みかんのつぶつぶ
DiaryINDEX|past|will
るうちゃんがポツンとベンチに腰掛けていた。 「おはよ〜」と近寄ってゆくと顔色の冴えない様子にドキリとした。
「どう?調子は」
「うーん…また再発しちゃった…」
「…そっかぁ…だから痛かったんだね」
「胃がんで終わるかと思ったら、今度は直腸だって。 すぐにでも手術をしなくちゃダメなんだって」
るうちゃんは、いつも気だるい話し方をする。 だから病気の話しも、深刻な雰囲気にならないのが救われるのだが このときばかりは、その言葉の奥に秘める苦悩が しんしんと伝わってきた。
小説は、小さな現実を骨組みにして まわりに肉をつけて切実な事実のように話しを作り上げる。 でもね、ほんとはね、ほんとに小さいことが とっても大変で 文字にすれば些細なことに苦心してて 言葉に表せない空気がいっつも患者のまわりに取巻いていて・・・
それでも自暴自棄にならず コツコツと生きてゆくんだよ
ホントノトコロナンテ ダレニモワカラナイ カタリアウノハオロカナコト クウキニナッテ ソバニイルダケ タダ ソレダケ
|