衛澤のどーでもよさげ。
2007年06月25日(月) 断食二日め。

いつものように〇五三〇時起床。これは施設の規則で決まっているのではなく、最近のぼくの生活リズム。だいたい〇四三〇〜〇六〇〇時辺りに目が覚める。年寄りと笑うなかれ。「早起きは三文の徳」と言うではないか。

昨日の土砂降りの雨も上がって、朝露が消えたらからっとするかな?と思いつつ、習慣になっているmixi「意味はない。」コミュニティの「おはようを言おう」トピックに「おはよう」を書き込もうと思ったら、iモードがなかなか繋がらない。いつも目が覚めたら直ぐにアクセスして「おはよう」を書き込んで、洗面やら朝食やらはそれからにしているのだけど、今日は取り敢えず昨日購入した充電器での充電を続けて、先に洗面に行こうと床を降りた。

雨が降った山の中は空気がひんやりとして、肌寒い。ぼくは肥っていてあまり寒さを感じないからこれさいわいといえるけれど、この施設のWebサイトで促されているように、夏でも肌寒いことがあるようなので、これから利用しようという人は薄手のものでも構わないから長袖の上着を持参した方がいいかもしれない。

洗面したり持病の薬の朝の分を服んだり、ようやく繋がるようになったケータイで「おはよう」を書き込んだりしているうちに〇六五〇時。〇七〇〇時からはじまる朝の礼拝に参加。
ぼくが入所している施設は基督教の牧師夫妻(二人とも牧師)が運営しているのでこういう行事もあるのだけど、これは参加不参加は自由。出たければ出ればいいし、まだ眠っていたければ自室で眠っていてもいいし、「自分とは宗教が違う」と言う人は自室で自分の神に祈っていてもいい。
その辺りは宗教にありがちな押し付けがましさがこの施設にはないので自由だ。ぼくは基本的に無宗教だけど宗教を否定するのではなく、むしろいろいろな宗教に接してみたいと思っているので参加することにしている。

礼拝が終わると〇八二〇時。一七三〇時から行われる「夕べの集い」だけは各人の体調確認のため全員参加だけど、それ以外は食事を摂る人や入浴に出かける人以外はまったくの自由時間。急ぎの仕事は昨日のうちに終わらせているし、今日はぼくは散歩に出かけてみることにした。

施設の方で散歩コースの見本プランをつくってくれているので、それを見ながら行く。施設は山の中で道は複雑ではないが勾配が多い。平坦な道を行くのとは勝手が違ってくるのでその辺と、断食中なので自分が思っているよりへたばりやすいということを考え合わせてコースを択ばなくてはならない。施設側からの注意にも「一時間以内に帰ってくること」とある。
断食中にあまりはげしい運動はよろしくないようだ。運動はしてもいいけど、飽くまで軽く。

実際に歩いてみると、「一時間以内に」と言われた理由がよく判ったような気がした。何も食べていないから歩くにも腹に力が入りにくいのだ。踏ん張りが利きにくい。それに、実際に歩き出すまで自分でも判らなかったのだけど、軽くふらふらする。あまり遠出してはいけないというのはこういうことなんだなあ、と思いながらぽつぽつと歩いた。歩いている途中でふとメールを送りたくなって携帯電話を見たら「圏外」だったのにはちょっと吃驚。そんなに山奥なんだ、ここは。
持参した履きものは勿論MBT。MBTで上り勾配下り勾配を小一時間も歩いてくると結構な疲労感があって、自室に戻ってちょっと横になったら直ぐに眠ってしまった。歩いたのと同じくらいの時間、転寝。

空腹感とか、食べたい欲求は、不思議にない。目に見える場所に食べものがないからかもしれない。この施設の中では食事の時間に食堂に行かない限り食べものに御目にかかる機会はとんとない。山奥だから思い立って買いものに出掛けることもできない。だから「食べたいのに食べられない」という苦痛はない。腹がきゅるきゅる言うような空腹感もいまのところ感じない。
ただ、食べていないせいか、集中力に欠けたり難しいことを考えたりということはできなくなっていたりということはある。昨日は紙原稿のデータ化作業をしたのだが、いつもの一.五倍くらいの時間がかかった。集中力が途切れ途切れになっていたからだ。
別の利用者氏は「腹が減って本が読めない」と言っていた。

空腹感もないし、昨日はテレビに食べものが映っているとちょっとつらかったが、今日は平気になっている。案外苦しくないものだ、断食って。と、いまのところは思っている。
しかし、断食すると身体が消費カロリーをセーブしようとするのか、細切れに眠くなるなあ。いや、それは断食する前からそうだったか。
そんな訳で正午近くにまた眠くなってしまったので、今度は転寝しないで床に就いてうとうと。昼の帯番組にビリー・ブランクス氏が出演されていたのをきちんと見たかったのだけど、睡魔には勝てず。好きなんだけどな、ビリーさん。

やはり小一時間ほど眠った辺りでぼやーっと目覚めはじめたところに仕事先からのメールが携帯電話に着信。それに返事を書くのにまたもや小一時間ほど……「消去」とか「キャンセル」などの機能を持ったキイは通常の文字入力キイと少し離して配置してほしいと思った。何故なら、長文を書き終わってもう直ぐ送信、というところで全消去してしまうアクシデントに見舞われてしまったからだ。
これやっちゃうと、もう一度書き直す気なんかなくなっちゃうんだよねえ。
だけど仕事のメールなので放っておく訳にもいかず、まずは落ち着いてパソコンで下書きをして、それを見ながら慌てず急がず携帯電話のメール作成画面に入力、そして送信。
終わってからもう一度散歩に出かける。今度も一時間ほど。

宿舎に帰ってきてから一ト休み。今度は流石に眠くはならない。しかしやはり込み入ったことを考えることはできない状態のようで、あわよくば来月分の連載原稿を書き進めるとか、新作の構想を練るとかしようと考えていたのだけど、頭が巧く働かない。でも、鬱の症状でものを考えられないときとは違って、ぼーっとテレビを見るとか携帯電話でネットサーフィンしたりなど、情報を受け取ることはできるので、さして困らない。何せ締切が迫っている原稿はもう仕上がっているし。

何度も書くようだけれど基本的にこの施設は大部分の時間が自由行動。何をしていてもいいのだけど、一七三〇時からはじまる「夕べの集い」だけは全員が必ず出席しなくてはならない。これは、各利用者の体調の確認をする時間でもあるから、ここに出てこられない人は「体調が悪い人」と見なされ、断食中止や病院受診の措置がとられることもあるそうだ。

さて、今日のぼくは「夕べの集い」にはきちんと出席できたのだけど、その後自室に戻ってから、身体がだるくてずっと横になっていた。暫くすればましになるだろうと思っていたのだけど、深夜帯になってもだるいまま。仕方がないからそのまま眠剤を服んで眠った。眠るのは直ぐに眠れた。

眠る少し前にだるいながらもテレビを見ていて、「肉料理とフルーツ一杯のデザート」というのに出くわしてしまった。肉料理は「ああ、おいしそうだな」と思うだけで済んだのだが、クリームチーズタルトを見た途端に奇声を発して暴れ出しそうな衝動に駆られた。
でも空腹時特有の、胃の辺りが「きゅーっ」となるあの感覚はほとんど感じない。


エンピツユニオン


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