みかんのつぶつぶ
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2002年06月23日(日) あきらめの夏。

こんな日は海に行きたいねぇ

油蝉がガンガン鳴いて、
向日葵が燃えるような陽射しのなか揺らぐ夏の日。
喫煙所のベンチで私は彼にそう問いかけてみた。
きっと、そうだね、行きたいね、と答えてくれると思って。


無理いうなよ・・・

彼は、視線を下に落とし、疲れた笑顔でそう答えた。


私は、その彼の言葉で、
ああ、いまは精神状態が安定しているのだと安堵し。
だけど、その安心とはうらはらに、
そう現実的な回答をする彼に、ドキリとした。

気分を変えてあげたくて、
好きだった海を想い出したら少しでもその時間は、
病室を忘れられると思ったのに。
逆に彼を悲しくさせるだけになってしまったのだった。

夏をあきらめて。

波音が響けば雨雲が近づく
2人で思いきり遊ぶはずのOn The Beach
きっと誰かが恋に破れ 噂のタネに邪魔する
キミの身体も濡れたまま 乾く間もなくて
胸元が揺れたら しずくが砂に舞い
言葉もないままに あきらめの夏

Darlin' Can't You See? I'll Try To Make It Shine
Darlin' Be With Me! Let's Get To Be So Fine

岩影にまぼろしが見えりゃ虹が出る
江の島が遠くにボンヤリ寝てる
このままキミと あきらめの夏

〜サザンオールスターズ〜


江ノ島へ、初めてふたりで海水浴へ。
当時流行っていたその曲が、そのとき私の頭に流れてきた。
幾つもの夏を過ごしてきた私達に、こんなにも悲しい夏が訪れるなんて、と。


もう一度、
潮風をその胸に、
海の光をその眼に、
波の音をその耳に、
砂浜をその足に、

連れて行ってあげたかったよ。

いや、
連れ出す勇気が欲しかった。

私に、もっともっと知恵と勇気があったならば。



ごめんね。






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