衛澤のどーでもよさげ。
2007年06月12日(火) 素人でも玄人でも。

作家業とは違う身分で参加する県の催事の打ち合わせ会議が終わって三々五々帰途に就くとき。
県の精神保健福祉センターを通じて知り合った青年が話しかけてきてくれた。
「衛澤さん、次回作はまだですか?」
衛澤としての仕事を頂くことが滅多になく別名義での仕事がほとんどである私は苦笑するしかなかった。
「書かせてくれる先って滅多にないんですよ、ははは」
後半の「ははは」は精一杯にこやかに発音したつもりだった。

青年は含むものがないさわやかな表情で言った。
「僕、衛澤さんが書くもの好きだけどなあ。前に読ませて貰ったあれ、全部読みたいと思ってるんですよ」
「あれ」というのは諸般の事情で販売差し止めを申し出なくてはならなくなった「あれ」である。部分的に読める「体験版」を渡したことがあったのだった。またも「ははは」とできるだけにこやかに笑って曖昧なことを答えざるを得なかった。
「幾つか出版社を当たってみてはいるんですがねえ」

そこまで話したところで、お互い違う帰途を辿ることになるので、手を振って別れた。
差し止めの記憶が呼び起こされたのは少し苦いが、自分が書いたものが好きだと言って貰えるのは、素人時代もかろうじて玄人の端くれであるいまもうれしいものだ。

そう言えば、別名義で賞を貰った作品が雑誌掲載されるの、確か今月号だったな。月末に原稿料が振り込まれると郵便が来ていた。


【今日のゆるゆる】
三箇月もトレーニングジムに行かなかったら身体がゆるゆるだ。自己嫌悪甚だ強し。


エンピツユニオン


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