みかんのつぶつぶ
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2001年09月27日(木)

なんだか、日に日に衰弱してゆく気がする。
意識も、もうどこか彼方へ飛んでいってしまっている。
言葉を発する力も、弱々しい。

ただ、単なる身体的状態の沈みなだけなのだろうか?
また上がってきてくれるのだろうか?



夕食を終えて、煙草を吸いに外へ連れ出す。
どうも、あんまり煙草は吸いたくない様子なのだ。
なぜだかわからないけど。
あまり状態が良くないことだけは確かなのだ。

あっちの方へ行ってみよう・・・というので、
病院の敷地内を散歩する。

虫の声、
月明かり。
まるでE.Tのようだと思った。
E.Tを自転車のカゴに入れて、月を横切る、あのシーンのようだと思った。

バス通りまで出ていって、しばらく車の往来を見ていた。
もう寒いから帰ろうか?という私の問いかけに、
思いもかけない答えが返ってきた。

「ショウタロウは?・・・」

彼は、息子を探しにきたのだ。
先日から頻繁に息子の名前を口にする。

彼は、何かを息子に託したいのだろう。

「ショウタロウは今夜は塾に行ってるから、
来るように言っておくね」

私は、涙がこみ上げてきて、声の震えを抑えようと必死だった。
せめてもの救いは、車椅子を押している手前、
正面から彼に話しけないで済んだことだ。

病室へ戻る道を、なるべく遠回りして押して帰った。



ホントに生きているのは辛いと思った。

 


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