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みかんのつぶつぶ DiaryINDEX|past|will
![]() 冷たい雨で、入っていたキャディの仕事がキャンセルになった。百貨店は繁忙期モード、いよいよ始まるギフトセンター立ち上げへ向けての準備で大忙しだったので、休みになってホッとした。 キャディの仕事は、百貨店の休みの合間、派遣キャディとしての勤務なので、家を出る前に必ずスタート室へ電話を入れることになっている。今日のこの雨じゃ出ることがないだろうと、すっかりキャンセルモードで電話をすると来てくれとのことで(汗)泣く泣く家を出て、クラブバスの待つ駅前まで到着して電話を入れると予約にキャンセルが出たので休んでよいとのこと(嬉 せっかく出てきたのなら仕事をした方がいいと思うけどねえー、という有難いお言葉を丁重にお断りし、Uターンとなった。こういう時、派遣は気楽でいい。ゴルフ場お抱えのキャディでは、そうもいかないものね。雨だから帰ります、出たい人に出てもらって下さいなんて。そのかわり、晴天でも予約にキャンセルが出れば仕事が無いわけで、立場は五分五分でということで。勝手です。 帰り道、地下鉄を途中下車して初めての駅で降りた。いつもこの駅を通過するとき、ここからバスで、あの病院まで行けるのだと思っていたことを実行することにしたのだ。 見慣れた表示のバスへ乗り、プチ旅行気分で車窓からの景色を眺める。途中、閉鎖された遊園地で停車することになった。とっても懐かしい景色、家族で何度となく訪れた場所。私は、涙がこぼれ落ちそうになるのを抑えるのに必死になった。園内へのゲートも観覧車も、全て無くなっていた。夢の跡となった場所は、ただただ雨に濡れて。 そこからバス停三つ目か四つ目、病院前に到着する。そう、遊園地への往復にはいつもこの道を通り、この病院前を通りすぎるだけの家族だったのだ。 雨が、ひとしきり強くなった病院の敷地内、見慣れた景色。 二年前の今日という日、やっぱりこんな風に冷たい雨が降りしきる日、父の一周忌法要で朝から私は病室を空けていた。そして、私と、娘と、私の妹が、自ら目を開けた彼の顔を見た最後の日。臨終四日前。 今日の脳外科外来は休診。手術日だ。外来前の長椅子に座り診察を待つ彼を映し出す。廊下から見る外には、二人で過ごしたベンチが雨に濡れて。そんな様子を見ていたら、看護士さん達へお礼をしに行かないと、という意識で、背中を押されるように私は花屋へ足を運んでいた。
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