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おとなの隠れ家/日記
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2004年06月29日(火)
誕生日がそんなに大切なのかい?  〜Birthday Special〜



仕事に追われると、つい連絡することさえ後回しにしてしまう。
オレ的には時々メールが飛んできたり、挨拶程度の電話さえあれば
疲労困ぱいの体に喝をいれられる。
が、オンナにとっては、そういうわけにはいかないことをこの歳になれば
あらかた、わかっていたりもするのだが。

誕生日がそんなに大切なのかい?




オレはマリと付き合い出して随分になる。
今月は二人ともやけに忙しく、なかなか会えないでいた。

「マリの誕生日には時間作るから」

そう約束はしていたものの、会えずに一月半も過ぎていた。



「来週だな、レストラン予約してるから」

マリにそうメールを入れた。
返事は「楽しみにしてる」の一言だった。

いつもなら

「浮気でもしてんじゃないの?」

なんて突っ込みを入れられるところだが
その気力もないほどにマリも疲れが溜まっているのか。
疑われるよりはいいかなと思うけれど、すこし淋しい気もする。




オレは、マリが誕生日が近付くと騒ぎ出すのを知っていた。
毎年6月に入ると

「今月は誕生日だからね」

と念押しされる。
それでもある年、マリが一言も誕生日のことを言わない年があった。
オレはすっかり忘れてしまった。
あの年の6月は後味が悪かったな。

最初は、覚えていることを試されたのか?と思った。
言ってくれたらいいのに、とさえ思った。


あとから、なんとなくわかったんだ。
考えてみりゃ、彼氏のオレが祝わなくてどうするよ、ってね。
他のヤツに誕生日のプレゼントをもらって喜んでいるマリに
自分は何もしてやれなかったとなると、ちょっと悔しい。

クリスマスプレゼントやバレンタインデーのお返しを忘れても
マリは、しつこくせがむことはない。
でも、オレへのプレゼントいつも用意されている。


マリは、自分が生まれた日だから祝ってくれなきゃなんて言ってたけど
本当は、オレが誕生日のことを忘れることを予測して
毎年、6月になるとおねだりをしてくるのかもしれない。
オレがマリの喜ぶ顔をみそこねないように。



長く付き合っていると、イベントごとに鈍感になる。
まるで義務感のように思えるのも、少し気が重かった。
だけれど
それが付き合っていくということなんだろう。


夜景の見える高級ホテルや
かしこまって食事をするしゃれたレストランが大切なんじゃなくて
大切な日を二人で祝う、その行為自体をマリは求めているのかもしれない。


義務じゃなくて役割なんだ、と。


危うく見失うところだった。
オレにとっての誕生日が問題じゃなくて
マリが大切に思うことをオレが受け止めてやればいい。
今はちゃんとわかっているよ。
マリがオレに「おめでとう」と言ってほしいのは
オレへの想いの裏返しだって。

マリが教えてくれた。
大切な人が喜んでくれることで自分も気分がいいってことを。


マリなら、母の日にオレが何もしてやらなくても
父の日には何かイベントを考えてくれそうだ。



「おめでとうのちゅぅは?」

また、今年もそういってせがむんだろうな。
オレは約束の場所に向かいながら、クスリと笑った。

待ってろ、今年は先制攻撃だ。
キスがせがめないくらいに強く抱きしめてやる。