その国はとても寒い国だという。 地図を見ればそれは分かる。 目線をやや左上に移せばその国はそこに、ある。 とても近くてとても遠い国だという。 そしてとても不思議な国だ。 同じ顔をして同じ言葉を持ち同じ大地の上に生きている。 しかし別の国名を持ち独立した国を有するという。 長い長い長すぎる断絶の歴史がその国を切り離す。 決して後戻りの出来ないその道は、永遠とも思える程の 悲しみを引きずって未来へと続いてる。 悲しみの終わらない未来へと続いてる。 たとえば何がきっかけになるだろう? その涙を止める術は皆が知ってるものなのに。 最近度々耳にする問題も、その一つの国の過酷な 体質しか伝わらない。元を正さなければ決して解決できる 問題ではなく。その元とはやはり38度線の消えない熱だろう。 その国はとても寒い国だという。 確かにそうだろう。この国より上に位置し、 冬は凍りそうな空気が街を支配するのだろう。 寒いはずの38度線はしかし熱く、いつだって人々の心を 焼いてしまう。燃え落ちて消えてしまうその前に、 伸ばしたその手を振り払わないで。 国は人と共に前へ進めるはずだから。
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