夕暮塔...夕暮

 

 

深々と - 2004年03月08日(月)

嵐吹く薄闇を脱けてそのあとに深々と来たる春をいざよう




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「あなたにも反抗期とかあった? あんまりそういう風に見えないっていうか、想像できないんだけど…」 パーティションに隠れて二人きり、自分の思春期の荒れ模様とその極端な収束を語ってくれていた同僚が、ふっと真剣な顔でこちらを見る。ありましたよ、と私は笑う。もう大荒れです、夜中に学校忍び込んで窓ガラス割ったり。「盗んだバイクで走り出す…」そう、そう、そういうような。ひとしきり笑いあった後で「荒れるべき時期に、きちんと荒れておいたほうがいいのかもね、多分ね」と同僚は言い、私は十年前のことを懐かしく思い出している。もちろん実際にはそんなバイオレンスな出来事はなかったけれど、雪の嵐みたいに何もかも真っ白になればいっそ楽なのにと思って脳を乱されるような混乱を味わいながら、気が付けば我ながら不思議なくらい穏やかな大人になっていた。
屋外での煙草休憩から戻ってきた彼女が「月がもの凄く大きくて、真っ赤だった」と教えてくれるので、別の同僚と連れ立って、十六夜を見るべく夜七時の非常階段をのぼる。


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