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2005年01月23日(日) 白い人.


どこなくこの世に心が無い人を
見かけることがある。
それはお化けというわけではなく
かといって生きているという感じが
体に滲み出ていない人。


ある年の厳しい冬の雨の夜、
2間ほど開いた店先で
綺麗な着物を着て
たった一人お客さんを待っていた女性だった。

歓楽街というより、
時代が逆回転したような
ひっそりした遊楽街。

何軒か同じような店が連なり、
玄関先に一人だけ座っている。

店の前の通りには男性がまだらに行き交う。
店に一人男の人が入ると
奥から店の主らしい年配の女性が
客を促し店先にいた女性と
奥へ入っていく。

連なる店の中での或る店先に座っていた女性は
どこを凝視するわけでもなく
この世のものを見ていない視線だった。
その視線の先が気になった。
けれど、、、その時、

「どんな感じ?」

こちらが希望するわけでもなく
この街の裏側いくか、
そう言って世の中の裏側を
見せたがるその当時の彼は、
私を車の助手席に座らせて
ここへ連れてきた。

だいぶ遠くで
スモークガラス越しに
彼女を見たあの時、背筋がぞくっとした。

「白く感じた、そう見えないの?」

私はそう呟いてた。

「どう言う事?」

誰もが目をひく
華やかに輝く着物も
目立つような化粧も
何もかも剥がされてしまって
魂だけあるような
白い人の形をした様そこに佇んでいる。

「早く車出してもらっていい?
 ここ寒くない?」

そこにずっと居られなかった。
彼女の視線に捉ってしまったら
たぶん動けなくなりそうだった。
彼女からすぐにでも逃げたかった。

彼女に見つかってしまいそうで
「そこで貴方何してるの?」
そういう風に
遠くから口を動かされたら
私は何も返す答えがないから。

知っていても
立ち入ることが出来ない場所
ずっと居てはいけない場所
世の中にはあるのだ。
そういわれたような震え。

彼はその後
彼女やその場所については何もいわず、
夜の賑やかな明るい
繁華街の喫茶店へ私を連れて行き、
即座に私の好きなホットレモネードを注文した。

「なんか落ち込んでるの?」
そう心配そうに彼は尋ねたけれど
「違うよ」それしか言えなかった。

そうじゃないのよ、
あの人生きようとしていないの。
声に出して彼には言えなかった。
寒い雨はすぐには止まず、
強く地面に叩きつけていた。


暫くして白い女性を見た場所は、
「置屋」という名前だったことを知ることになった。
彼女はまだあの店にいるのか、私は確かめたことはない。


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