「じゃあ、またね。次の仕事を引き受けるかどうかは、その時の気分で決めてあげるよ」 自分より年上の青年に居丈高にそう言って、少年は部屋を出て行った。「あくまで運命を否定するか……」 彼に届かぬ呟きを口にして、青年はほんの少し目を細める。それが痛みにであったのか羨望にであったのか、知る者はいない。「宰相閣下」 彼の背後に何者かが跪(ひざまず)く。「お怪我を……」「ああ、すまない」