| moonshine エミ |
| 2002年08月10日(土) タブーに踏み込め! | ||||
| まず、昨日書いた、西日本新聞の記事「ナガサキの断層」についてなんですが、私がヘタな要約なんてするまでもなく、全文、西日本新聞のサイトに掲載してあったのでした。 もうこれまでに何度となく貴重な情報をくださっているQさまが、今回もまた教えてくれました。ここにもリンク貼っときますね。コチラです、「ナガサキの断層」への入り口。上・中・下、ぜーんぶ読めます。 この連載が私にとって衝撃的だったのは、やっぱりある種のタブーに踏み込んでるからなんだよね。たとえば政権のこととか、産業界の不正事件とか、「公然と権力のあること」に対しての批判をするのはマスコミのお得意な分野。 “罪のない”“善良で力弱い”一般市民が原爆という人類未曾有の被害にあった。それが言葉に出来ない悲劇であるからこそ、悲劇以外の言論に踏み込むのはある種のタブーになる。カタカナで“ナガサキ”と書けば、それは世界をも黙らせる、ある種の歪んだ権力さえ持っている。 けれど同じ被害に合ったもの同士が、信仰の違いや人為的に定めた身分の枠の中で差別しあう。広島では原爆ドームが今もあの日の怒りを伝えているのに、長崎は廃墟の浦上天主堂を壊してしまった。平和記念像にも世俗の思惑が絡み合う。 そういう、本当はしっかりと受け止めなければならないことであるにも関わらず、“弱い被害者”を鞭打つ行為と澄ました人々が眉を顰めかねないことがらに、マスコミにはもっと踏み込んでほしい。人間は弱い。弱く醜い心を誰でも持っている。被害者がある場面では加害者なのだ。社会にも歴史にも光と闇の側面は必ずある。その、暗いほう、醜い部分に蓋をしたままで、どうやってそれを克服していけるだろう。 私が好きな言葉に“羞恥心”があるって書いたことがあるけど、そのほかに“批判精神”という言葉もある。誤解しないでね、やたらと粗探しをして揚げ足をとることが好きなわけじゃない、本当に美しいもの、つよいものや正しいことを追求していくためには、必ず現状の問題点を探さなければならないでしょう? 温かい心、優しい言葉や善意を重んじるのも必要だ、でもそれだけじゃ。 素直な気持ちで大きく目を開いて世界を見る。胸の隅には絶えず批判精神を宿らせて。 こんな私なので、筒井康隆の『家族八景』という小説を去年読んだときは厳粛な気持ちになった。筒井さんのこと特別よく知ってるわけじゃないし、著作も4−5冊読んだだけなので偏愛してるわけじゃないけど、『家族八景』に始まる七瀬シリーズのパワーには慄然とさせられましたよ。 まだの方は、是非。・・・と、「読み日記」らしく(この"moonshine"は、そういうジャンルで登録してるんですね)たまには本も紹介してみる。 本といえば昨日、本棚の整理をまた行う。 はっきり数えたわけではないが、この3月からこれまで、350冊ほどBOOK OFFへ里子に出した。昨日ざっと数えると蔵書は(雑誌、専門書等は含めず)750冊ほどになっていた。 こざっぱりした本棚を眺めて、だいぶ減ったなァと、晴れやかながらもやはり寂しい気持ちにもなる。もっとも、我が家で読書を愛するのは私ひとり、家の本の9割9分は私のもので、母親などには「いったいどこが減ったとね」と言われる。 ああ、でも、今のところこれが限界。もう残りは手放せない。きびし〜気持ちで思い出のあの本、この本も売りに出してきたけど、これ以上は無理。もっと減らしたいのに・・・。ぐすん。 まあ、半年か1年ごと、定期的に蔵書を見直す作業は今後も続けたいと思う。そのココロについては、また今度。 お盆休みではあるけれど、普通に飲みに行ったり買い物したりビデオを見たりという予定のこの夏。家に居れば、やっぱり本に手が伸びる。 しかも大物。長編シリーズですね。去年の夏は、やっぱり『竜馬がゆく』文春文庫の全8巻を読み返していた。 きのう、氷室冴子の『銀の海 金の大地』シリーズを手にとってしまった。・・・が最後、怒涛のように読み進んで今、6巻まで読み終わったところ。いくらジュニア小説だからっていって、これは我ながらハマりすぎ。 でも、この小説ねー、すごいのよ。古事記くらいのヤマトの国、つまりニッポンが舞台でね。14歳の少女が主人公なんだけど、地方ごとの神々に対する信仰、領土争いの権謀術数、はたまた幾多の恋人たち。ありとあらゆるものを描きつくす壮大さは、とても子供だましなんかじゃァありません。 文章も、集英社コバルト文庫にしては小難しいけれど、豊かな情景描写や細かい背景のディテールが生み出す格調高さ、迸るような登場人物たちの台詞やモノローグ、すごい迫力です。 氷室さんといえば、私たちの世代では「なんて素敵にジャパネスク」がマンガ化されたこともあって有名だけれど、この「銀の海 金の大地」は「ジャパネスク」後に氷室さんが全身全霊を込めて書いた11冊の、まぎれもなく「ジャパネスク」以上の傑作。 作家で、小野不由美さんているでしょう、新潮文庫の人気投票でもかなり上位にきてる人。彼女の「十二国記」というシリーズが、当初は少女向けの講談社X文庫だっけ? そこから出てたけど、あまりの壮大さと大人が読んでも充分大満足の本格的さのために、今は一般の講談社文庫での出版もやってるという・・・。いや、小野さんのは読んだことないんだけどね、この氷室さんのシリーズも、一般の集英社文庫で通用するよ〜。出せよ、集英社! でも、氷室さんて、断筆したのかなあ。本を出さなくなって久しいんだよね。「ジャパネスク」が、去年くらいに装丁を変えてコバルト文庫から出してたので、出版社とモメてるとも考えにくいんだけど・・・。情報あったら教えてください。 大人が読んでもじんとくるような、すばらしい児童文学家がいるように、氷室さんは、すばらしい少女小説家やもん。マジで。 長いな。今日の日記・・・。「エンピツ」の文字制限、オーバーしないといいけど。(いま、確認。一日に、原稿用紙20枚分までだって。なーんだ、まだまだ余裕やん! でも、もうここまで読んでる人かどれだけいることか・・・) えっと、本屋さんといえば音楽雑誌のコーナーもチョコチョコ覗いてんだけど、けっこう対談を巻頭記事にしてるのって多いよね。どっちのファンも喜ぶし、やっぱりオイシイ企画よね。 いま店頭に並んでる「BREaTH」は、河村隆一と北川悠仁(ゆず)。 これはまァ、おいとくとしても、「bridge」は奥田民生と草野正宗。 こちらは思わず立ち読み。民生が、 「自分をスポーツ選手にたとえると?」とかいう質問に、「中山ゴン」と答えていたのがおかしかった。 『ゴンってやっぱりどこか特別視されてて、今回のワールドカップで、ゴンが出るまでは観客は「ゴンを出せ! 出せー」て騒ぐけど、いざ出ると、そこまで活躍すると期待してるわけじゃないんだよね、みんな』 というように答えてた。うますぎる・・・。 はあ、もういい加減、やめろってね。今日は福岡はひどい風雨で、私は女の子らしく体調が悪かったので、外出はとりやめてずっと家に居たんです。書きたいことはいくらでもあるが、この辺で。また明日〜! と、最初とは打ってかわって、軽い調子で終わる今日の日記でした。バイチャ。 |
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