この家にはハイビスカスが咲いている。 もう6年くらい咲き続けてる。 その間3回鉢を大きくして、同じ数だけくらいの肥料を与えてる。 たったそれだけ。冬になると花はもちろん枯れ果て、 葉っぱだって茶色くなってしぼんで、最後には枝だけになる。 寒い冬はどう扱っていいか未だに分からなくて、 水を与えるタイミングも難しいし、日光を遮るように カーテンを引いてしまう事もしばしば。 それでも春が来ると、緑が顔を出し始め、5月には若葉が より一層美しくなる。そして夏の初めには蕾をたくさん付け、 待ちきれないと言わんばかりの大輪の赤を、この目に写して くれる。驚く程の生命力。これは世話の問題云々ではない。 花が咲きたがっているんだろう。このために生まれて来たのよと 誇らしげに咲いてる赤は、それは美しくて見ほれるばかり。 花に前も後ろもないだろうに、この目にはまるで 凛とした背中を見せつけられてるように写ってしまう。 例えばしとやかに降り続ける梅雨の雨でも、例えば12年に一度 この馬年に多く来る台風の暴雨に打たれても…それは何て逞しく 美しい。太陽が邪魔なくらい、それは美しい。 だから毎日水をやる。日光がすべての葉に当たるように ぐるぐる鉢を回したりもする。隣には同じようにここ4年の間に 成長しまくってる観葉植物がいる。 やっぱりその鉢も回す。水をたくさんあげる。 いつか自分の背を追い抜こうと目論んでるのは知ってる。 きっと来年にはもっと大きくなってるそれらは、 まるで生きる物の道しるべのよう。 生きてるものは、常に成長し続けて行けるのだと、教えてくれる。 根があれば、いつだって生まれ変われるのだと、教えてくれる。 その姿に果てを、望む。僕達はまだまだその果てへと足を踏み込める。
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