自分で言った事なのに、言った本人が聞いていない、覚えていない。 それは寝言である。
何かの流れで暴力の話になり、そう言えば私は自覚の無い暴力を振るうのだったと思い出し、主人に訊いてみた。 「最近は、寝ている間に貴方の事を打ったり殴ったりしていない?」 「うん、大丈夫だよ。このところ寒いからねえ。布団から手も出さずにじっとして大人しく寝ているよ」 冬は暴れないのか……寒いからというのは兎も角、痛い目に遭わせていないのならいいかと、取り敢えず安心した。
「でもシオン、寝相だけじゃなくて寝言も凄いよね!」
えっ。 それは初耳だ。 「割と言うよ。肘鉄と違って、寝言で起こされたってのは無いんだけれど、僕がトイレに起きようとしたら突然笑い出したり。結構吃驚する」 「ご、ごめんね……とんと覚えが無いのですが(汗)」 「まあ覚えていないから寝言なんだけれどさ。1番面白かったのは、 『やれるもんならやってみろ!』って叫んだ事かな。思わず振り向いて、『えっ』と問いかけたんだけれど、シオンはすぴーって寝息を立ててた(笑)」 お、覚えていない……。 一体何の夢を見ていたのだろう、私は。
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