「硝子の月」
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尚も笑うのをやめない少女にまだ何か言ってやろうとした時だった。 「僕は認めない!」 いつの間に復活していつの間にやってきたのか、高らかに唱える青年が一人。言わずと知れた[ルウファにぞっこん]シオンである。 例によって例の如く、ルウファは物凄く嫌そうに声の主を見やる。 青年は構わずに一人で続けている。 「こんな青春モード僕は認めない! 君が青春モードに突入するのならそれはこの僕とのはずだろ仔猫ちゃん!! はっそうか! この奥ゆかしき僕ではそんなことしないと思ったのかい? 馬鹿だな、君とならオッケーに決まっているじゃないか」 「『奥ゆかしい』って言葉の意味知ってる?」 「さぁ、遠慮なく僕の瞳を見つめてごらん」 「何でこの馬鹿起こしちゃったの?」 ルウファはちょうどやって来たグレンに恨みがましい眼差しを向けた。 「いや、起こしてねぇぜ。ちゃんとあそこに捨てたままにしてきたんだがな」 いつの間に先回りされたのやら、と、のんびり歩いてきた青年は微苦笑を浮かべた。 「『お願い』って言ったのに」 「介抱しろってことじゃなかったのか」 「そんなこと頼む必要ないでしょ?」 「確かにな」
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