浅間日記

2013年05月14日(火) 私の赤ちゃん

小学校の、家庭訪問ウィークである。
昼下がりに家へ帰ってくるAと、少しゆっくり過ごす。

定石どおり、年齢にふさわしく、取り扱いが難しいお年頃で、
小さい子どものように突然はしゃいだりするし、仲間との会話は20代の娘のようで生意気である。

そして、往々にして私と二人きりの時は、押し黙っていて愛想がない。

暑いからジェラート食べに行こうか?と誘うも、
予想どおり、まあいいけど、と連れない返事。

こちらがサービスしているというのに、まったく失礼な態度である。

冷たいジェラートを無表情で口へ運ぶAを、
まったくややこしいなあと思いながら眺める。

よくよく観察してみると、このAの態度にはどこか懐かしい覚えがある。

そうだ、小さな赤ん坊の頃にそっくりだ。
まだ言葉を覚える前の、母親にすべてを依存していた感じだ。

なんとも無防備で、可愛いではないか。

成長したAは、色々な子どもの集団の中に身を置く中で、
話題に気をつけ、態度に気をつけ、他の仲間との関係に気をつけて、
上手くやっていく術を身に付けた。それは主に言葉によって保たれている。
そうしたことが、できるようになった。



そうだからこそ、成長の荒波の中で、
私との関係にだけはなんにも気を使うことなく、
どうぞよしなに、御随意に、と態度を丸投げしている。

そうだ。
目の前でジェラートを食べているそろそろ年頃のこの娘は、
紛れもなく私の赤ちゃんだ。
これから一人前になっても、いつまでもずっと。
ありがたいなあ、という幸福感に包まれる。

すぐにでも、よしよしいい子だね、と抱っこしてあげたい気持ちに駆られたが、
本人の名誉のために、そのジェラート美味しい?と聞くのに留めた。

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