何かが動き始めている。 ――何が?―― 少年の問いに応(こた)える存在(もの)はなかった。 ただ、自分が死んではいないのだということはわかった。「死なれては困る」 聞いたことのない女の声が聞こえた気がした。それはとても遠く、また近かった。(アニス……?) 姿の見えない女の肩に、ルリハヤブサがいるような気がした。