moonshine  エミ




2006年10月07日(土)  これもまた愛すべき土曜日

いわゆる一般企業の我が社は、カレンダー通りに土日祭日が休日・・・のはずだけど、長年この日記を読んでる方々にはお馴染みのとおり、決算作業の時期、4月・5月と10月は、私の部署は土曜日もあたりまえのように出勤だ。でないと決算発表、ひいては有価証券報告書の提出に間に合わない。

それでこの土曜日も朝から張り切って(?)自転車こいで会社に出かけた。JRで来る先輩は、「3連休で天気もいいから、電車の中も駅も、遊びに行く人たちでいっぱい! もう、やんなる〜」なんてこぼしつつ登場。「私たちは別世界の住人だから、しょうがないよ・・・」と、同じ部署の人およびシステム部の人で慰め合う。

そう、休日出勤をしてるのは私たち経理部だけじゃない。4月・10月というのは、大幅な人事異動に伴う社内のレイアウト変更がつきもので、従って、内線電話工事とか社内LAN工事とかを、みんなが休む土日に業者さんたちに委託して行うため、その監督としてシステム部とか総務部の人たちが出勤してくるのだ。

会社でお金を稼いでくるのは当然、営業の人たちで、彼らはきついノルマを課され、社外では取引先に頭を下げたり、社内では上役に怒鳴られたりしながら、みんなの食い扶持を稼いでる。そのかわり、社内ではやはり胸を張ってられるというか、「俺たちがいるからこそ、みんなの給料も出るんだぜ!」的に優遇されてる面もある。総務とか経理とかシステムとかっていう、いわゆる私たち“スタッフ部門”の人間は、営業が稼いでくるお金に乗っかるかわり、直接的には一銭も稼ぐことはできないけれど、みんなが休んでる間に、目につかない、評価もされないところで、地味〜にしこしこ働いてる。両者の間にはどうにも埋められない深い溝があるけど、どちらもやっぱり、会社を運営していくためには欠かせない。と、私は思う。

さてさて、そういうわけで、この日は内線工事とLAN工事がドッキング。天井という天井があけられて電線(?)が顔を出し、あちこちでドリル音やテストの内線呼び出し音が鳴り響き、汗の匂いと威勢のいい掛け声(?)を発し、埃を撒き散らしながら、業者の人たちが忙しく立ち働いている。

・・・・・中で、私たちは電卓やパソコンやプリンタや膨大な紙資料を相手に、細かい計算をしたり小難しい会計基準を読んだりしながら、決算作業だ。そう、はっきり言って、頭脳労働にはまったく適さない環境である。

おまけに、LAN工事の影響で、社内のサーバーと無線LANが止まっており、普段はサーバー内に格納されてる社内のいろんなファイルに即座にアクセスすることもできず、前日に前もって自分のパソコンのマイドキュメントに移しておいた限られたデータだけで戦闘しなければならない、また、無線LANが使えないので、印刷するときには、わざわざプリンタと自分のパソコンをケーブルでいちいち繋がなければならない、おまけに、業者の邪魔にならないように、自分たちのフロアじゃない小部屋に缶詰になって作業しなければならないので、途中で「あっ、あの資料が必要!」とか思ったら、わざわざ階段を下りて取りに行かなければならない、という、不便このうえない状況で、クソ忙しい決算作業の一日を過ごすことを余儀なくされるのだ。

「アンタたち(=経営者)の都合で、決算発表を大幅に早めるとかいうから、休日返上でこんなに働いてるんだから、この時期にやたらめったら、大幅な工事が必要になる無意味な(と思える)異動を発令しないでよね!」

なんて、以前の私はぷんぷん怒ってたけど、こういうのにも、もう、慣れた。それどころか、業者の人たちとも半分、顔なじみになってきて、「おお〜またアンタたち、休みに出てきてるんだね。」「あっ、今からお昼かい?」的なあいさつや目配せもかわすようになったり、いかにも職人さんらしいきびきびした動きや珍しい機器を見たりするのも興味深く、「会社って、裏ではこういう人たちに支えられてるんだね〜(もちろん、お金払ってやってもらってるんだけど)」と、感慨深かったりもする。

とはいえ、やっぱり不便な環境であることには代わりないので、この日は、意外と早く(19時だけど・・・)仕事は切り上げることになった。平日は毎日22時オーバーなので、よく考えたら土曜日なんだからちっともありがたくないんだけど、早く帰れるとなんだか「得した〜♪」みたいな気持ちになる。反面、「ああ、こんなに早く帰ってたら、進捗も悪くなるし、来週も苦労すんな・・・」とも冷静に考えつつ、「まぁ、なんとかしなくちゃいけないから、これまでどおり、無理してでもなんとかしてくんだろうな。」と不安はとりあえず胸におさめて、久しぶりに早く帰るので、レンタル屋に寄って、音楽を物色した。

借りたのは、風味堂と木村カエラ。

風味堂、いいね〜! 九州出身で、直接ライブを見たことはないけど、今はもう地元長崎に戻った友だちが『MUSIC CITY 天神』ていう音楽イベントで「今から風味堂のライブ行くんだ〜!」とワクワクしてたのを思い出すだけでも、私にとって勝手に親近感をおぼえるバンドだ。最近、「愛してる」って曲が全国的に売れてるみたいで、ラジオでもよく流れてる。その歌は、個人的にはあんまり好きじゃない・・・。でも、レンタルしたメジャーデビューアルバム「風味堂」は、一発でかなり気に入った! ヘビロテ中!

で、風味堂を聞きながら、家事をしたり、ビール飲んだり、ブログ書いたりして、自分の部屋でくつろぐ優雅な夜を過ごした。寝る前に、読みかけだった『ぶらんこ乗り』(いしいしんじ 新潮文庫)をしくしく泣きながら最後まで読み終わった。うーむ。期待を裏切らない、良作だった。人を食うようなホラ話の数々、それでいて、人の普遍的な営み、感情に訴えてくる。いしいしんじは、2006年の大事な出会いのひとつだ。

ちなみに賢ちゃん。この日、親友とバス釣りに佐賀は北山ダムに行ってたんだけど、風が強くて釣果が思わしくなかったうえ、15キロオーバーというチャチな違反でキップ切られたらしく、凹んでいた・・・。かわいそうに。よしよし。君がいい子だって私はわかってるからね! 
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