信じていいの - 2002年12月04日(水) 好きなわけじゃないのに、不思議と縁のある色というのがある。 「着物の色を選ぶなら、いつ帰ればいい?」 母に尋ねて、返ってきた答えに仰天する。 「えっもう選んじゃったわよ、決めていいって言ったから」 ええ、私そんな事言っただろうか。以前この件で電話を貰った時疲れていて曖昧に返したような気はするけれど、母とは基本的に色の好みが合わないから、選んでいいなんて言うわけないと思う。 色味はと訊いた私に、母はやけに自信ありげな感じで「抹茶色」と続けた。 「な、なんで抹茶色なの!」 「いい色なのよー、やっぱり一番いいって呉服屋さんも言ってたし」 「ええー…………」 がっくりしてしまう、今回は淡い暖色を選ぼうと思っていたのに。しかもよりによってどうしてまたミドリ色なんだろう。 どういうわけか深めの緑色は昔から奇妙な縁のある色で、望んでいないのに手元に集まってしまうのだ。頂きものの数寄屋袋やバッグ、袱紗は何枚も。だけど、縁があるだけで、特に似合う色じゃないし、好きとも言えない。本当にいい色なのよと母は繰り返すけれど、信じて良いものかどうかためらわれる。私の幼い頃から、母の言う「いい色」は、時々私にとって「とんでもない色」だった。 「明るい色にしようと思ってたんだけど…」 「じゃあ赤い帯すればいいじゃない」 それじゃクリスマスでしょ、と言うと、母はあっけらかんと笑った。 -
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