moonshine  エミ




2006年12月25日(月)  涙にねぎらいのキスを

今年のクリスマスは、熊本県は田の原温泉というところで賢ちゃんと過ごした。黒川やら湯布院・別府といった、九州の名だたる温泉街は、シーズンだけあって宿泊予約がいっぱいだったので、黒川にほど近いこの場所にしたのだが、どんなところか内心ドキドキワクワクしながら乗り込んだ。結果は大満足。詳細はブログをご参照ください。

ひろびろとした離れのお部屋で豪華絢爛たる夕食を摂り、ビールをしこたま飲みながら、テレビ東京系?の特番を見た。200キロも超えるようなマグロ一本釣りを職業とする海の男たちのルポタージュだ。すげぇクリスマスだよな、とおかしみつつ、こういうのって、この人と過ごすからこそだと思うと、楽しい私であった。賢ちゃんは(さすがにそれが職業ではありませんし、マグロは釣りませんが・・・)釣り人なのだ。

自然を相手にする仕事、当然、それで生計を立て、家族を養うということ。
言葉にすれば軽いけど、本当にすごいことだと思った。
タイトルは忘れてしまったのだけれど、有島武郎の短編を思い出した。(生まれ出づる悩み、かな?) もちろん、文学は、真実その生き方をしている人々には遠く及ばないにしても、少なくともこうやってテレビで映像を見るのと同じくらいに、私たちにもそれを想像させる力をもっている。

きれいに完食してお膳をさげてもらい、食後のビールにいそしむ時間に、突如、クリスマスプレゼントをもらった。以前に一緒にテレビ見ながら、「おー、これ見たいんだよね〜」と私が言っていたDVDソフトと、ゴディバのチョコレート。チョコはさっそく、ビールのつまみにしました、ふっ。

私はなんにも用意してなかったので恐縮であった。(えーっと、自分の名誉のために釈明しますが、先週、誕生日プレゼントをいくつか差し上げてましたので・・・) 
さて、賢ちゃんがバッグから無造作にプレゼントをつかんで差し出して言ったことには「最近、いい子にしてるから、これをやろう」。

なな、なんたる関白っぷり。私はアナタのためにいい子にしてるわけじゃあ、ありませんよ! そもそも、いい子ってどんな子だよ、え?!
・・・と、本気で思ったりはしません。むしろ「わーい、いい子にしててよかったな〜、へへへ。」というのが、そのときの素直な気持ちだったのが、われながら、進歩というか退化というか、まあともかく驚きだった。

なんというか、人にもよるのだろうが、男の人って、プライドを守りたい生き物だと思う。やっぱり。
そして、大人の男ってやつは、プライドを守るために行動してると思う。大人になって久しいから、もう無意識的にそうしてる部分もあるんだろうし、もちろん、完全無欠な人間なんているわけないから、意識的にそうしてる部分もあるだろう。

ぶつぶつ言いながらも仕事はきっちりやって、誇りをもっている。重いものはもつ。帰りは送っていく。道案内を担当する。いつでもどこでも堂々としてるし、如才ない対応もさりげなくできる。男が出てったほうが話がまとまりやすいときは、面倒でもそうする。男だからって変なメンツにこだわらず、家事労働もやるもんで、そっちのほうが気持ちいいと思ってる。ぐっと堪えることを知っている。相手の素直な気持ちにこたえる行動ができる。
無力でかよわい女の子じゃなくて、自立してどこに出しても恥ずかしくない女に対して、そう振舞って付き合うこと、大人の女を守ることが、彼の欲してるところなんだろうなーと思う。それは大人の男らしいことだな、と思う。

もちろん、男でも女でも、自分がどうありたいか、相手に何を求めるかは、個人の価値観によるものだ。何が正しいっていうのはない。
ただ、私は、この人が好きで、一緒にいられることが今は楽しい。彼は、いろんな面において、私より経験豊かで、大人だ。それが私には心地いい。彼は私にできないことがたくさんできる。それに対して、つまんない意地をはったり、なけなしのプライドを主張したりするのは、ばかばかしい。

だから、私が道でけつまづいたときに、「またボーッとしとったんだろ。」といわれようと、何度挑んでも神経衰弱で圧倒的敗北を喫しようと、それでもいっかー、と思うのでした。ん? しょうもないな、なんか・・・。

ちなみに、今日の車中での「クリスマスソング古今東西」では、勝利をおさめましたとさ。
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