moonshine  エミ




2003年08月29日(金)  風のない夜 秋を呼ぶ声

 金曜日、目が覚めて1分くらい、土曜日だと信じて疑っていなかった。
 仕事だ・・・と気づいたときの落胆といったら。
 
 行き詰まって一日中うんうん唸って
「もーこれ以上やってもダメだ! 
 今夜は約束もあるし、あと五分経ったら、もうスッパリあきらめて
 来週まで寝かして熟成させよう」
 という問題が、その五分で奇跡のように解決。
 神さまが私のことを見ているのであろうか。
 それともやっぱり、きっかり期限を設けないと集中力って発揮できないのか。

 夜は、愛知へ帰るきくちんと最後に晩餐。
 名古屋コーチンの石焼、おいしかった。
 図らずも、パステルカラーのソースがのった生春巻きが出てきたときは興奮した。
 そして、ビール(生)→カクテル(ショート)→ワイン→(フルボトル)→ワイン(デカンタ)
 と、割としっかり、飲む。
 しかし今夜の私は合格の酔っぱらい。
 気持ち悪くなることも、記憶が飛ぶこともなく、
 途中、陽気になって、きくちんの腕時計を奪い取り針をぐるんぐるん回して返す・・・
 くらいの奇行ですみました。

 そのときは素早く針を元に戻していたきくちんであったが、
 私と会う前にも少し飲んでいたということだし、珍しくけっこう酔った様子。
 彼にとっては節目のとき、いろいろ感じるところもあるだろう。
 私だって、8月の後半になってからというもの、
 やたら感傷的な気分になったりしているのだ。
 
 店を出る、まだ、夜も夏だ。
『夏は夜』とはよくいったもの。夏の夜、大好きだ。
 清少納言って夜遊びしてたのかなあ。
 舞鶴から博多駅まで、時間をかけて歩いていると、酔いは少しずつ醒めていった。
 途中、那珂川沿いの遊歩道に座って休憩した。
 中州の夜の、けばけばしく無秩序な未だに昭和のようなネオンサインたちは、
 静かな川面に映ると、きらきらと、なんて優しい。
 薄い草むらなのに、鈴虫の声がやけに耳を打った。
 家にたどり着くとやけに疲れを感じた、なのに眠りは浅く、
 しかもとても怖い夢を見て夢の中でたくさん泣いて早くに目が覚めて
 目が覚めても悲しくて少し泣いた後、今度こそ深く眠った、短い時間。





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