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2002年06月10日(月)
■『ホームズと不死の創造者』 ★☆☆☆☆

著者:ブライアン・ステイブルフォード  出版:早川書房  [SF]  bk1

【あらすじ】(カバーより)
現場の白骨死体には遺体の肉を栄養にして成長した花がからみつき、謎のメッセージが残されていた…25世紀末、ナノテクと生物学の進歩のおかげで、人類は数百年もの寿命を獲得していた。だがそれでも殺人事件が絶えることはなかったのだ。花束を持つ謎の女性の訪問とともに起こる奇怪な連続殺人事件に、女性刑事シャーロット・ホームズとフラワー・デザイナーのオスカー・ワイルドが挑んでいく!話題のSFミステリ

【内容と感想】
 買うときも中身をパラパラ見て迷ったのだが、案の定いまいちだった。SFとしての背景はそれほど悪くないのだが、探偵物としての部分が全くダメで、シャーロック・ホームズやオスカー・ワイルドとからめたことでさらに無理が出ている気がする。

 事件の担当刑事がホームズなのだが、ここまで何の役にも立たない刑事というのも珍しいかもしれない。さらに容疑者の一人でもあるオスカー・ワイルドに振り回されていて、いくら25世紀で殺人事件がほとんど無いといってもそんな陳腐な捜査はしないだろうと思う。普通ならワイルドが捜査に関わろうとするのを止めるだろうし、ワイルドの推理(というかカン)を聞いているだけなのである。またホームズの上司役にワトソンを持ってきたのもよくわからない。なぜ立場が元ネタと逆転しているんだろうか。

 ホームズのシリーズは一通りは読んでいると思うのだが、オスカー・ワイルドの方はほとんど読んでいないので、いろいろ原作と絡めた含みがあるようなのだがわからなかった。そもそもホームズとオスカー・ワイルドとSFの読者層は、それぞれ違っていて、それらを合わせて読みたがる人というのもあまり居ないのではないだろうか。


 舞台設定は、子供が生まれることが極端に減り、人は皆二度三度の若返り手術を受けて何百年と生き続けるという25世紀末。この作品の前に22世紀末を描いた『地を継ぐ者』という作品があるそうだが、それを引き継いだ300年後の世界らしい。あまり内容としては前作は関係ないらしいのだが、背景となる世界の設定が読んでいてもあまりよくわからず、説明不足という気がする。


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