★ 夏海の日記 ★

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2001年09月23日(日) 鬱病って、なに? その2

昨日の続きです。

お薬で辛い症状が緩和されると、第一の最重要注意点、これは周りの人が細心の注意を払って守ってあげて下さい。

鬱病の人は、本当に何をやるのも面倒臭いんです。息をするのも面倒臭い、生きているのも面倒臭い。『その1』に、そう書きましたよね?
つまり、自分で自分の命を絶つ気力もないんです。
お薬の効果が現れて、少し元気になってくる。
と、困ったことに自殺する元気さえ出て来るんです。
自分が生きる価値のない人間だって思っている人がなる『心の病』なので、この自殺の危険を細心の注意を払って回避させて下さい。
ちょっと元気が出たと安心してはならないんです。

さて、もっと調子が良くなって、冷静に自分を見つめることができるようになった時から、本当の戦いが始まります。
本当の戦い...つまり、もう2度と辛い思いをしなくても良いように、です。

本当に辛いことは、心がシャットアウトしてしまって、心の奥に沈んだまま、記憶として残っていないものなんです。でも、潜在記憶として残っている。
自分が何かあったときの対応のしかた、それについての考え方、それは、子供時代に培った『潜在記憶』に従って、表面に現れるのですが、でも、『覚えていない』ので、なぜそういう風に考えるか、行動してしまうか、が自覚できない。
それを『早く』思い出すために、カウンセリングで心を引きだしてもらうんです。
(私の場合、カウンセリングをしなかったので、自分で考えたため、ずいぶん時間が掛かってしまいました。)

それは、身内にとって、ほんのちょっとの出来事で、あまりに日常的なあまり、身内は、覚えていないのが殆どです。でも、当人にとって重大な傷となっていたりするんです。(例えば、私の8月26日の日記『大雨が怖い理由』のように、大人には笑い事でも、私は死の恐怖を感じたようなものです)

例えば、私の友達は、3人姉弟の長女で、初めての子で可愛がられていたあまり、『お前は、何もできない子だ』と育てられて、意識が外に向かないように育てられたのだそうです。20才を過ぎて会社に就職するまで、彼女は自分は何も出来ないお荷物な存在だと思って育ち、「入社して初めて、私には出来ることがあるってことを知って、嬉しくて」って言っていました。
彼女の妹と弟は、正反対に10代の頃に留学を体験して、自立することを学んだのに、私って一体なに?!って言っていました。
親は、彼女が可愛くて仕方がなくて、自分が何をしたのか理解していないのでしょうが、重い過剰な愛情は、罪です。でも、ただ彼女は『親の愛情』を知っているので、人を信用すること、愛することが出来るのは、幸せなことだと思います。

そんな些細なことを思い出す作業を時間を掛けて地道にこなして、自分が何に傷ついたのかを自覚すると、潜在意識が やっと体の外に出て、『過去の出来事』に変わるんです。
だから、本人だけの問題ではないので、親との関係、兄弟姉妹との関係を、本当は一緒にカウンセリングに行って思い出すのが一番の近道だと思うんですけど...

私の日記にもよく出てくるママ(伯母)は、私にトラウマを植え付けたなんて、思ってもいません。ただ私を大好きだっただけで、愛しただけで、育てただけなんですよね。ママには猫っ可愛がりされた訳でもなく、怒られたり『普通』に育てられたけれど、
ただ、「家が忙しくて預けられた子だ」と言い続けただけなんです。当然全然悪気はなく。でも、それを聞いて私は『実親を信頼できない』、『私は見捨てられた子だ』と思い込みました。
そんなことになっていると知らない13才しか離れていない叔父に、「川から拾ってきた子」って言われて、(子供の頃に良くあるジョークですよね)それは私にとって冗談ではなく、「ああ、だからか...」って妙に納得したりして。


もし愛情を掛けられて、大切に育てられ、平和な家庭で育って、でも病気になってしまった人は、
誰が悪いんではなく、たぶん、お互いの思いが空回りしちゃった、どこかでボタンが掛け違っただけだと思います。
だから、そこまで戻って、そこから新しい人生を見つめ直せば良いんです。

ロクデナシの親に育てられてしまった人は、
飯島愛さんの『プラトニックセックス』を読んでも思ったんだけど、
親に反発して『自分を傷つける』なんて、勿体ないよ。
親は私たちよりも早く死んじゃうんだし、
あなたの人生は、親のものじゃなくて、あなたのものです。
ロクデナシの親は放っておいて、
自分の人生を 自分だけの人生を 自分の力で歩き始めてね


これから まだまだ良いことが いっぱいあって、幸せなことも、楽しいことも、ケンカしたり、でもまた仲直りしたり、色んなことが一杯あります。

私は人生に絶望していましたが、
鬱になって良かったかもしれない。
私は今、生まれたばかりのヒナで、
まだ羽毛も生えそろっていない不格好なままだけど、
生きていても良いかな〜って息をするのが楽になりました。

今は生きることだけに頑張れば良いよ。
一緒に生きようね。
新しい空気を一杯吸って、古い空気を体から出して
1秒1秒新しく生まれ変わってるんだから。


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