声だけで - 2004年03月12日(金) 声だけで繋がることの悲しさと虚しさを知る父の声から ******************* ** * * 大学病院の個室に入院中の父に何度目かの電話。専用の電話がついているので、割と時間を気にせずに気兼ねなく声を聴けるのがありがたい。何をしてたのと尋ねると、「消灯後だからほんとはいけないんだけど、映画観てる。みやびが持ってきてくれたんだ」と、ギャルのほうの妹の名前を挙げる。不幸中の幸いと言ったらいいのか、入院が春休みの時期にかかったので、母だけでなく妹や弟も頻繁に会いに行っているらしい。思春期真っ只中の少年が父親と病室でどんな話をしているのか、想像するとちょっとくすぐったいような気もするけれど。 電話を切る時、弟との電話を切る時みたいに「お父さん、いい子でね」と半分冗談で言ったら、「ハイヨー」と明るい返事。 あの快活でいかにも頑健そうな父が、静かな個室にひとりでいる所を想像したら、何だか悲しくて、やるせなくなる。 -
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