快賊日記「funnyface」

2003年08月15日(金) 勧酒

祝杯をあげよう。迷いもあるだろう。憎しみもあるだろう。
哀しみ・痛み・怒り。数え上げればきりはなく。
ただとめどなく溢れる涙をどうする事も出来ないだろう。
神さえ見捨てたこの世界。教えを請う人もなくば、
習うべく教訓も存在などしない。ただ刻まれた敗北。
しかし今はこの杯をかがげてくれ。何もないその両手で。
いくつもの命をささげた、この大地。
痛ましいほどに焦げた体をすり寄せた、この緑。
その青を失ってしまった大空も…いつしか過去になる。
呆然と開かれたままの瞳に映るのはただの闇だとして。
たとえばそうだとしても。今は幸せを謡うのだ。
高らかに。その潰れた声を震わせて。
そうして心に誓えばいい。永遠にこの過ちを繰り返さないと
全ての心が誓えばいい。
それでも絶望は、過去にするにはまだ生々しく
夢見る明日もないだろう。まして光の射す未来など。
誰もが迷い子のまま、立ち上がる勇気も思い出せない程に。
だからこそ、祝杯をあげるのだ。今この時を忘れない為に。
この盃を受けてくれ。どうぞなみなみつがせておくれ。
花に嵐のたとえもあえるぞ。今日こそがこの国の始まりだ。
戦争は今、終わった。


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