みかんのつぶつぶ
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2002年07月05日(金) なんでもないようなこと。

娘と食料品売場へ。

夏野菜がここぞとばかりに山積みにされて。



ね、トウモロコシ食べる?



娘があまり好きではないことは十分承知で聞いてみる。



食べないよ。そんなすぐに歯につまるもの。



納豆やピーナツ、枝豆、豆好きな彼だからトウモロコシもてっきり好きかと。
去年、お友達からいただいたトウモロコシを茹でて持っていくと、



あのね、俺はトウモロコシ嫌いなの知らないの?



知らなかった。そうだったんだ。へぇ。

娘に話すと、知らなかったの?父親、昔から好きじゃなかったよトウモロコシなんて。だって。

そんな風景をふっと思い出し、



そうだねえ、お父さんも嫌いだったねトウモロコシ。



娘に言うともなくトウモロコシに向かってつぶやく。すると、




そう、何気に好みが父親と一緒なんだ。



娘も私を見るでもなく言葉を吐き出す。







そうだね。お父さん大好きッ子だもんね。



おちゃらけるつもりでそう言うと、








うん。













トウモロコシがとたんに滲んで見えた。

買い物カゴを持ちなおして、トウモロコシの前から離れる無言の私と娘。






そうだよね。

大好きなお父さんが死んじゃったんだよね。




死んだらダメじゃんね、お父さんったら。








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