「硝子の月」
DiaryINDEXpastwill


2002年04月07日(日) <蠢動>瀬生曲

「じゃあ、またね。次の仕事を引き受けるかどうかは、その時の気分で決めてあげるよ」
 自分より年上の青年に居丈高にそう言って、少年は部屋を出て行った。
「あくまで運命を否定するか……」
 彼に届かぬ呟きを口にして、青年はほんの少し目を細める。それが痛みにであったのか羨望にであったのか、知る者はいない。
「宰相閣下」
 彼の背後に何者かがひざまずく。
「お怪我を……」
「ああ、すまない」


紗月 護 |MAILHomePage

My追加