胃の痛みと
頭痛と
身体の火照りと
グラグラと揺れる視界に従って
眠っては熱の不快さで起きて
熱さまシートなぞデコに貼りつつ
また眠って数時間でまた起きて
ビタミン剤と水なぞノドに流し込んで
また眠って
夢の中で他愛ない自問自答や自分自身との殺し合いを続けて
ナツメ球だけの明かりの中で目を覚ますと
夢の中で刺された痛みが身体に明確に残っていて
ドキドキしながらまた目を閉じ
また眠って
気まぐれに床から抜け出して
たまにPC前に腰掛けてみて
また身体の痛みに耐え切れずに横になって
また眠って目を覚まして
あ、ココのところ何も食べてないと思いながら
胃の中をひっくり返して何も混ざっていない胃液を吐き
これではマズいと誰かに電話をかけようとして
はたと・・・誰に?と
疑問に思ってもどうにも考えが纏まらず
そのまま携帯を握り締めて
また眠りに落ちて
また起きて少し水を飲む。
そんなコトを延々と続けているうちに数日経っていた。
その間数人と話をした気がするのだけれど
イマイチ何を話したのかが記憶に残っていなかったり、
携帯で誰かに何かメールを打った覚えはあるのだけれど
記録を見るまでそれが誰かは分からなかったり、
電話がかかってきて反射的に床を転がり出て受話器を取り
何かを口にした気がするのだけれど
これまた会話の内容を全く覚えていなかったり、
不調ながらも熱や痛みの合間を縫ってPCにしがみつき
やったつもりの仕事が全くPCに保存されているどころか
アプリケーションすら起動されておらず
あ、アレって夢だったのか、と今更気が付いたり、
枕元に残る食器を見て
あ、母親が気が付いて何か作って持ってきたんだなと分かるのだけれど
一体何を食べたのかが思い出せず
口に残る匂いや器に付いたご飯粒の色で
ああ、おじやだなぁ、と思ったり。
そこまで私の記憶は怪しくても
それでも記録を見る限りでは私の様子は至って普通で
果たして自分は本当に寝込んでいたのかと
自分の唯一の確かな記憶すら疑わしくなったり。
けれど
空白の時間ってこういうのを言うのかな、とか。
記憶喪失ってこんな感じかも、とか。
自分の頭がおかしくて条件反射だけで周囲への反応を返していたとしても
意外と気が付かれなくて世の中普通に回るのかもね、とか。
例え自分を欠いても世の中当たり前みたいに回るっていうのを
実感する瞬間があるとしたらそれって今みたいな状態かな、とか。
周りが今みたいに何も変わらず動き続けるなら
ああ、結局自分ってただの人間なんだ
誰に対しても大した影響力の無いただの人間なんだ
ちょっと安心するなぁ、とか。
いつも思う。
いつもいつも思って。
バカみたいに満足する。
「自分って何をしてました?」と誰かに聞きたい衝動にかられるも
ひとり暮らし故に誰もその問いに答えるコトはできない。
少しの孤独感と少しの空虚感と少しの不安と一緒に
不思議に自分に満たされて安堵感と充実感を得る私だけの時間。
誰も共有できない自己満足。
他の人には無かったも同然の「空白の時間」。
自分の存在と感覚だけが頼りの「記憶喪失」。
そんな毎度毎度の絶不調期が
今日、ようやく終わった。
またしばらく歩ける。
・・・と、まぁ、
こうやって緩慢に時間を消費していくのも
なかなかオツかと自分では呑気に思っているのだけれど、
ふと我に返ってあちらこちらを見渡すと
やるべきコトが溜まりに溜まっている事実に
さすがにちょっと青くなったり。
さて、仕事は何処からやるハズだったっけ?
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