私達は言葉を持っている。 だから意思を伝えるのは至極簡単。言えば、いい。 でも言葉を持たない動物はどうしてるんだろう。 よく動物同士は会話が出来るという人がいる。 鳴いてる声は会話なのだと。そうなんだろうか? そりゃ鳴き方で多少の事は伝わるのかもしれないけど。 それでもはっきりとした言語をもった人間にくらべると ずいぶんとそれは不自由に思えて。 それだけじゃない。何たって陸の動物達は四足歩行だもの。 その姿は愛らしくて仕方なくて、うちらをそりゃもうメロメロに してしまうけど。けど、やっぱり不自由そう。 大空を自由に駆け回れる鳥たちだって、何て素敵と思うけど 嘴が彼らの食文化を狭めてる気がする。溺れ死ぬ心配のいらない 魚達。あんな風に泳げたらといつも羨ましく思うけど、 手足の自由のない体はいただけない。そう考えると万物の霊長で ある人間はなんて自由。それなのに、この体を持った人間達は 何て不自由に生きているんだろう。国境を作り世界を狭め、 人種を作り出会いを減らす。切り売りするみたいな愛情と 切り取られて行く情熱と。繰り返す争いと終わらない口論。 せっかくの言葉は何のためだろう。真実を言う口はいつも塞がれて。 二本もある両の手は何のためだろう。広げた分だけ何かを包み込み その分だけ何かを作り出す事が出来るのに。 真っ直ぐ伸びた両足は何のためだろう。大地を踏みしめ前に進める はずなのに。救われない誰かのため、ふんばる事が出来るのに。 例えば人間なんかよりもずっと万能な生き物がいないとしても、 一番不自由なのは自由な体をもった人間かもしれない。
|