.....PAPER MOON
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「監督不行届」安野モヨコ
2005年04月29日(金)
「ダーリンは外国人」ならぬ「ダーリンはオタク(そして私も)」ともいうべき一冊。
漫画家の安野さんが、(エヴァンゲリオンで有名な)庵野監督のオタクっぷりを愛を込めて描いています。お腹のぽっこり具合も、福耳も口元もすごくかわいい。詐欺だろうってくらいにかわいい(笑) ロンパース(安野さん。赤ちゃんの姿)もめちゃめちゃかわいいですが。
二人でアニソン歌ってるところとか、ほんとにかわいい(笑)(歌ってるとコーラスが入ってくる、合いの手が入ってくる)
検便の話も爆笑。(洋式だと採取できないということで和式のトイレを探し回る話)

カントクくんが乙女だっていうのもおもしろかった。
カントク「知って!!わしのことを知って!!もっと!!」
ロンパースのモノローグ「嫁入り前の娘みたいなことを。なんじゃコイツは…」
とか。
「ちがうも〜ん」(とかぶりをふるカントクくん)
ロンパース「かわいい仕草はいいから!!早く用件を。(まったく…この家には乙女がいるようだね!!)」
とか。
おもちゃを自慢するカントクくんとそれを見守るロンパース。この構図は男女が反対だと気づくロンパースが、「なんであたしがオヤジ役なんだよ!!この乙女野郎!!あたしも見守られてえよ」
カントク「そ…そんなこと言ったって…わざとじゃないもん…(←乙女発言)」
ロンパース「わざとじゃ…ない、と言うことは自然に乙女ということ!?」
とか。
私の愛するあの人も乙女の心を持っているので、妙に共感してしまいました(笑)
★★★★
「失踪日記」吾妻ひでお
2005年04月28日(木)
巷で話題の、「全部実話です(笑)」の「失踪日記」です。
吾妻ひでおは、私にとっては「ひでおと素子の愛の交換日記」の人でした。彼の漫画を読んだことはありませんが、おもしろかった。
この失踪日記は、二度の失踪、自殺未遂、路上生活、肉体労働、アルコール中毒、強制入院というハードな経験をユーモラスに(?)描いています。
なんというか、淡々としているのに、壮絶なんですね…。こういう生き方を読んで「おもしろかった」というのもどうかと思うけど、おもしろかった。
「PLUTO 2」浦沢直樹×手塚治虫
2005年04月27日(水)
2巻が出ましたよ! 表紙の顔はアトム。
終わりの方にはウランちゃんも出てきました。

アトムのやわらかそうな皮膚やくせっ毛、無垢な表情なんかが素晴らしい。トイレだと言って席を立ち涙を流すシーンがなんとも言えない。
この漫画では、ロボットの悲哀が描かれる。人間よりも下層に位置づけられる存在。戦闘用のボディに変わるときに、首が抜けるのが衝撃。

「地上最大のロボット」は読んだので、あらすじはわかってる。でもこの漫画にはわからない部分がいっぱい。ゲジヒトの過去になにが?
極めて漫画的だったと言える原作の悪役を、このシリアスな世界でどう描くのか?
「人を殺したロボット」を完璧だというお茶の水博士。それに「それは"人間"ということですか?」と訊くアトム。
ううーん、ほんとに浦沢直樹はすごい。
「ルードの恩讐 グイン・サーガ99」「豹頭王の試練 グイン・サーガ100」栗本薫
2005年04月18日(月)
グインとイシュトヴァーンのやり取りが主だった2冊。
イシュトヴァーンを見ていると胸が痛む…。いつか心安らぐ時が訪れるといいのにと思います。

ついに100巻達成ですねぇ。
まだまだ話は続きますが…。きっと普通だったら、記憶をなくして目覚めたらあっという間に仲間のところに飛んで行っちゃうよね(笑) しかしこの話はなかなかそういかない。それがグイン・サーガの醍醐味かと。
きっと豹頭王の○○って○○○なんだよね。やがてくるその時が楽しみです。
「ダーリンの頭ン中」小栗左多里&トニー・ラズロ
2005年04月16日(土)
「ダーリンは外国人」の姉妹本。副題に「英語と語学」と書かれているように、語学マニアのトニーさんらしい語学の話が主になってます。
英語に対しての発見もあるけれど、日本語に対しての発見も多くて楽しい。私はあいまいな日本語が好きな日本人です(笑)
あとね、落ち込んでる左多里さんの手をとって踊りだそうとするトニーさんがいいなあ。実際に私がやられたら怒ると思いますけど(笑)
★★★☆
「熊の場所」舞城王太郎
2005年04月10日(日)
短編3本を収録。

「熊の場所」
小学生の男の子が、同級生の猫殺しに気づいて、その少年に近づいていく話。「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐ戻らねばならない。」という教訓を伝える話。舞城らしい哲学と得体の知れない恐怖と高揚感を感じることのできる作品でした。なかなかよかった。

「バット男」
バット男は、いつもバットを振り回しているのでそう呼ばれているが、そのバットで殴られているのはいつも自分。歪みはいつも弱者へ流れていく。そういう図式を体現しているのがバット男。
でも話の本筋はバット男ではなく、高校生のカップル。こういう破壊的な愛情のあり方は、これまた舞城らしい。

「ピコーン!」
なんだかよくわかりませんが、「九十九十九」の一篇を読んでるみたいな感じ。でもあんまりおもしろくない(笑)


なぜ私は舞城を読み続けるんだろうか。わからん…。
でもこれからもたぶん読む。気になるから。
★★
「クレイジーヘヴン」垣根涼介
2005年04月09日(土)
エロティックバイオレンスロマンスとでも言いましょうか。かと言って某伝奇小説のように耽美ではありませんが。
美人局として中年ヤクザと暮らす若い女と、平凡なサラリーマンだが心に狂気を抱える男。二人の人生がひょんなことから交錯する…。
なんだか安いメロドラマという感じで、いくつか感想を読みましたが、軒並み評価が低い。確かに、これが「ワイルドソウル」「ヒートアイランド」の作者だと思うとね…。

でもまあ、描かれていることは、わからなくもないです。描き方が下品だから評判悪いだけじゃないかと(笑)
「枠」を越えようとする(そして越えてしまった)平凡なサラリーマンの男と、「自分が拒否されることを常に想定している女」。その両方の感覚が、私にはなんとなく理解できるから。

↓そんなわけでちょっと甘めで。
★★★
「DEATH NOTE 6」大場つぐみ・小畑健
2005年04月07日(木)
今回もまた怒涛の展開。第三のキラを追い詰めることに。これはこれで王道というか、おもしろいですよね。
やっぱりライトは策をはりめぐらせてたのかー。どうやって?というのが、気になります。楽しみです。目の輝きが笑えました(笑)
レムの存在もキーですね。おもしろいな。
元警察官の方々もいい味出してます。モッチーとか(笑)

次巻の予告で「悲鳴がこだまする。」とか書かれてますが。ネットで「○が○○」というのを見てしまったので、ドキドキです。どうなるんだろーー。
「沈黙博物館」小川洋子
2005年04月03日(日)
博物館を作るために屋敷に招かれた博物館技師の男性。その屋敷に住んでいるのは老婆と養女の娘と、夫婦の庭師と家政婦。
その博物館は、老婆が今まで集めてきた、「村で死んだ人の形見」。しかも、「私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ。」
博物館の話を軸に、村で起きた女性の乳首を切り取る殺人事件、沈黙の伝道師などが関わってきて、とても不思議な雰囲気を醸し出しています。

「死の完結を永遠に阻止するために」保存される形見の数々。どことも知れない、切り離された空気感を持つ村。
特に、「沈黙の伝道師」には考えさせられました。言葉を失くした人間は、遠いところへ行ってしまったということなのですね。私の口は怠惰で、よく、もう一生しゃべりたくない、と思うのですが。この小説における「沈黙」は、人に伝えるための言葉を失くすということで、文字を書くこともなくなってしまうのです。私はそんな風になれるだろうか?と、考えてしまいます。

そして、誰もがやがて迎える死とはなんなんでしょう。
高齢化社会では老人の孤独死が問題視されいるし、「(自分が)死にたかった」と言って人を巻き添えに殺す事件も後を絶ちません。象は死期を悟るとどこかへ消えるそうですが…。どうして、そんな風に静かに死んでいけないのでしょうか。
実は私は一人で逝きたいと思っていたんですが、もしも自分が先に逝ってはいけない人よりも先だったら、謝らなければいけないような気がしてきました…。
それから、私の形見がひとつだけ選ばれるとしたら、なんなんだろう、とも。

ところで、技師さんが形見を入手するために泥棒をしなければいけなくなるんですが、その昔私は「価値のない物を盗む泥棒」の話を書いたことがあるのを思い出しました。


装幀が美しいと思ったら、吉田篤弘さん・吉田浩美さんでした。
★★★☆


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