焦燥の - 2002年08月25日(日) 焦燥の夏をようやく泳ぎきり 彼岸佇む君へ微笑む *********** *** ** * 午後の電話、ナンバーディスプレイは便利だ、しょっちゅう電話をくれる友人から。私は名も名乗らずに明るく電話に出る。すると向こう側の空気はとても重い、離職を決めた事を低い声で告げられて、ああ、流石の彼女でもやはり難しかったか、と思う。私は声から笑みを消し、ゆっくりと言う。「…そう、とうとう、決めたんだね」 夜には久々に電話をくれた友人から旅行のお誘い、彼女とは毎年どこかしら旅行している。来月遅い夏休みが取れるから、あなたと旅行に行こうかなと思って、とのんびり言う。「どこらへんに?」「トロッコ電車に乗ってみたいな、って」「…あ、乗ってみたい!」 私は電話しながらいそいそとネットで検索する。美しい渓谷と温泉。魅力的だ。…金沢に一泊して兼六園を見て、その翌日に富山に向かって、交通手段とルートはこういう感じで、と彼女は次々話す。彼女の中ではすっかり細々と準備してあるのが面白くて、私はおかしくなってしまう。本人に自覚があるのかどうかわからないけれど、彼女の誘い方はいつもどこか確信犯的で素敵だと思う。決して強引じゃないのに、気が付いたらその気になってしまうのはどうしてなんだろう。 -
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