品を大量に買い上げ、市場に資金を供給している。中央銀行が信用リスクを抱える形になるほか、資金吸収が難しいとの見方から、市場の一部ではドル安やインフレ要因になるとの懸念が出ている。
 議長は「バランスシートを使うことで、FRBやほかの中央銀行は金融緩和の新しい手段を発展させている」と説明。「雇用増と物価安定の両立を目指す金融政策本来の使命を束縛するものではない」と述べ、政府からの独立性も強調した。(02:32)



2009年04月04日(土) アメリカ社会をどう認識するか。

資 料
1、 オバマ政権早くも危険信号か
2009年04月02日  浜田和幸
2、浜田和幸氏のプロフィール

 米告発金融危機情報の記述は今回で237回目である。
アメリカ社会(ドル社会)をどう認識するか・・・これは実に重要なテーマである。主要20カ国・地域(G20)による金融サミット(緊急首脳会議)の共同声明が、「保護貿易主義の台頭を断固阻止する」との姿勢を打ち出したが、貿易の収縮が止まる気配がない。237回に記述で感じることは、米国発の金融危機が米国の屋台骨を揺るがす事態になっていることである。

 4月1日に「米国経営者の強欲の思考」
http://ameblo.jp/syougai3/entry-10234160110.html
の書き込みでンチャさんから「オバマ政権に早くも危険信号が・・・ 」
http://moneyzine.jp/article/detail/139936
のリポートの提示があった。

 この記述は「金融危機情報」の提示が主体のリポートである。今回のリポートの一部を引用するが、どう受け止めるかは各自の自由なのである。ここでわたしの見解の一部を記述させていただく。

「金融危機と今後の見通しについて、もっともらしい見解を述べるその道の専門家がいる。この言葉を頼りに行動している人もいる。言葉ほど無責任なものはない。その人の自信を持った見解なら、書面でメッセージとして発信すべきである。よって、この金融危機情報では、言葉の見解は一切引用しない方針である。」

 浜田和幸氏の「オバマ政権早くも危険信号か」のほんの一部を引用したい。
全編はエンピツに収録。
1、 アメリカの主要企業は2008年第4四半期に20兆円近い赤字に飲み込まれた。主要企業の最終赤字は1936年以降で初めてのこと。2009年第1四半期においても大幅な減益が避けられず、収益力の悪化が深刻な社会不安を引き起こしている。
2、雇用を失うアメリカ人は毎月60万人を超え、企業も家計も赤字状態となってしまった。フードスタンプと呼ばれる食料品購入券を政府から支給される国民は3200万人に達する。
3、実は、赤字転落の憂き目を見ているのはこうした大企業に限らない。2007年11月の時点で、アメリカ政府の抱える累積赤字は54兆ドル(約5300兆円)に達し、米会計検査院は「返済の可能性は限りなくゼロに近い」と財政破綻宣言を行っていた。
4、すでに国家予算の半分が借金の返済(国債の償還)に充てられているアメリカ。これではデフォルトにいつ陥っても不思議ではない。日本、中国、ロシアなどがアメリカのドルや赤字国債を買い支えているお陰で、かろうじて生き延びているというのが超大国の実態である。
5、ここまでアメリカ経済がおかしくなってしまった背景にはアメリカ産業の空洞化という問題が深くかかわっている。アウトソーシングという美名の下、アメリカ企業は物を作るという生産現場を次々と海外に移転させてしまった。その結果、アメリカ国内において、働く場所が消滅してしまうという取り返しのつかない状況に陥ってしまったのである。


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オバマ政権早くも危険信号か
ロシアが描く「アメリカ分裂」のシナリオ
公開:2009年04月02日  浜田和幸

 深刻な危機にあるアメリカ経済を改善するため、オバマ大統領は「グリーン・ニューディール政策」を掲げ、新たな公共事業を通じ最大で500万人規模の雇用を創出するというが、失業者はすでに1500万人に近づこうとしている。社会不安も高まる一方だ。夢のある政策ではあるが、達成は現実にはかなりの困難が予想されている。

オバマ政権に早くも危険信号が・・・
 金融危機と景気の急激な冷え込みにより、アメリカ経済は史上最大のピンチを迎えている。就任100日を待たずして、オバマ大統領にとっては早くも危険信号がともり始めたといっても過言ではない。
 世界最大の保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の2008年の最終損失はほぼ10兆円に達し、それ以前の22年間に生み出した最終利益の合計を上回ってしまった。保険会社でありながら、無謀な投機ビジネスに走ったせいで、長年かけて積み重ねてきた利益が一瞬にして帳消しになってしまい、グループ解体へと繋がったわけである。
 公的資金の注入を受け入れながら幹部社員には破格のボーナスを支給していたことが判明。AIGの経営陣のみならず、そうした杜撰な資金提供にゴーサインを出したガイトナー財務長官や救済計画を承認したオバマ大統領にまで批判の声が上がっている。

 アメリカの主要企業は2008年第4四半期に20兆円近い赤字に飲み込まれた。主要企業の最終赤字は1936年以降で初めてのこと。2009年第1四半期においても大幅な減益が避けられず、収益力の悪化が深刻な社会不安を引き起こしている。
 AIGだけではなく、最大の銀行シティーグループをはじめ、アルミのアルコア、航空機メーカーのボーイング、石油のコノコフィリップス、自動車のGM、オフィス用品のオフィス・デポなど、あらゆる業種でリーディング・カンパニーの業績悪化が相次ぐ。その結果、雇用を失うアメリカ人は毎月60万人を超え、企業も家計も赤字状態となってしまった。フードスタンプと呼ばれる食料品購入券を政府から支給される国民は3200万人に達する。

デフォルトもありえる「超大国の実態」
 実は、赤字転落の憂き目を見ているのはこうした大企業に限らない。2007年11月の時点で、アメリカ政府の抱える累積赤字は54兆ドル(約5300兆円)に達し、米会計検査院は「返済の可能性は限りなくゼロに近い」と財政破綻宣言を行っていた。
 この報告を当時のブッシュ政権は一切無視したものであるが、その後の金融恐慌で事態はさらに悪化を遂げ、自動車のビッグスリーや大手金融機関の救済で財政支出は雪だるま式に増大。2009年1月には累積赤字は65.5兆ドルにまで膨れ上がった。これは約6400兆円という天文学的な数字であり、もはやどんなに逆立ちしても返済は不可能と見られる。
 すでに国家予算の半分が借金の返済(国債の償還)に充てられているアメリカ。これではデフォルトにいつ陥っても不思議ではない。日本、中国、ロシアなどがアメリカのドルや赤字国債を買い支えているお陰で、かろうじて生き延びているというのが超大国の実態である。こうした事態を評してロシアのプーチン首相やブレーンたちは「アメリカは崩壊の瀬戸際に立っている。来年まで持たないだろう。おそらく2009年中にアメリカは6つの自治共和国に分裂する。アラスカ州はロシアに復帰することになる」とまで言い始めた。
 いくらアメリカが借金まみれとはいえ、ロシアの要人が予測するような国家分裂には到らないと思われる。しかし、それに近い深刻な危機に立ち至っていることは否定のしようながない。ホワイトハウスの国家安全保障会議でも「経済危機が深まれば、国内で暴動が多発し、治安維持のために国軍を投入するような事態もありうる」といった議論がなされているという。
 ここまでアメリカ経済がおかしくなってしまった背景にはアメリカ産業の空洞化という問題が深くかかわっている。アウトソーシングという美名の下、アメリカ企業は物を作るという生産現場を次々と海外に移転させてしまった。その結果、アメリカ国内において、働く場所が消滅してしまうという取り返しのつかない状況に陥ってしまったのである。

「一石三鳥」ともいえる解決策
 事態を改善するため、オバマ大統領は「グリーン・ニューディール政策」を掲げ、新たな公共事業を通じ最大で500万人規模の雇用を創出するというが、失業者はすでに1500万人に近づこうとしている。

 社会不安も高まる一方だ。いくら公的資金を注入し、環境にやさしい産業を創出すると言っても、時間差を考えれば、焼け石に水と言わざるを得ない。しかも、政府が検討している予算は1500億ドルに過ぎない。これはAIG1社を救済する名目でオバマ政権が用意した金額と変わらない。
 もともとこの環境重視政策の発端は2008年7月にイギリスのグリーン・ニューディール・グループがまとめた提言にある。いわゆる成長至上主義を前提とする強欲資本主義を改め、経済のみならず自然環境にも配慮した持続可能な経済発展のあり方を模索しようとするものであった。
 そのレポートの中心に据えられた時代認識は3つの危機を前提としていた。
 第一が当面の金融危機。第二が地球規模の気象変動という未曽有の環境問題。そして第三が価格の乱高下が著しいエネルギー問題。これら3つの危機に対して「一石三鳥」ともいえる解決策を探り出そうとするものであった。言い換えれば、代替エネルギーの開発による新たな市場の創出と雇用の拡大を目指す戦略である。

オバマ政権は、これこそアメリカ経済の復活にとって欠かせない戦略と見なしたようである。ほぼ同じ時期、国際エネルギー機関(IEA)も気象変動やエネルギー危機に対処するのみならず、世界経済を活性化するためにも今後2050年までに温室効果ガスを50%削減するとの目標を掲げ、45兆ドルという空前の投資を伴うグローバル革命を提唱したものである。
 イギリスのブラウン首相やフランスのサルコジ大統領もこの提案を積極的に支持した。その影響もあり、2008年10月には、国連において 「グリーン経済イニシアチブ」 と題するレポートがまとめられた。パンギムン国連事務総長もこのレポートに沿う形でオバマ新大統領のグリーン・ニューディール政策に期待する声明を発表。ドイツのシュタインマイヤー外相もオバマ政権の環境重視策を積極的に後押しする姿勢を見せている。まさに「グローバル・グリーン・ディール」と呼ばれるゆえんであろう。
オバマ流「グローバル・グリーン・ディール」はアメリカ再生の切り札となるか
 このように世界が直面する3つの危機が互いに影響し合いながら深刻度を深める中、その回避策としてビジネスのグリーン化に対する期待が、オバマ大統領という新たな救世主の登場というタイミングに一致する形で高まってきたと言えよう。
 とはいえ、オバマ氏の掲げる政策にはまだ透明性や実現性に欠ける点が多々ある。これまでに打ち出された政策の中味を見ると、「2050年までに温室効果ガスを8割削減する。再生可能エネルギーの開発に1500億ドルを投資する。結果的に500万人のグリーン雇用を生み出す」といった具合で、一見すると、IEAや国連の提案より大胆なものに思われる。
 確かに、夢のある政策ではあるが、金融危機の影響下でこうしたオバマ流の公約がどこまで達成できるものか怪しい限りである。太陽光、風力発電、バイオ燃料など、代替エネルギーの開発に資金を投入しようとするベンチャーキャピタルはいずれも青息吐息の状況でかつての力強さを失っている。それどころか当初の計画を無期延期したり、企業自体が破綻するようなケースも相次ぐ。こうした状況の下、「大盤振る舞い」とも「社会主義的」とも批判される環境エネルギー政策が成功する可能性は極めて低いと見なさざるを得ない。
 スタンフォード大学の土木環境工学科のステファン・シュナイダー教授といえば、国立大気研究センターの研究員として気候変動に関する調査研究で実績を上げ、この分野における国際的権威。同教授いわく 「オバマ政権はブッシュ政権と比べれば、環境政策においてはるかに進んだ発想を持っていることは否定できない。しかし、我々が望んでいるような成果をもたらすかどうか多いに疑問の余地がある。なぜならあまりに多くの障害が目の前に立ちはだかっているからだ」。
肝心の国庫は空っぽ状態
 では、具体的な障害として何があるのか。

まず金融危機の影響で企業による資金調達の道が閉ざされてしまったこと。また、連邦議会の議員たちの間でもオバマ大統領のグリーン政策に関しては慎重、あるいは反対の意見の持ち主が数多く控えていること。石炭や石油業界の既得権にしがみつこうとする議員もいれば、SUVのような大型車ばかりを製造し環境対応車の開発を怠ってきた自動車メーカーの救済擁護に血眼になる議員もいるからである。
 オバマ大統領が自らの政治生命をかけ実現しようとする環境技術の開発には膨大な予算が必要とされるが、これらの議員たちは自らの関係する業界や企業の救出にのみ関心を寄せている。
 アメリカにもGEやファースト・ソーラーなど風力発電や太陽光発電の技術開発に取り組んでいる企業は数多く存在する。とは言え、そうした代替エネルギーを工場や家庭に送り届けるためにはスマートグリッドと呼ばれる次世代電力網の整備が不可欠とされる。そのようなインフラ整備には莫大な資金が必要とされるため個別の環境エネルギー企業で太刀打ちできるものではない。国家レベルの公的資金の注入が欠かせないだろう。
 しかし、肝心の国庫は空っぽ状態である。さらなる赤字国債は日本を除けば引き受け手が容易に見つかりそうにない。新大統領はこうした問題の根の深さをどこまで理解しているのだろうか。エネルギー長官に指名されたノーベル物理学賞受賞者であるスティーブン・チュー博士らのアドバイスを得てオバマ大統領もスマートグリッドのインフラ整備に着手することになりそうだ。
オバマ政策に望みを託すヘッジファンド
 この点に注目し、新たな投資のチャンス到来と虎視眈々と身構えているのがヘッジファンド業界である。今回の金融危機の影響を受け、多くのヘッジファンドは倒産の波に飲み込まれた。とはいえ、生き残ったヘッジファンドは「廃墟からの復活」をスローガンに掲げ、オバマ大統領が進める「グローバル・グリーン・ディール」に望みを託している。この3月から4月にかけては、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロンドンなどで「ヘッジファンドの再編と再生」をテーマにしたセミナーが目白押し。
 どのセミナーにも共通しているのが「いかにしてオバマのグリーン・ニューディールから儲けるか」といったアプローチである。具体的には、スマートグリッドの技術で注目を集めるABBや世界最大の風力タービンメーカーであるベスタ・ウィンド・システムズ、ビルのエネルギー管理で実績を誇るジョンソン・コントロールズなど、代替エネルギーやインフラ関連株への期待が高まっている。
 とはいえ、実際にこうしたインフラが効力を発揮するには少なくとも5年から10年の時間が必要とされる。そこまでアメリカの労働者や企業の体力が持つのだろうか。大いに懸念されるところである。もし、それができれば、アメリカは大量消費経済のスリム化に成功し、新たな環境重視社会に移行するチャンスを手にするだろう。失敗すれば、ロシアが描く「アメリカ分裂」というシナリオが現実のものになりかねない。どちらに進むにせよ、2009年が正念場であることは間違いない。


2、 浜田和幸のプロフィール
http://www.hamadakazuyuki.com/profile/index.html

1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号を修得。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所の代表。

専門は「技術と社会の未来予測」「国家と個人の安全保障」「長寿企業の戦略経営」。米ワシントン・ロータリー・クラブ米日友好委員長、発明王エジソン生誕150周年祝賀事業実行委員長、日本バイオベンチャー推進協会理事、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、特許庁工業所有権副読本選定普及委員、鳥取県公園都市推進事業委員などを歴任。


主な著書:ベストセラーとなった「ヘッジファンド」(文春新書)をはじめ、「知的未来学入門」(新潮選書)、「快人エジソン」(日本経済新聞社)、「たかられる大国・日本」(祥伝社)、「サイバーテロ」(PHP)、「ブッシュの終わりなき世界戦争」(講談社)、「通貨バトルロワイアル」(集英社)、「チャイナ・コントロール」(祥伝社)、「ウォーター・マネー」(光文社)、「エジソンの言葉」(大和書房)、「イラク戦争:日本の分け前」(光文社)、「悪魔の情報戦争」(ビジネス社)、「黒いホワイトハウス」(祥伝社)、「ハゲタカが嗤った日:リップルウッド=新生銀行の隠された真実」(集英社インターナショナル)など多数。最新刊は、「たかられる大国・日本」(祥伝社・黄金文庫)、「胡錦濤の反日行動計画」(祥伝社)。また、毎週月曜日の午前9時10分から「山陰放送(BSS)」にて「浜田和幸の世界情報探検隊」、午後2時40分から「ニッポン放送・テリー伊藤のってけラジオ」にて「浜田和幸の世界びっくりニュース」をOA。毎週火曜日午前7時からは、「文化放送・蟹瀬誠一ネクスト」のレギュラー・コメンテーターとして最新ニュースの裏側を解説しています。









2009年04月03日(金) 2009年:日本の成長率6.6%減、主要国で最悪


報道と資料

1、日本の経済成長、今年は6.6%減 OECD見通し
2009年3月31日22時32分 朝日新聞
2、米国の失業者1250万人〈失業率7.6%〉
               2009年2月7日 金融危機関連情報
3、失業率4.4% 失業者299万人
                    2009年4月2日 日々の映像から

 経済協力開発機構(OECD)は31日、日米欧など主要国の経済成長見通しを発表した。 OECDは発表文で、日本について「輸出市場の縮小が内需刺激を帳消しにしてしまう」として、デフレ傾向が強まる恐れを指摘している。主要国の09年の実質経済成長率をメモ。
・米国   マイナス 4.0%
・日本   マイナス 6.6%
・ユーロ圏 マイナス 4.1%

OECD加盟各国全体の失業率は以下の予想である。
・米国    10.3% ・・・・2月時点で7.6%1253万人
・日本が   5.6%・・・・・現在4.4%
・ユーロ圏 11.7 %、

 米国の失業率7.6%で1253人の失業者である。失業率が10.3%になるということは、単純計算で1698万人の失業者となる。すでに、失業者は1500万人に近づいているという。
 
 日本の失業率資料4の通り4.4%で失業者は299万人である。失業率が5.6%になるときは、単純計算で380万人になる。日本の場合は、企業内失業者を多く抱える構図で、企業収益の減少・税収減など多くの問題が惹起する。

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1、日本の経済成長、今年は6.6%減 OECD見通し
2009年3月31日22時32分 朝日新聞
 【ロンドン=有田哲文】経済協力開発機構(OECD)は31日、日米欧など主要国の経済成長見通しを発表した。09年の日本の実質経済成長率はマイナス6.6%とし、米国のマイナス4.0%、ユーロ圏のマイナス4.1%を大きく下回るとの見方を示した。
 OECDは発表文で、日本について「輸出市場の縮小が内需刺激を帳消しにしてしまう」として、デフレ傾向が強まる恐れを指摘した。10年については年後半に内需が回復して落ち込みは和らぎ、マイナス0.5%になるとした。会見したチーフエコノミストのシュミット・ヘッベル氏は「日本の落ち込みは、テレビのスクリーンや自動車、生産設備などの米国からの注文が途絶えたことで説明できる」と語った。
 米国については09年は悪化するものの、10年には景気刺激策などの効果で景気後退から脱却し始める可能性を示し、ゼロ成長見通しとした。ユーロ圏については、回復の兆しは10年半ばまで待つ必要があるとした。
 OECD加盟各国全体の失業率については、09年が8.4%で、10年は9.9%まで悪化するとした。地域別では10年にユーロ圏が11.7%、米国が10.3%、日本が5.6%になると予想した。

 デフレ懸念を明確に指摘した米国の消費者物価は4〜6月期に0・6%、7〜9月期に1・8%それぞれ下落する見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和策を続けるべきだと指摘した。
 失業率は、先進7か国のうち日本と英国を除く5か国で10年に10%を突破、多くの国で90年代初頭以来の雇用悪化に直面すると予想している。OECDは、不良資産の処理を進め、必要があれば公的資金による追加的な資本注入や国有化で金融機能の回復を急ぐよう促した。金融緩和や財政出動の継続も必要と指摘した。
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2、米国の失業者1250万人〈失業率7.6%〉
                2009年2月7日金融危機関連情報から
報道と資料
1、12月の米失業率7.2% 失業者累計 1152万人   
                     2009年1月12日危険危機情報
2、1月米失業率、7.6%に上昇 雇用59万8000人減、34年ぶり落ち込み
                        2009年2月6日  日経3、米雇用減、前月比60万人に迫る 失業率7.6%に悪化
                     2009年2月6日朝日新聞
4、米大統領「景気後退、数年に及ぶ恐れ」 強い危機感表明
                     2009年2月6日 日経
 雇用者数の減少は報道2の通り昨年1月からの合計で約360万人に達している。
2007年12月末の失業者          893万人
2008年1月〜2009年1月までの失業者   360万人
                     1253万人 ・・失業率7.6%
 
 12月は57万7000人が失業、1月が59万8000人である。昨年11月以降、3カ月連続で毎月約60万人のペースで雇用が失われている。今後に注目しなければならない。なぜなら、6ヵ月後は日本も後を追うように、類似した雇用環境になることを覚悟しなければならないからである。
 常に米国社会に何が起こっているかという視点でアンテナを張っておく必要がある。過日のNHKの金融危機の特集で、自動車ローンが払えなくて、1年で180万台引き上げられることが報道されていた。住宅の差し押さえも100万件を超えている。住宅バブルの崩壊・金融危機・消費バブルの崩壊を、70兆円余りの法律で止めることは出来ないと思う。
http://www.enpitu.ne.jp/usr3/30290/diary.html
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3、 失業率4.4% 失業者299万人
2009年4月2日 日々の映像から
報道

1、完全失業率:0.3ポイント悪化し4.4% 「勤め先都合」急増−−2月
                     2009年3月31日  毎日
2、2月の有効求人倍率0.59倍に低下 失業率4.4%に悪化
2009/3/31 J-CAST ニュース

完全失業者は前年同月比33万人増の299万人で、リストラなど「勤め先都合」によるものが94万人を占めた。前年同月より33万人増えており、過去最大の増え方となっている。労働環境に関する情報を整理したい。

1、失業率     4.4%  前月比 0.3ポイント増
2、完全失業者  299万人 前年同月比33万人増
3、有効求人倍率 0.59倍  6年ぶりの低水準
4、新規求人倍率 0.77倍  過去最低タイ
5、労働力人口男性 3833万人   32万人減
6、労働力人口女性 2732万人   38万人増

上記5・6のデータは、家計を助けるため、主婦層が職探しをしていることを示している。
http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=22831&pg=20090402




2009年04月02日(木) CIA極秘ファイルの破壊力

マイミクの時の料理人さんから霍見芳浩氏のリポートを読むよう進められた。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1124322778&owner_id=670952
以下は「日本人」という題の日記の結びである。米国の危機は日本の危機なのである。詳しくは以下をご参照ください。
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米国の「4代目ポチ」、麻生首相
CIA極秘ファイルの破壊力

                              霍見芳浩

大統領選間近ということもあるだろうが、米国では「麻生政権誕生」は無視されている。どうせ短期政権だろうという予測と、「ブッシュのポチ」四代目という見立てだ。

 米国民の関心から日本が消えて久しい。一一月四日の大統領選挙へ向けて、オバマ候補(民主党)とマケイン候補(共和党)は、「私こそ、米国の内外の難問を解く大統領にふさわしい」との売り込みに懸命である。この両候補の各地での演説に「中国の脅威」はしばしば登場するが、「日本」は完全に無視されている。米国メディアも、日本の自民党が福田康夫に替えて麻生太郎を新首相に据えたことなどはニュース価値なしと構えている。

 それでも、オバマとマケインの両陣営の中には、来年一月の大統領就任を手中にするのを予定して、米国の対東アジア政策の一つとして、これまでのブッシュの対日姿勢を続けるべきかを考えている者もいる。彼らにとっては、九月一日の福田辞任表明も別に驚きでもなかった。麻生が公明党のボスと組んで「福田おろし」に暗躍していたのを知っていたからだ。小泉、安倍、福田に続く四代目の「ブッシュのポチ」の幼見性首相の誕生だと見抜いている。麻生の当て馬対立候補として、自民党総裁選挙で「五人六脚」の空疎な討論ごっこに出演した他の三大男と一大女の誰が首相になっても、米国追従の「ポチぶり」には変わりなしとも見抜かれていた。日本の悲劇は続く。

 日本の商業メディアから社会の木鐸(権力腐敗の監視と国民啓蒙)としてのジャーナリズムが消えている。このために、明日の日本の姿は今の米国の惨状だと気づいている者は少ない。麻生にも総裁選挙に出た他の四人にもこんな危機感はなかったし、まして、日本をどうするのかのビジョンも方策もなく、「改革」の美名で強行された、小泉の丸投げ改悪の総決算の必要を指摘する者はいなかった。自公与党政治の堕落と腐敗、政官財癒着、各界で無責任と我欲の横行、所得と雇用格差拡大による経済衰退、ワーキングプア急増による社会分裂、教育崩壊、つまり日本破綻は、小泉純一郎首相(二〇〇一−○六年)がブッシュ米大統領に言いつけられるままに強行した日本の対米追従が加速したのである。日本病はブッシュ病の伝染なのである。

米国の麻生極秘ファイル

 次期大統領がオバマ、マケインのどちらになっても、新大統領は国務省とCIAがすでに用意している「麻生太郎極秘ファイル」で、麻生日本をどのように料理したらよいかを決める。極秘ファイルだから、もちろん、私などの目には触れない。しかし、これまでに判明していることがある。米国政府がとくに、一九五一年のサンフランシスコ講和条約直前にA級戦犯を解かれた岸信介の要求を入れて、岸の政界復帰のためにCIAの対外工作機密費から毎年、資金と政治的援助を開始して以来、自民党の代々の首相や派閥のボスたちは、「米国の日本探偵(エージェント)」として、CIAの機密費を受け取ってきた。このために国務省とCIAは協力して、自民党の首相や派閥ボスたちについて、詳細な「人物と信用調査ファイル」を作成している。
 
 一年一月、ブッシュは小泉より一足先に米大統領になり、四月の日本の自民党総裁選挙では裏から小泉支持に回った。「ブッシュのポチ」としてしつけやすいと見抜いたからだった。私の開くところでは(ブッシュにごく近い筋から)、小泉ファイルを土台にした心理分析で、ブッシュと似た性格で、おだてと脅しの使い分けで自由に操作できるとの人物八卦(はっけ)だった。万一の場合、脅しの種としていくつかのメニューがあったとされる。私がCIA筋から聞いた話では、小泉が慶應義塾大学四年生の春に起こしたデートについての不行跡、そしてロンドンヘ逃避(留学名目)した事情がある。

 一年四月、小泉首相誕生で、小泉・竹中平蔵・奥田碩(ひろし)(経団連会長)のトリオによるブッシュの振り付けどおりの日本の大改悪が始まった。何が何でも民営化と政府規制撤廃だとして、「新自由主義」だの「市場主義」だのというエセ学理で経済オンチのメディアや人や御用学者を操り、「所得格差は経済成長をもたらす」だの「企業は短期の株価極大で株主に酬いることに専念しろ」だのと日本経済のマネー・ゲームカジノ化を強行した。ブッシュの狙いは日本の金融資産、企業資産、そして科学技術資産の買い叩きと自衛隊の米国傭兵化、つまりブッシュ帝国主義の海外膨張に日本の人、もの、金を使うことだった。

 米企業による日本企業の買い叩きと解体を容易にするために、小泉・竹中・奥田トリオは日米企業株式の交換制度を合法化して、これに法人税上の優遇措置までつけた。そして、九〇年代半ばから進行していた労慟基準法のなし崩し改悪を一気に推し進めて、偽装請負、もっぱら派遣、フリーターなどのワーキングプアの増大を作り出した。この行き着くところは今のブッシュ米国の惨状である。製造業の空洞化、貧困の増大、金権主義とマネー・ゲームの跋扈(ばっこ)。そして、ついに金融崩壊から大不況。

 麻生太郎の極秘ファイルには、これまでの政治歴と腹黒い寝技が記されているのは間違いない。そして、秋葉原オタク好みの本人の浅慮と無教養。これは歴代の自民党首相の特徴だから別に驚くに値しない。しかし、本人が無防備の瞬間によく、「私はマンガしか読みませんから」と認めるとの風聞は真実に根ざしている。

 80年代、レーガン共和党政権によるいわゆる日本叩きが激しく、日本の中曽根首相以下自民党とこれに連なる霞ヶ関官僚の対米外交オンチと無策に呆れて、私は訪日の析に宮沢首相(当時)に近かった麻生を訪ねたことがあった。日本の対米外交に活を入れたかったからだった。愛想よく私を迎えてくれたが、世界のこと、米国のこと、そして日米関係と日本の将来についてできるだけ具体的に説明した。だが説明すればするほどすべてが素通りした。「英国留学」ということだったので英文資料も持参していたが、見せようとすると、「私は、英国では遊んでばかりで、何も勉強しなかった」と正直な告白だった。ご謙遜かと疑ったが、そうではないのはすぐに明らかになった。麻生は苦笑いして、「先生、私はマンガしか見ませんから」と話してくれて、傍らに積んであったマンガ集と雑誌を指さしてくれた。目を転じると、年頃の子どもが家にいたらとても持って帰れないエロマンガだった。この頭では、後年、「南京大虐殺は中国の握造」だとか「帝国日本の軍隊には『従軍慰安婦』はいなかった」などと恥も外聞もない小泉・安倍首相に同調していたのもうなずけた。

 もちろん、CIAは英国のMI6諜報機関と協力して麻生太郎の英国留学中の言動に加えて、太平洋戦争中の麻生炭坑での英、米、加、オーストラリア兵捕虜や中国人・朝鮮人連行の強制虐待労働の実態も調べ上げている。また、麻生自身がアフリカのザンビアのダイヤモンド採掘の監督人として麻生鉱山から一年半派遣されており、この間に不法ダイヤモンドをめぐるザンビア人虐待の血なまぐさい話もある。

 麻生首相誕生にはとくに英国とオーストラリアの在郷軍人団体がすでに批判的な動きを示している。日本の前途は暗い。

今の米国にするな

 日本再建には、小泉、安倍、福田、そして麻生と続く米国追従の清算が必要である。これには世界が日本を見直すきっかけを日本人の手で作り出さねばならない。このきっかけとは自民党の中でのたらい回しの政権交代ではなく、有権者の手で、民主党に政権を渡して、日本破綻の清算を託すことである。

 民主党はアラビア海での米艦船への給油停止を求めており、内政でも派遣労働規制や米国発の世界金融市場破綻の日本への影響を小さくするためにも、日銀の財務省からの独立に固執している。日銀の貨幣政策の財務省からの独立にはまず、総裁と副総裁人事で財務省の差し金を拒否したことは、米国の知日家でオバマ候補に近い者は評価している。日米ともに真の政権交代が、両国のためにも有益なのである。   (敬称略)


つるみよしひろ・ニューヨーク市立大学大学院センターのビジネス学部教授,国際政治学者









2009年04月01日(水) 米国経営者の狂った思考

報 道
1、GM、労組に強硬姿勢も ワゴナー氏に高額退職手当
                   2009年3月31日 日経
2、GM前会長、年金20億円 支給は社内で検討中
                 2009年3月31日11時3分 朝日新聞
3、第11回「経営者はそれでも強欲か」
       2009年3月27日  MIDCグループ代表  酒井雷太氏

GM、ワゴナー氏に20億円の高額退職手当(年金)の支給が検討されているという。米国の狂った経営者の実態をMIDCグループ代表酒井雷太氏のリポートの一部を引用して参考としたい。個人の利益を優先するような米国経営者の思考が現在の破局的な危機を生み出したと思う。

1、オバマ(Barack Hussein Obama)新大統領の就任演説と、この数カ月間に世界で起きた出来事はグローバル時代における企業、社会、国家、さらにその基礎である個人、生活、倫理などのテーマについて素直に考え直す機会を与えてくれた。

2、新大統領は自らの信念を世界に問いかける就任演説で、米国民の一部を「greed and irresponsibility」と表現するほど、米国民が持つ“お金を稼ぐことは良いことだ”への妄信が、資本市場を制御できないまでに膨張し、その結果、世界を巻き込むこの惨状を生み出したのだと結論付けたように思う。

3、米国を詐欺まがいの金融商品サブプライム・ローン(Subprime loan)を、銀行や証券、格付け会社が一体となって仕立て上げた上に、自国はもとより世界中の代理店に高額手数料を通じて売りまくり、今の不況の最大原因を作りだしたと考えている。乱暴な言い方だが、世界経済を動かす米国金融界の最高経営責任者たちが、法律に直接触れなければどのようなビジネスで利益を得ても何らの問題もなく、長期よりも短期に利益を上げ、高額報酬を得ることは良いことだと考えてきたビジネス哲学に、いまさらながら世界の人々は驚きを禁じえない。

4、個人の才能を自由に開花させることを国家の成長の原動力としてきた企業国家米国は、経済の要である金融界のみならず広範囲の産業界においても結果的には個人の利益を優先し、それを正当化する風潮に深く汚染された人々によって牛耳られ、社会人、経営者としての規律と責任を無視してきたことを我々は知った。問題はこの「強欲で無責任な経営者」を生み出さない教育・管理システム、あるいは「謙虚で責任ある経営者」を育てるシステムを我々が作り出せるか否かにかかっている。本当にチェンジが必要な時を迎えている。


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1、GM、労組に強硬姿勢も ワゴナー氏に高額退職手当
                     2009年3月31日   日経

 【デトロイト=小高航】米政府から再建計画の見直しを求められた自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは30日、経営再建へ向けた動きを本格化した。GMはヘンダーソン新最高経営責任者(CEO)体制が始動、「破産」の可能性もちらつかせながら労働組合や債権者との交渉を急ぐ構え。クライスラーは伊フィアットとの提携計画を修正し、フィアットの出資比率引き下げに合意したと報じられた。政府から与えられた猶予時間は少なく、両社の経営改革は期限までの秒読みが始まった。
 GMでは30日、政府により事実上更迭されたワゴナー氏の後任としてヘンダーソン氏がCEOに正式に就任した。ヘンダーソン氏は同日発表した声明で「政府の厳しい要求を満たすため全力を尽くし、GM再生に必要な本質的な改革をなし遂げる」と強調した。
 AP通信はワゴナー氏が受け取る年金など退職関連手当が2300万ドルに上ると伝えた。GMが公的資金による支援を受けているため高級幹部向けの退職慰労金は受け取らないが、年金には影響はないという。

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2、GM前会長、年金20億円 支給は社内で検討中
2009年3月31日11時3分 朝日新聞
 【ニューヨーク=丸石伸一】30日付で会長兼最高経営責任者(CEO)を辞任した米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のリチャード・ワゴナー氏が、退職後に支給される年金が08年末時点で計約2020万ドル(約20億円)にのぼることが同日までに分かった。
 GMの広報担当者によると、「辞任した直後のため、現時点では支払われるかどうか分からない」という。ワゴナー氏は米政府に資金支援を要請する際、年俸を1ドルまで減額していた。一部の米メディアによると、GM内で支給すべきかどうか検討中という。年金の情報はGMが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかにした。

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3、第11回「経営者はそれでも強欲か」
2009年3月27日  MIDCグループ代表  酒井雷太氏
米国時間2009年1月20日に行われたバラク・フセイン・オバマ(Barack Hussein Obama)新大統領の就任演説と、この数カ月間に世界で起きた出来事はグローバル時代における企業、社会、国家、さらにその基礎である個人、生活、倫理などのテーマについて素直に考え直す機会を与えてくれた。
「富める者だけを優遇する国は長く繁栄できない」
 今回のオバマ大統領の演説は、我々日本人に対し、翻訳だけではなく英語でも内容を確認したいと思わせた。事実、オバマ大統領演説を録音したDVDと対訳が大変売れていると聞く。これは演説が短く、使われている英語も平易であることから、米国内の少数民族にも耳を傾けさせ、多くの日本人には米国の若き最高権力者は、現下の危機的経済環境に対し、何を世界へのメッセージとして伝えたいのか、直接確認したかったからだと思う。 オバマ大統領は“米国は危機のさなかにいる”(That we are in the midst of crisis is now well understood)と語った。“米国経済はひどく弱体化している。これは一部の人々の強欲と無責任さの結果だが、私たち国民全体も難しい選択を行って、新たな時代に備えることができなかったことも一因です”(Our economy is badly weakened, a consequence of greed and irresponsibility on the part of some, but also our collective failure to make hard choices and prepare the nation for a new age.)と指摘している。
さらに“今回の危機で、監視の目がなければ市場は制御不能になりうること、そして富める者だけを優遇する国家は長く繁栄することができないことを再認識しました”(But this crisis has reminded us that without a watchful eye, the market can spin out of control. The nation cannot prosper long when it favors only the prosperous)と続ける。
 新大統領は自らの信念を世界に問いかける就任演説で、米国民の一部を「greed and irresponsibility」と表現するほど、米国民が持つ“お金を稼ぐことは良いことだ”への妄信が、資本市場を制御できないまでに膨張し、その結果、世界を巻き込むこの惨状を生み出したのだと結論付けたように思う。

とにかく利益上げるビジネス哲学
 “一部米国人”と表現しているが、それは誰でもウォール街に本社を構える金融関係会社の経営者、従業員であることは容易に分かる。彼らの強欲と無責任の象徴として、業績不振でバンク・オブ・アメリカ(Bank of America)に吸収合併される大手証券会社のメリルリンチ(Merrill Lynch)の経営者が、自社の業績不振を知りながら、合併されることを前提にして、幹部700人に一人当たり約100万ドル(1ドル約100円換算で1億円)、最高幹部4人には合計1億2100万ドル(121億円)のボーナスを合併される前に早期に支払ったと報道された(朝日新聞2009年2月13日)。破綻した大手証券会社リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)前CEO、リチャード・ファルド氏(Richard Severin Fuld Jr)はCEO在任中の14年間に約510億円の報酬を受け取ったとされている。ただし、本人の弁ではほとんどが自社株で、現金は6000万ドル(約60億円)しか受け取っていないと言っており、リーマン倒産の最大の被害者は私自身だとさえ訴えている。さらには税金が投入されている破綻企業、アメリカン・インターナショナル・グループ(American International Group:AIG)が支払った幹部への200億円を超す巨額ボーナスなど、金額の多寡も問題だが、損失を出してもなおボーナスが支給される契約にも驚く。
 これら企業の取締役は近いうちに株主あるいは社員から訴えられ、取締役会の意思決定過程、特にビジネス・ジャッジメント・ルールにおける各取締役の責任とその運営の全貌が開示される日が来るだろう。
 今、世界の人々は、最強国家の米国を詐欺まがいの金融商品サブプライム・ローン(Subprime loan)を、銀行や証券、格付け会社が一体となって仕立て上げた上に、自国はもとより世界中の代理店に高額手数料を通じて売りまくり、今の不況の最大原因を作りだしたと考えている。乱暴な言い方だが、世界経済を動かす米国金融界の最高経営責任者たちが、法律に直接触れなければどのようなビジネスで利益を得ても何らの問題もなく、長期よりも短期に利益を上げ、高額報酬を得ることは良いことだと考えてきたビジネス哲学に、いまさらながら世界の人々は驚きを禁じえない。
 前回ご紹介したネスレ(Nestle S.A.)社CEOのピーター・ブラベック・レッツマット氏(Mr.Peter Brabeck-Letmathe)は、01年に表面化したエンロン事件やその後のワールド・コム事件などに共通する問題として、業績の四半期開示と株価連動型報酬システムが過度にCEOへの業績達成圧力を高め、結果的に犯罪への道を取らせる環境を米国の制度は作っているのではないかと批判している。
 さらにレッツマット氏の個人的な経験として語るのには、ネスレには年に数度、投資銀行の人間が訪ね、現取締役がネスレをマネージメント・バイ・アウト(MBO=経営陣が参加する買収)すると、うるさい株主から自由になり、個人的にも莫大な利益を手中にすることができると提案するそうだ。100年以上も続く企業の現役経営者に対し、個人的に儲かるから自社を売却しろと提案する投資銀行の行為に同氏は怒りと同時に呆れていたことを覚えている。
規律と責任生むシステムにチェンジ
 大きなお世話だろうが、年収50億、80億円のお金を一体どのように使うのか想像できないが、一ケタ違う報酬を得ている人々も実在する。
 米国ボストン市に本拠を置くNPO団体である「United for a Fair Economy」が発表した「米国における労働者の報酬と執行取締役の報酬比較」(Worker Pay versus Executive Pay)をご紹介しておこう。アソシエーテッド・プレス(Associated Press)の調査によると、S&P500社のCEO報酬の07年平均報酬額は前年比2.6%増え1054万4470ドル(10億600万円)。この金額は労働者の平均報酬の約344倍となる。また、米国のCEOの報酬と法定最低賃金労働者の格差は広がっており、07年は866倍となった。
 一方、プライベート・インベストメント・マネジャーの報酬は引き続き上昇し、米国のビジネス・リーダーの報酬金額を引き上げている。07年におけるトップ50のヘッジ・ファンドとプライベート・エクイティー・ファンド・マネジャーが得た報酬は平均5億8800万ドル(588億円)だったと、アルファー・マガジン(Alpha magazine)は伝えている。この金額は平均労働者の賃金の1万9000倍以上だと報告している。
プライベート・インベストメト・ファンド・マネージャーの報酬単位:10億ドル
1位:John Paulson, Paulson & Co. $3.7 billion
2位:George Soros, Soros Fund Management $2.9 billion
3位:James Simons, Renaissance Technologies $2.8 billion
4位:Philip Falcone, Harbinger Partners $1.7 billion
5位:Kenneth Griffin, Citadel Investment Group $1.5 billion
公開会社CEOの報酬単位:百万ドル
1位:John Thain, Merrill Lynch $83 million
2位:Leslie Moonves, CBS $68 million
3位:Richard Adkerson, Freeport-McMoran $65 million
4位:Bob Simpson, XTO Energy $57 million
5位:Lloyd Blankfein, Goldman Sachs $54 million
(Sources: Private investment funds: Alpha magazine. CEOs: Associated Press.)
 個人の才能を自由に開花させることを国家の成長の原動力としてきた企業国家米国は、経済の要である金融界のみならず広範囲の産業界においても結果的には個人の利益を優先し、それを正当化する風潮に深く汚染された人々によって牛耳られ、社会人、経営者としての規律と責任を無視してきたことを我々は知った。問題はこの「強欲で無責任な経営者」を生み出さない教育・管理システム、あるいは「謙虚で責任ある経営者」を育てるシステムを我々が作り出せるか否かにかかっている。本当にチェンジが必要な時を迎えている。
 資本主義という経済システムや米国人が持つ拝金主義を考えると、そんなチェンジは無理に決まっているという嘲笑が聞こえてくる。だが土地バブル崩壊後の日本の不動産関係会社や銀行、証券会社の経営者は、金額の多寡はいささか見劣りがするがその厚顔無恥さでは共通しており、同様な人々が世界中にいることも我々は知っている。その意味で人間が持つ「強欲と無責任」の問題は世界共通のリスクといえる。
 今回の金融不況がもたらした破壊力の大きさと速さは、IT技術の進歩により当初の予想をはるかに上回る。この環境のなかで、上述したリスクの低減、極小化には世界の知恵と経験、そして何よりも効果ある実行が必要となる。ほんの少し前、バブル景気とその後の凄惨(せいさん)な経験を持つ日本の株主、経営者は大いに米国を含む海外の経営者、政治家に対し発言して欲しい。
 次回のコラムでは、このリスクに対応する米国コーポレート・ガバナンスの努力を紹介したい。



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石田ふたみ [MAIL]

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