よるの迷走日記
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子供の頃、親の『小さな恋の物語』<みつはしちかこ/立風書房>を 読んでいて高校生になるとキャンプとかするんだ、楽しそう!と思っていた。 持っていく物の準備表まで考えていたような記憶がある。 別に好きな人に手作りのカレー食べて欲しいだの彼と明け方まで 星を眺めたいだの早熟なことを考えていたのではなく、冒険ごっこ や漂流ごっこの延長だと認識していたのだろう。若かった。
何となくノスタルジックな回想をしてしまったのは 『青春デンデケデケデケ』のせい。一つのリンゴをかじり合う 自転車の少年達、キャンプ、海水浴に学園祭、ともう、 タイトルどおり直球勝負で挑んでます。 親との対立したり金髪にしたり盗んだバイクで走り出すこともなく、 無邪気にロックンロールなのがいい。そういうの、大人がやると むしろ白けちゃうだろう。 舞台が尾道ではなく観音寺だからであろうか、大林作品としては 比較的地味な作品。しかしいわゆる代表作であろう『転校生』、 『時を駆ける少女』、『さびしんぼう』等に比べると、 よっぽどBSで放映される率が高い、という不思議な印象が 私にはあるのですが。ヒット作は放映権料が高いのかもしれないし、 地方都市のロック少年というテーマがおじさんの郷愁を誘うから なのかも。謎であります。
私にとっては浅野忠信が出ている映画で唯一ちゃんと観た映画。 一応映画好きを自認している日本人としては珍しいのではなかろうか。 もっとあっただろう、単館アート系な感じのやつがあれこれ。 今はどっちかというと美男というより性格俳優っつー印象ですが、 当時は華奢で色白で結構美少年かも。 しかし佐野史郎(推定・冬彦さん直前)と浅野忠信の二人に 自動車工場の社員とバイトの高校生、という爽やかな配役が 成り立つとは、干支一回りした現在では考えられない話ですな。 高校生はもちろん無理としても、今並んだら濃いぞ。
主演の林泰文君もかわいいし(私と妹の間ではドラマ『きらきらひかる』 の綾小路君、で大体通じる。あんまり、というか全然変わってない。) しーさん役の子は、何度も観ると突然現れたのではなく、 練習中すれ違ったり職員室に呼ばれたとき向かいに週番で 来ていたり、という細かい演出があることに気づいて感心します。 何より如才なく豪胆で口が回る名僧合田富士男役の子が好きだわ。 今はVシネマなどに出ているらしい(?)のですが、もっと 活躍していい逸材だと思うのだがなー。 でも男の人は大器晩成型もありなので、期待していよう。
ときめきや片思いはあるけど変にいちゃいちゃな恋愛は出てこない 地味な青春が愛しいこの映画、萌えないけど和むこと間違いなし。
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