流天日記
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2005年06月22日(水) 母を逃がす

家に帰ると、居間でおとうとが
ぐずぐずと泣いている。
わけを尋ねると
「黒いおばけがやってきて、居間の壁紙をはがして
お母さんをつれて行ってしまった」
というのである。
見ると、壁紙の一部がべろりと剥がれ落ちており
内側から様々な色のえのぐが滴っている。
3つ年上の姉は、壁をじっと睨みつけた後で
「悲しいけれど、お母さんはもう帰ってこないわ。
私たちだけで、ちゃんと生活していきましょう」
などと、思いつめたように言うのである。
(完)


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