海外から帰ってきて何か調子いいなあと思っていたけどそれは海外で処方して貰った抗鬱剤の御陰で、しかしそれは日本では認可されていない薬なので帰国後は別の処方を受けるほかなく、現在二つの処方の間を渡っている途中で中途半端に調子がよろしくない衛澤です。長い。
先月、バンコクに渡ってそこの病院で手術を受けてきました。その一つが性別適合手術の最終段階である陰茎形成術の「準備」手術です。陰茎の材料として「皮弁」というものを使うのですが、その皮弁を拵える手術を腕に受けました。
腕の内側にトンネルを掘って、そのトンネルが塞がらないように半年間メンテナンスしながら組織を育てます。具体的にはこんな風にします。
※腕に穴が開いている写真が沢山出てきます。怪我とか傷とか苦手な人は御覧にならないように御気を付けください。

腕にゴム製のカテーテルが通っているので、これを抜きます。抜いたカテーテルは煮沸消毒します。
トンネルの内側は手術間もない頃は組織でぐちゃぐちゃした状態ですが、時間が経つと組織は落ち着いて乾燥してきます。すると、カテーテルは抜けにくくなってきます。抜こうとして引っぱるとびよーんと伸びて、腕の内側で切れたらどうしよう、とか不安に思います。「タンポンの紐が切れたら」よりも強い不安です。

カテーテルを煮沸消毒している間に、腕のトンネルの中を生理食塩水で洗います。手首側から水をじゃばじゃば流し、肘側から出します。肘側からも同じくじゃばじゃばして、手首側から流し出します。「ほんとに腕に穴が開いてるんだなー」と実感する時間です。

病院で貰った軟膏をトンネルの入口出口に塗ります。これがカテーテルがトンネルを通るときの潤滑剤にもなります。たっぷりつけてカテーテルの先端にも少し塗ります。
病院で貰った軟膏がなくなったら市販の潤滑ゼリーを使用します。充分な潤いがない状態で無理やり挿れたら痛いというのは、オトナのみなさんには想像に難くないことと思います。

煮沸消毒したカテーテルが冷めてから、再度トンネルの中に収めます。自分でメンテナンスをはじめて約半月になりますが、この行程はまだちょっと怖いです。痛くはありません。例えるなら、うどんだとか糸こんにゃくだとかを半分だけ飲み込んでからずるずるっと引っぱり出したときの喉の感触からくすぐったさをなくした感じ、でしょうか。

無事貫通したら手首側、肘側それぞれにカテーテルと腕との間にガーゼを噛ませます。ガーゼの厚みはそんなに必要ありません。カット綿の方が便利なような気もしますが、綿ではなくガーゼを使いましょう。綿だと軟膏で肌に貼り付いてしまいます。

処置が終わったら保護のためにカバーを掛けておきましょう。カテーテルやトンネルを剥き出しにしておいたら、衣類だの家具だのに引っ掛けてしまって大惨事になりかねません。
カバーに使用するのは包帯やサポーターでいいのですが、扱いが面倒なので私は靴下を利用しています。

一〇〇円ショップで買える「踵がない」靴下を買ってきて、指先を切り落とし、自分の手首から肘の長さに合わせて使います。切りっぱなしでも生地がほどけたりしないので安心です。洗濯も簡単。
二月期の渡航入院体験記とともにこのメンテナンスの方法も別記事に仕立てる予定でいるのですが、先刻メンテナンスしていて、カテーテルを抜こうとしているのにびよびよ伸びるばかりでなかなか腕から抜けてくれなくてちょっと怖かったので、この記事をまとめてみました。
あと、トンネル入口のかさぶたをちょっといじってみたらちょびっとだけど出血しちゃって、ちょびっとなのにぴりぴり痛くてヤな感じです。